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魂魄双伝~祖国統一編~  作者: 希紫狼
序章~塔零記~
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第十六話:流行と慣習

いよいよこの世界の流行が――判明!!


いざ本日二話投稿!!(当時の談)


※前回からの続きです

「だが……何か考えていたな……!」と真藤しんどうに問い質してみる貴狼きろう

 これに真藤かれがすぐに「はい……」と素直に答えた。

「どうした? 今すぐにでも前の世界に帰りたいか……?」と真藤に重ねて質してみる貴狼。

「いっ、いえっ! そういう訳ではないんです……! 実は……別のことを考ええていまして……」と焦る真藤。この時の彼はすぐに椀を置いて、べたに両手をも振っている。


「別のことねぇ……。大抵の奴は家に帰りがたるだろうに……」

 不思議がってこう呟く仙水せんすいに、真藤が改まって真剣な顔を向けている。

 ――どうも俺に、『別のこと』をきたいんだな……。と察した仙水。

 仙水かれはすぐに真藤と目を合わせて、うなずきを以て合図を送る。

 すると、真藤が意を決したように、目をギラギラと輝かせて――

「あの……ずっと、気になっていたんですけど、『元の名前』とはどういうことですか?

 本名は『植原来須うえはらくるす』さんで間違いないんですよね?」と話を切り出す。

「ああ、それね。まぁ、今は訳あって本名封印してんだよね……」

 この冷静な仙水に返答に、真藤は「どうしてですか……? まさか、ひょっとして……?」と勝手に恐ろしい想像をして……自身の顔を青くしていく。

 目に至っては、絶対に会ってはいけない存在と遭った時の目と化している……。

 続いて、陽玄ようげん鋒陰ほういん、さらに貴狼の三人が「ジトーッ」っと疑惑の目を仙水に……。事情を知っている彼らのこと。確実にたわむれに興じている。


 これらの視線に耐えられなくなった仙水は真藤をして――

「『まさか、ひょっとして』ってなんだよ!! 何を想像してたんだよ!!

 分かっちゃったから、はっきり言うけど、俺は何もしてないからね(犯罪に関して)!!

 本気マジで何もしてないからね(重ねて犯罪に関して)、絶対!!」と真藤げんきょうに対して激しく取り乱してツッコんでしまった……!

 真藤だけならまだしも、事情知っている三人が面白半分で加わってしまっているのだから、その取り乱し様にも拍車が掛かってしまった……。


 そんな仙水かれに対して真剣に謝ってくれたのは――

「たっ、大変!! しっ、失礼しましたっ!!」と謝した当の真藤げんきょうだけ。

 後の三人は「シレッ」と視線を逸らして、「ガツガツッ」と食事に夢中な様を装っている。

 確実に「俺は無関係!」と決め込んでいる三人かれら……。

 本当はそんな三人かれらにも何か言ってやりたい仙水であったが、身分や役職が『君主』や『摂政』では格が違いすぎる。それに彼らの戯れにツッコんでいては体ごと持たない。

 結局は仙水は「ふう……」と深呼吸してから、話を再開することにする。


「なんか……俺達日本人の訓読み風の名前がよ……。

 旧日汎ここじゃ……『旧日汎(じっぱん)式』って呼ばれていてよ……。

 案の定、『旧』って呼ばれている以上、時代遅れで流行はやってない名前でよ……!

 ――おまけにかっこ悪いし、ダサいッ! ってから、そんな種類の名前は庶民だけ。

 それも、旧日汎ここだけの話じゃない。他の地域とこの奴らもそう思ってるな」

「は……流行りじゃない……! ダ……ダサい……!」

 仙水の話に衝撃を受ける真藤。その証拠にお椀を持つ手が震えている……。

 まさか異世界ここで日本人の名前を否定される羽目になるとは夢にも思うまい。

 今の彼の心中を自然に例えると、火山が噴火してその火山灰が降り続けている状況。

 おまけに――の光が全く差されていない……救いようのなさ……。


 そんな真藤の虚ろな眼から、――まぁ無理もねえか……。と彼の絶望を感じ取った仙水。

 ――俺も聴いた時は「現実マジカアアアッ!? コレガ異世界カアアアッ!?」ってショック受けて叫んだわ。とこればかりは己の過去を思い出して、真藤かれに同調する。

 しかし、今世界ここで生き抜く上には最低限必要な知識にして慣習ならわし

 その上、真藤かれの将来の為にも知っておいてもらいたいので、仙水は――

「それと反対に今の流行はやりは、旧日汎ここじゃ『大陸式』って呼ばれてる。

 音読み風の『氏』と『名』、プラス『あざな』で一セットだな。

 これが今の……位が高い奴の標準スタンダードだな。

 この種類の名前の奴は、たとえ平民でも御竜顔ごりゅうがんを拝めるって訳だ!」と冷静に話を続けることにする。若干の自慢も混ざってはいるが……。

「『御竜顔』ってことは――“皇帝”にも会えるということですか?」と真藤も立ち直り、話を聴いていく。好奇心が絶望よりまさったためだ。今はそれで何より。

「そういうこと。京賀国ここを含んで、周辺の国は『旧日汎(じっぱん)王国領』って呼ばれてることあっけど――ほぼ皆そうだな……」

「それで……あの……。えっと……“知事閣下”……」

 この真藤の『知事閣下』に「ああ、俺のあざなの『仙水』さんでいいよ! それと他の人も字でいいよ!」と照れる仙水。今でも「閣下」呼ばわりは慣れない。

「じゃあ、仙水さんも……それで名前を変えたんですか?」

「まぁ、実を言うと……今の職に就くときにもらったんだよね……。

 低位の官吏かんり(役人)ならともかく、俺のように『知事』レベルの奴の名前が大陸式じゃねえと、部下もまともに命令を聞きやしねえことがあるんだよ!

 それに、元から大陸式の名前を持っていない奴が、自分の主君から新しく大陸式の名前をもらうことは非常にありがたいことなんだよ! この世界じゃな……!」

「……」

 仙水の話を聴いて、堅く押し黙る真藤。文化の違いは予想以上に圧倒的……!

次回予告:鍋の中身――気になる?


今回の登場人物

*京賀国

陽玄ようげん:京賀国の君主。まだ幼い。

貴狼きろう:京賀国の摂政。

鋒陰ほういん:陽玄の師。まだ幼い。

仙水せんすい:京賀国の地方知事。

真藤しんどう:平成二十九年からの転移してきた日本人浪人生。

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