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其の百十九…『昼休み怪談部事始め:『足をはやす女』と『第五回会議』の話』

『今回』は『其の百十五』の『続き』……なのだが、例によっては『論争』ばかりで『怪奇現象』が全く発生していない(汗)。


 なのでかなり『無理やり』に『怪談』を『挿入』する。これは『斎藤君』という『男子生徒』が話してくれたことだ。



 少し前に『柊さん』という『女子生徒』が『塾』からの帰り『遅い時間』に『野々市市(金沢のベッドタウン)』の市街地を歩いていた時だ。ふと『公園』にさしかかったのだが、その『公園』は『街灯』も何もなく『真っ暗』だったそうだ。


 だが『柊さん』は『街灯が切れたまま放置してるんでしょ』とだけ思って通り過ぎようとすると、『公園』の中から、



『お~い! お~い!』



 と誰かが呼ぶ声が聞こえる。立ち止まって見てみると『一本足の人間』がこっちに向かって『ぴょんぴょん』と飛んでくるのが見えたらしい。


 途端に『柊さん』は怖くなって、


『ひぃ!? お化け!?』



 と叫んで逃げたらしい。だが足がもつれて盛大に『転んで』しまい、『一本足』に追いつかれた。



『…………おいお嬢ちゃん、大丈夫か?』


『…………へ? に、人間??』と『柊さん』


『はぁ??』


 だがその『一本足』は『片足しかないお爺さん』だったらしい。若いころに『交通事故』で片足を失くしてから『義足』で生活していたが、最近『太った』せいかわからないが『義足が外れやすく』なっていたらしい。そして日課の『夜の散歩』の途中に立ち寄った『真っ暗な公園』で『義足』が外れてしまって、足元も悪いし椅子がどこにあるかも見えないので、偶然通りかかった『柊さん』に声をかけたらしかった。


 そして『お爺さん』は自分が『一本足の化け物』扱いされたことを知って『大笑い』して、


『ははははは! 片足が無いだけで『妖怪』かワシは! 『夜の闇』が怖いのならもっと早く帰るべきだな! それだと『ススキの穂』だって『幽霊』に見えちまうぞ! ははははは!』


『ほ、本当にすみません……! そんなつもりは全然なかったんです……!(平謝り)』と『柊さん』



 すると、突然『闇』の中から『髪の長い知らない女の人』が出て来たらしい。


『うふふ、『お爺さん』その『足』は『不便』じゃないかしら? 今から私が『治して』あげるわよ』と『女』


『はぁ? あんた誰だ?? このあたりに住んでる者じゃないだろ、いったいなんだ急に……』と『お爺さん』


 だが『女』は無許可で『お爺さん』の片足についている『カップ』にふれたらしい。すると『カップ』が地面に落ち、『新しい足』が『断面』から『生えてきた』のである!



『『!? うぎゃあああああああああああ!!!』』と『お爺さん』&『柊さん』


『おほほほほほほほほほほ! おほほほほほほほほほほ!』と『女』



『お爺さん』はその場で『卒倒』し、『柊さん』は全力で逃げ出していった。その『半年後』に『柊さん』が同じ『公園』を昼間に通ると『例のお爺さん』が『ベンチ』に座って休んでいて、



『…………ああ、見ての通り『足』が『生えた』んじゃよ。『目が覚めた』ら『女』はいなくて『病院のベッド』の上でな……いったいあれはなんだったんだ……訳が分からん……』と『お爺さん』


『そ、そうだったんですか……ご殊勝様です……』と『柊さん』



 ちなみに『お爺さん』は『失神』したときに『心臓発作』を起していたらしく、そのせいで『右上半身』に『麻痺』が残っていたそうだ。『リハビリ』のおかげでとりあえず『退院』はできたそうだが。








 さて、ではここからが『本編』だ。『前回』に引き続き『鳴神さん』が『ノアさん』と『悠さん』相手に『ユズハさん』を『援護』している。



「…………まあ『量子力学が仮説』と言うのは少々『語弊』がありまして、『学者』たちは『量子力学の理論』が『直ちにひっくり返るほど論理が脆弱』だとは考えていません。実際この『科学理論』は『100年間』に渡り『人類最高の天才たち』が『激論』を戦わせて『磨き上げられた』ものですので、恐らく『最も完成度の高い理論』と呼ぶべきでしょう……しかしだからと言って『物理学者』たちが『絶対に量子力学の理論が覆ることはない』とは『断言できない』のです。これはどちらかと言うと『これまでの科学の歴史』からくる『経験則』と、『アインシュタイン』が指摘し続けた『非局所性』が未解決なためなのですが……まあそれはいいでしょう(おほん)」と『鳴神さん』



 彼はそこでいったん『休憩』しつつ『ノアさん』と『悠さん』が『何を言い返していいかわからない』様子を確認してから、



「…………ですが『量子力学』というか『科学』において重要な精神は『今世間で常識と思われている理論が本当に正しいかわからない』という『懐疑の精神』と、それと同時に『計算と理論で導き出された『結果』』がどれだけ『信じられないもの』だとしても『受け入れる精神』を持てということです。『全ての素粒子は『粒』ではなく『真空を伝わる波である』』という『理論』がどれだけ『直感』に反していたとしても、『素粒子が波である』と考えると『光の性質』や『超電導』などの現象を『説明できてしまう』上に『素粒子の動き』を『波動関数』で『計算』までできる……だからこの『素粒子は波である』と言う『奇怪な理屈』が『受容』されるのです。さて、ではこの『前提』に立って『科学的』に述べさせてもらえば…………」



 だが『鳴神さん』がこれ以上話そうとすると『ノアさん』と『悠さん』が『大声』をあげて『妨害』した。



「待ってください! あんたが『今』いったことはたぶん『正しい』んでしょう! でも『それ以上』は喋らなくていいですよ! どうせあんたは『量子力学の正しい話』を『都合よく捻じ曲げ』て『高宮柚葉』を『擁護』するでしょうからね!」と『ノアさん』


「『レトリック(弁論術)』と言う者は怖ろしいものですからね! 『量子力学の理論』はあくまで『科学』に対して用いるべき理屈で、『怪奇現象』に対して用いること自体が『ナンセンス』なはずです! あんたが『量子力学で高宮柚葉を擁護しようとする』時点でもうその『屁理屈』は『聞くに値しない』んですよ! 聞くだけ時間の無駄です!」と『悠さん』




 その話は『ナツメちゃん』や『ニア先生』も『首肯』した。


「『二人』は『中学生』なんだって? 頭いいわね~(感心)。そうそう、『量子力学』で『オカルト』を語るのは『ナンセンス』だし、『もっともらしい屁理屈』になるだけだって」と『ナツメちゃん』


「『鳴神』とか言ったな? お前は感心するほど『口が達者』らしい。精々『丸め込まれる』のが落ちなことは誰にだってわかるわな(他人ごと)」と『ニア先生』



「おんやぁ? 『あなた達』も『ユズハ』の『敵』なの?」と『及川さん』


「…………『ノーコメント』で」と『ナツメちゃん』


「え!?(衝撃)」と『ユズハさん』


(…………まあそうなるよねやっぱり……)と『私(汗)』



「私は『味方』だが『事実』を言っただけだ。というか『あんたら』が『ユズハ』を『庇護』するんだったら『氷室たち』を『説得』する必要があるのか? 『堰守衆』を『無視』して好き勝手にやればいいんじゃないか?」と『ニア先生』


「そりゃああるでしょうよ先生。だって明らかに『邪魔』してきそうじゃんか」と『及川さん』


「どうせ『人手不足』で大したことできんだろ。『守らない』のではなく『守り続けられない』んだ。どうだ『氷室』、違うか?」と『ニア先生』


「「あ、あんた『先生』じゃないのか……!!(激高)」」と『悠さん』&『ノアさん』


「…………」と『氷室さん』




 そして『鳴神さん』が『対抗』する。


「ほう! そうですか、じつに『見事』に『量子力学の理論』を『援用』して『怪奇趣味』を『賛美』しようかと思いましたが、そこまで言うのならやめておきましょう……(余裕の笑み)……ふふ、ですが『これ』だけは言わせてもらいますよ。『悠さん』と『ノアさん』、あなた達は『日本』において『普通の人』ですか?」と『鳴神さん』



 途端に『若手二人』が『硬直』し、それだけでなく『この場の全員(ニア先生と及川さん以外)』が『凝固』してしまう。この『異様にピリピリした空気』の中でも『鳴神さん』は『自由』を謳歌しながら、


「ははは! 私が言いたいことが『一瞬』で理解できましたか!? この『普通』という『概念』はなかなか『厄介』でしてね! 先ほど話した『飼い猫は年月を経ると化け猫になる』話にもかかわってくるのですが、なぜ『猫が喋る』と『怪異』なのでしょうか? それは『普通猫は喋らない』からです。『ポルターガイスト現象』も『普通誰も触れていないものは動かない』という『常識』に反しているから『怪奇現象』と呼ばれるのです……」



 さらに彼は『昼休み怪談部』がこれまで『蒐集した怪談』を保存している『ノートパソコン』を指さして、


「…………そして『ユズハさん』と『やっくん』がこれまで集めてきた『怪奇談』の中には実に数多くの『奇妙で訳の分からない話』が存在していますねぇ! 皆さんがそれを知らないはずがない、なぜならこの場にいる全員が『怪談持ち込みの経験がある人』か『退魔師』なわけですからねぇ! 例えば『其の三』の『連続墓磨き事件』は一体『何の仕業』なんでしょう? 『其の一の宇宙船』は果たして『幽霊や妖怪の仕業』なのでしょうか? 『不思議野町』とは一体『何』? 『鬼の赤ん坊』はまあ『妖怪』とみて間違いないでしょうが、『江戸時代以前』から存在しているというあの『果心居士』は人間? 『金工大の謎実験』に至ってはどちらかというと『超科学』の世界ですよね……他にも『恐竜の幽霊』とか『人類を滅ぼしに来た宇宙人の子供』とか『幽霊部員』とか……仮にこれらすべてが『怪異』なら、果たして『怪異の定義』とは? なんだと思います『堰守衆』の方々?」と『鳴神さん』




 ここで『ノアさん』がすぐに答える。


「…………『堰守衆』は『宇宙人』であろうが『超能力』だろうが『デスゲーム異世界』であろうが『謎のトラックドライバー』だろうが『追いかけてくる大男』だろうが『火事を起こすおばあさん』だろうが一律に『奇妙で不思議』であれば『怪異』認定します。なぜなら『怪異』は『融通無碍』で『どんなものにでも化けられる』からです」


 さらには『悠さん』も、


「『怪異』は『戦略上』、『奇妙』かつ『不可思議』であればあるほど『退魔師』に対抗しやすくなるんですよ。『支離滅裂』であればあるほど『人間の脳』が『混乱』しますからね……だから『討伐対象』は『明確に幽霊や妖怪に仕業とわかる現象だけ』に限定しないのです」




「では『怪異』の『定義』は『普通ではない事柄』ということでいいですかね?」と『鳴神さん』



「「……」」と『二人』




 どうやらこの時点で『二人』は『次の言葉』がおおよそ『察せられて』いたのかもしれない。すでに明らかに『困っていた』からだ。そして『鳴神さん』は一切『容赦』しなかった。



「認めましたね! では『普通でないもの』が『怪異』なのなら、例えば『夜中に突然見ず知らずの全身真っ黒な人間に追いかけられた』も『怪奇談』にできるはずです! まず『見ず知らずの人に追いかけられる』が『おかしい』ことですし、もっと言えば『日本国内』では『黒人』がとても珍しいため、『二重に珍しい存在』に遭遇したことになる! そういうことでいいんですね?」と『鳴神さん』



「良いわけある……ますか!!! 『アフリカ系日本人』はちゃんと存在する!!! 『俺自身』がそうだからです!!!! 『俺』を『怪異』だって言うのかあんたは!!!(怒髪天)」と『ノアさん』


 彼はもう『これ以上怒れないんじゃないか』と思うほど『怒って』いたが、『暴力』はぐっと我慢した。そして『悠さん』も『今すぐ食いちぎりそうな顔』になって、



「…………では『日本人イスラム教徒』も『珍しい存在』だから『怪異』だと???(殺意)」と『悠さん』


「でも『日本国籍を持つブラックアフリカ人』も『日本人ムスリマ』も『超少数派』で、一般的に『日本社会』では『黒人』も『イスラム教徒』も『外人』扱いされますよね?? それは紛れもない『事実』で、あなたたちの存在は『普通』ではない、そうですよね?」と『鳴神さん』



「『民族の定義』は『その人が自分を何人と思うか』で決まるんだ……ですよ!! 俺も『悠さん』も自分は『日本人』だと思ってるんです! それに『法制上』でも『日本国籍』を持ってるから紛れもない『日本人』でしょうが!」と『ノアさん』


「私たちが『日本では普通の存在ではない』から『怪異』と同じ、そんな私たちが『怪異を憎む』のは『同族嫌悪』だとでも?? 『日本人』は『舐められたら殺す精神』なんですよ、それは同じ『日本人』相手も例外じゃないですからね??」と『悠さん』



「おやおや、落ち着いてください。私だって元々は『日系ブラジル人』ですからあなた方と『同じ』ですよ。いえ、私の場合『祖先が明確に日本人』なのに『異分子扱い』されてるんですから『もっと深刻』かもしれませんねぇ? ふふふ……さてさて、なにも私は『差別』の話をしたいわけではありません、ただ『普通』というものを『怪異認定』の『基準』にするのなら、そんなものは『定義なし』と同じだと言いたいってことですよ」と『鳴神さん』




 さらに彼は『ナツメちゃん』に向かって、


「あなたも『私たちの仲間』なわけですからこの手の話には『敏感』かもしれませんが、私たちのような『少数派』や『外人』は『普通の基準』というものに『反抗』しなければなりません。『金沢』の街中を歩けば『外国人』は山のようにいますし、彼ら全員が『旅行者』ではないことも『事実』として受け止める必要があります。それが『金沢の普通』なのです。ですが『金沢市民』の中でいったいどれだけの人たちがこのことを『素直に受け入れる』ことができるでしょうか? まあ『日本国民か否か』で『法制上の権利と義務』の違いも生じるので、この話は『法律』にも絡んできて大変『厄介』なのですが、今そこは『論点』ではないので『無視』しますがねぇ……」



 すると『ナツメちゃん』が言う。


「……まあ『法律』の点で『ツッコミ』はできるけど、でも『法律は結局のところその国の人たちの『考え』が文章になったもの』と思えば『そこまで間違ってない』きもする。だけど、まあそれは確かに今は『無関係』。でもやっぱり『鳴神さん』の話は『詭弁』だと思うよ私はね。だって『怪異』は明確に『危険』じゃんか」



「ふふ、かつて『アメリカ』では『黒人は野蛮で凶暴である』と言う『ステレオタイプ』から『過酷に扱う』ことが『正当化』されていましたし、それが『現地社会の経済活動(低賃金労働者としてこき使える)』に直結していたので『合理的』でもあったんですよ。ですから『この種は危険だから』で一律に『退治』するのは間違いなんです。『怪異』にも『人間を助けてくれる存在』がいないわけではない……そうですよね?」と『鳴神さん』



 この話は次回へ続く。




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