嫌い。
「……き!彩樹!」
「扇、原?」
「大丈夫か?まだ寝てろ」
目が覚めた場所は、保健室。
「花夜、ぶっ倒れたんだ。」
「そうそう。奏悟が運んだんだよ。ここまで。」
扇原の一言で記憶が蘇って、
「っっっっっっっ!!!!」
顔から出火した。
奏悟って誰だ?平岡の名前だ。じゃあやっぱりあれは現実。
「あ、彩樹顔赤い。熱?」
「るっさい!お兄ちゃんは?いなかった?」
「あー、今奏悟が連れてかれた。絞られてんじゃね?」
「マジか。やばいね平岡。」
「そうだな。とりあえず寝てろお前は。」
「分かった。じゃあね」
平岡の安否が気になるところだが、その時は凄くだるくて、目を閉じたらすぐに眠ってしまった。
「ねーぇ!涼夜先輩まだぁー?」
次、目が覚めた時は、廃校になった学校の体育館のマットの上にいた。
時刻は18:30
「は?」
私は、確か保健室にいたはず。いや、いた。
なのに何故、体育館?
時間もすごーく経っている。
え、怖。
「あ、涼夜先輩の妹ちゃんっ、起きたぁ?おはよぉ。ぐっすり寝てたねぇー!睡眠薬って凄ぉい!」
「ここどこですか。」
甘ったるい声に、喋り方。
この声、1回だけ聞いたことがある。
前は、こんな喋り方してなかったのに。
「なんなんですか、春寧センパイ。」
「あれぇ、妹ちゃん怒ってるぅ?」
偉そうに、体育館のステージから見下ろしてくる、弓道部2年の春寧センパイ。
後ろに、3人くらいの男子がいる。
「最近部活にも来てないと思ったらこんなことしてたんですね。」
「妹ちゃん、怒らないでぇ?可愛いお顔が台無しよぉ?」
「うるさい。何がしたいの?何が目的?」
「涼夜先輩を呼ぶための材料よ。」
……やっぱり。
「お兄ちゃん、来ないんじゃないですか?帰っていいですか?」
「うるさい。だぁめ!動かないでくれる?」
ストン、とステージを降りた。
カッターなんて物騒なものを持って。
「私ね、ずぅっとあなたが嫌いだったの。」
「……」
「慶真先輩とか、曜や、理央にも媚び売ってさぁ?キモイのよ。その髪だって、慶真先輩にやってもらったんでしょ?ウザイ。」
カッターの刃を、カチカチと出す。
「その憎たらしいほど長い髪、短くしてあげるわ。」
「あ、」
誰かにナイフを向けられるのは初めてで、足がすくんでしまう。
「ばーいばぁい」
「あっ……」
右側の髪が腰のあたりから胸元までバッサリ切られた。
その瞬間に、頭の中のなにかが、ブツリと音を立ててきれた。
「おねぇちゃん……髪……」
死んだおねぇちゃんが、触ってくれた髪が。
撫でてくれた髪が。
「ああああぁぁぁぁぁあああああああああぁぁぁあ!!!!!」
私がくるったように叫びだした時。
「テメェ!!!!!!」
「きゃぁ!涼夜先輩っっ!!!」
お兄ちゃんが来た。




