ミス・アノニマスとは何者か?
大輝がああ言っていたので警戒していたのだが、感情交差点の周辺は驚くほど平和で、かつ盛り上がりを見せていた。撒かれてしまった個人情報やらそれに伴う中傷やらはモグラ叩き状態になっているが、フェスで注目されている時期に、一気に歌みた公開や無料ライブをぶつけてリスナー獲得に繋げられたのが功を奏し、すっかり人気Vtuberの一角になっている。地上波出演に、やや叩かれ気味ではあるがドラマ主題歌起用と大活躍だ。
ただ……。気になることがないわけじゃない。今やVtuber界隈の台風の目となっているミス・アノニマスのことだ。感情交差点のデビューに盛大な泥を塗りつけてくれた彼女だが、今やvirtualaへの関心を失ったようで、御三家の暴露を続けている。
その暴露というのが、キラエンの大炎上につながったような凸者、つまり当事者に直接話させるやり方ではなく、アノニマスのDMに届いたとされる情報をまとめて解説するものに変わっているのだ。それも妙に真実味を帯びた情報を。
それまではアノニマスはあくまでインタビュアーであり、凸者が感情が昂っておかしなことを喋っても凸者のせいにできるようなスタイルだった。それがいきなりアノニマス自身が前に出て意見を言うようになったので、何があったのかとざわつかれている。アーカイブを残さない配信が増えたのも、ざわつかれるもとだろう。
標的になっているのはキラメキエンターテイメント、FIP、バーチャル興業の一部演者。どういう目的かは知らないが、演者と運営の対立ばかり扱っている。おかげでキラメキエンターテイメントはもとよりFIPまで、運営叩きが加速している。もともと放置気味であることがよく知られ、所属人数も桁違いのバーチャル興業のみが運営
ではなく、トラブルを起こした演者を叩く方向になっている。それもそれでどうかと思うが。
ミス・アノニマス自身も注目の的だった。どこからか情報を持ってきて、しかもそれがかなりの確率で事実となれば、彼女の正体を疑うものも出てくる。アノニマスは御三家内部にいるのではないか、だとすれば彼女は悪の運営に苦しめられる演者か、それとも運営内部の告発者か。大方の予想はそんなところだ。
インターネットを漂っていた私は、ある一つの個人ブログに行き着いた。Vtuberを専門に扱っており、かなりディープなオタクライターが運営しているブログだ。渋井ナオキという名前でバーチャルライターを名乗っており、アバターとしてバーチャルなキャラクターにもなっている。炎上ネタも扱うが、一歩引いた視点を保っており私としては好感を持っている。そう言えばあの記者何してるかな、とふと思い出し、ブログを訪れてみるとアノニマスの情報があったというわけだ。
ミス・アノニマスとは何者か? そう題された記事は、なかなか示唆に富んでいた。
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こんにちは、バーチャルライターの渋井ナオキです。バーチャルライターを名乗っている僕としては、無視できない存在、それが暴露系Vtuberです。今回は、もっとも有名な暴露系Vtuber、ミス・アノニマスについて記事にさせていただくことにします。
・知られざるミス・アノニマスの初期
もっとも有名な暴露系Vtuberと書きましたが、簡単に彼女について説明させていただきましょう。彼女がアカウントを作成したのは2015年、動画を投稿したのは2017年です。あまり知られていませんが、彼女が最初に投稿したのは音声合成ソフトを利用したVtuber解説動画です。海外掲示板の翻訳をする、いわゆる海外の反応まとめのような動画内容でした。現在非公開になっていますが、2019年までに30本の動画を投稿しています。
・暴露系への転向
彼女が今の暴露系Vtuberになったのは2020年のこと。個人Vtuber間のトラブルを扱ったことに始まります。灰色の髪の美少女キャラクターが『ミス・アノニマス』と名乗りはじめ、ツブヤイターのアカウントを開設したのもこの頃です。動画中心だった活動スタイルを配信中心に改め、Vtuberを扱う反応まとめ動画編集者から暴露系Vtuberへの転身は、あまりに唐突であったことから、まとめ動画を作成していた人物が今のミス・アノニマスへアカウントを売ったのではないかと推測されていますが、これは憶測の域を出ません。
・ミス・アノニマスの活動の問題点
ミス・アノニマスが一躍有名になったのは、彼女の元に有名企業からのタレコミが相次いだことからです。いわゆる御三家の話題を中心に扱うようになったキラメキエンターテイメントの演者からのタレコミ以前にも、デビュー前の感情交差点(virtuala所属)の内部情報やFIPOの元ナンバーワン王紅陽の女性問題など様々な問題を取り上げてきました。彼女が取り上げたことそのものに違法性があるわけでは必ずしもありませんが、彼女が拡散した情報により不利益を被ったVtuberは多く存在します。
・ミス・アノニマスにある疑惑
彼女が扱う情報には、企業それも御三家内部の人間にしか知り得ないのではないかと推測される情報も存在します。そのため彼女の正体は何者か考察する記事も存在するようです。彼女の特徴的な口調は本来の口癖を誤魔化すためではないか、彼女が自分で自分のキャラクターを描いているいわゆるセルフ受肉勢であることから絵柄から特定ができるのではないか、と様々な考察がなされています。いずれの考察も否定はできませんが、私は彼女の声がボイスチェンジャーを通したものではないか、という意見に賛成です。つまり彼女は『ミス』を名乗っているため《《彼女》》と表記いたしましたが、《《彼》》である可能性もあるわけです。
・ミス・アノニマスについて語る際に注意しなければならないこと
まわりくどく書いてしまってすみません。冒頭に『バーチャルライターを名乗っている僕としては、無視できない存在』と書きましたが、それは彼女の正体不明で悪を裁くと言うスタイルが、顔や本名を出さずこうして彼女を取り上げている僕のあり方とどこか重なる気がしてならないからです。バーチャルと名のつく存在はその匿名でありながらキャラクター性を持つ特異な性質が強みですが、その匿名性をどう使うかには注意しなければなりません。ミス・アノニマスについて語る時、彼女を非難するあまり、暴言と言って差し支えないような言葉を使っている人々を多く見かけますが、匿名で相手を非難し『裁く』行為は、皮肉にもミス・アノニマスの活動と酷似しています。バーチャルと名乗ると名乗らざるとにかかわらず匿名性とそれに伴う暴力性については、インターネットで活動する誰もが考えなくてはならない問題なのではないでしょうか。
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