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大輝のこと避けてない?

「ちょっとお時間よろしいか」


 なんだか妙に物々しいトーンのみっくんにそう声をかけられたのです、事務所の会議室を使うことにした。


「手身近にお願いね」


 嬉しい悲鳴……とはもはやいえないくらい、私の仕事量も増えてきた。けして不穏な空気が嫌だったからではない。


「じゃあ、そのものズバリ言うけど、ひかるちゃん大輝のこと避けてない?」

「……そんなことないよ」

「何、今の間は」


 軽く腕組みをしてこちらを見下ろすみっくん。私が悪いことしてるみたいな態度やめてよ。


「……ほんとに避けてない。忙しいだけだから」

「でも大輝は避けられてると思ってるよ」

「じゃあ避けてないって言っといて」

「自分でいいなよ」

「……それは」


 人の事情は忖度しないくせに、人のことよく見てる。避けてないのは本当。でも二人きりにはならないようにしている。


「ひかるちゃんがなんで大輝のこと避けてるか当ててやろうか?」

「できるもんならやってみなさいよ」

「あいつがひかるちゃんのこと好きだから。わりと恋愛的な意味で」

「いつもながら馬鹿なこと言わないでよ。私なんか」


 私の主張は全部言い終わる前に鼻で笑われた。ムカつく。


「ひかるちゃんに『あたし自分に自身が持てなくて〜あたしなんかのこと好きになる人いると思わなかった〜』みたいな鈍感ヒロインムーブ求めてないから。今まで示してきた観察眼があればバレっバレな好意なんて気がつかないわけないだろ《《白》》々しい。《《ハク》》トだけに」

「やかましいわ」

「ひかるちゃんはお城で寝て待ってるプリンセスじゃないし、大輝は《《白》》馬の王子様じゃないっしょ。そこがいいとこ」

「だからやかましいわ。ぜったい白馬って言いたかっただけでしょ」

「バレた? でも本心だよ」

「そんなに駄洒落がいいたかったの?」

「ちーがーう!」


 クソでかため息ってこういうこといいんだなってため息を吐かれた。


「まあ別にね、ひかるちゃんが大輝のこと恋愛的に見れないならしょうがないと思うんだよ、俺も。人生にはタイミングってものもあるし、たで食う虫もなんとやら……、あ、これは違うか、とにかく人間的にどうこうではないわけじゃん、恋愛なんてね。ヘタレ犬が告白なんてしないだろうから振るわけにもいかないし、仕事仲間だから関係悪くもしたくないしって距離をおくのは妥当な判断だし、責められるもんでもないと思うんだよ。でもさぁ、そういうことではないっしょ?」


 サラッとヘタレ犬呼ばわりしやがった。何かあったのかな、そういえばこの前一緒に帰ってたけど。適当に誤魔化して仕事に戻ろうとしたが、みっくんの長身がドアの前に立ち塞がっている。


「……そりゃあ、さあ。悪い気はしないよ。するわけないよ。顔も頭も性格もびっくりするいいのよ? あと返信は早いし遅刻しないし真面目に言われたことやるし誰かさんみたいに個人情報のセキュリティガバガバじゃないしあれでなかなかメンタルも強いし」

「じゃあ何? しっぽ振って待ってるみたいなあの従順さが好みじゃないわけ? 単純に年下が男に見えないだけ? あいつゴリゴリに成人してるよ、ちょっと紛らわしいRPしてるけど。あと……」

「もういい、もういい。さっきから大輝にトゲがあるのはなんなのよ。だ、だから恋愛対象には入るっつってんの」

「やっぱりね」


 うわ〜。ニヤニヤされるのすごく腹たつ〜。


「恋愛はできるの。少なからず好もしいとも思ってるの。社会人としてとかそういうモラルの問題でもなくて……だから困るの」

「あたち大輝くんのこと恋愛対象として見れなぁ〜い♡とかそういうことではないわけね。あとオタクだから推しに手は出せません♡善良なオタクなんで♡とかやったらハクトのファンにぶっ飛ばされるぞ、うちの推しを弄ぶなクソ女って」

「いちいち煽らなくてもいいでしょ。あとどんなキャラでもガチ恋はいるから中の人が恋愛してる時点でぶっ倒れるファンは一人や二人じゃないよ」

「そのあたりはよくわからんけどさ〜。面倒くせぇな、はよくっつけよ。それから考えろ。ヘタレ犬が拗らせてヤンデレ犬に進化するぞ。キャンセルできねぇからな」


 そういうシステムなの……? 真面目に話してるのに小ボケ挟まないでよ調子狂うなあ。


「でも、でも、くっつ……付き合いたいわけじゃないの。弄ぶなクソ女って言われちゃったらそれまでだけど、でも好きなのと付き合うのは違うじゃん?」

「そういった恋愛の形をお望みで?」

「そういう難しい話をしてるんじゃないの。大体さあ、恋愛対象に入るか入らないかって話ならみっくんだって恋愛対象には入るからね? この才能の塊がよ。無駄に気遣いもできるし作曲もできれば歌もうまいし身長高いしチャラいけど意外と根暗なギャップもあってさぞおモテになったことでしょうね! あんたは偉いよ! でも返信早くしろ!」

「褒めるか貶すかどっちかにしろよ。あと顔と頭は褒めない正直さ、俺は好きだよ」

「面と向かって褒めるのセクハラかと思って配慮しただけで私はみっくんの顔好きだよ。ビジュつよいなって感心しながら見てるよ」

「そりゃどうも……。え? 何ひかるちゃん俺のこと好きなの? 泥沼すぎない?」


 む、むかつく〜! その物言い、腹たつ〜! 俺のこと好きなのとかブッこいていいのは少女漫画のイケメンだけだよ馬鹿野郎が〜!


「顔怖いよ、ごめんて」

「わかればよろしい」

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