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正夢が見れるなら高次元世界でも無双できる?  作者: ブルーギル
第3章 王座争奪戦
35/38

35話 主役になれ

『さあ、続いて中堅戦です。この中堅戦では、能力者はいませんが、オッズはどうなっているのでしょうか!』


【決勝・中堅戦、個人オッズ(単勝)】

 大濠 瞳 (チーム4(赤)/3年/ランキング圏外) :43.5

 祇園 昭二(チーム4(赤)/4年/ランキング圏外) :19.6

 五条 透 (チーム27(白)/4年/ランキング圏外) :15.5

 三橋 澪 (チーム27(白)/3年/ランキング圏外) :78.6

 西陣 正雄(チーム48(青)/5年/ランキング圏外) :22.1

 姪浜 仁 (チーム48(青)/1年/ランキング圏外) :111.2

 室見 言葉(チーム61(黄)/2年/ランキング圏外) :23.9

 唐津 順也(チーム61(黄)/6年/ランキング圏外) :75.3


『やはり、オッズはかなり割れている! 1番人気は1回戦で2位、2回戦で1位と好成績が続いているチーム27の五条透だ! それでは、中堅戦スタートです!!!』


 ビーーーーーーー!!!!!


『フィールドは深海! 息はできるが、水の中。つまり、空中戦が可能だ! さらに、このフィールドには大きなギミックが設けられていて、ヒントがどこかに転がっているとのことです!』


『選手たちはそのことを知らんから、注意深く探りながら探索できるかがポイントじゃのう』


「くそっ、なんだこのステージは……! 水の中だから中々進めないし、視界も悪い上に空中もある。30分間全員誰とも会えずに脱落ってこともあるぞ!」


 五条先輩は泳いで相手を探している。


「ん? 上の方に何かいるぞ……あ、あいつは……!?」




「相手に会えない…! 早くバッジを壊さないと、タイムアップになっちゃう…!」


 三橋さんも必死に相手を探すが、相手は見つからない。


『白チーム、五条選手、脱落です』


「えっ……!? 五条先輩がこんな早くに…!? 相手、そんなに強い人がいるのかな…?」


『赤チーム、大濠選手、脱落です』


『黄チーム、室見選手、脱落です』


「ちがう、水の中にしてはいくらなんでも脱落者が出るのが早すぎる。そういえば、一ノ瀬先輩が言ってた……ごくたまに特殊なギミックがあるフィールドがあるって。……これ、フィールドになにかギミックが仕掛けられてるってことだよね」


 三橋さんは泳ぐのを辞め、海底に足をついた。


「考えよう……きっとどこかにヒントがあるんだ。……そういえば、海底の割にサンゴとかワカメとか生えて無くて、なんか砂とか岩とかばっかりだ」


 三橋さんは足元を注意深く観察する。


「……あれ? これは……石板……?」


 三橋さんは文字が書かれた石板を見つけた。


「『海の王ポセイドンは、杖を持つ』……どういうことだろう……?」


 よく見ると、石板はそこら中に落ちてあった。

 同じ内容のものもあったが、見つけた限りでは6種類の文があった。


「『大海蛇(おおうみへび)シーサーペントは、人々を襲う』『大海蛇シーサーペントは、ポセイドンに飼われていた』『海の生物は、杖で王を認識した』『海の王ポセイドンは、杖を中央の(ほこら)に隠した』『大海蛇シーサーペントは、高いところを好む』……」


 三橋さんは、頭の中で文章を整理する。

 人を襲うシーサーペントが、高いところを好む……。


「もしかして、このフィールドの上空には、シーサーペントっていう化け物がいるってこと……?」


 三橋さんは遥か遠くで太陽の光が差し込んでいる上空を見上げた。


「ギミックとして解釈すると、中央の祠にあるポセイドンの杖を持っていくと、シーサーペントを操れるってことだよね…」


『唯一石板の存在に気が付いた三橋選手! ポセイドンの杖が隠されている中央の祠に向かって泳ぎ始めました! 一方で、その他の選手は足元には目をくれず、空中を泳いでいます。ああっと、黄チームの唐津選手、シーサーペントに見つかってしまった! あっけなくバッジを潰されて脱落です!!』


 三橋さんは中央の祠に向かって泳ぐ。


「はあ……はあ……。あった、祠!」


 中央には、小さな祠があった。

 そして、その中には、石板通り杖が置かれていた。

 三橋さんはその杖を取り、上空へと泳ぎ始めた。

 するとニョロニョロと巨大な影が見えてきた。


「あ……いた……! 大海蛇、シーサーペント……!」


 シャアァァァァァ!!!!


『三橋選手、シーサーペントに遭遇しました! シーサーペントは三橋選手の杖に反応し、おとなしくなっています!!』


『見事にギミックをクリアしたのぅ』


「力を貸して……シーサーペント!!」


 シャアァァァァァ!!!!


 シーサーペントは三橋さんを背中に乗せ、凄い速さで泳ぎ始めた。

 そして、相手を次々と見つけ、撃破していった。


 パリンッ!! パリンッ!!


『決着うううううう!!!!超特殊フィールドのギミックを見事解除し、白チームの三橋選手が中堅戦を制しました!!』


 ワァァァァァァァァァッ!!!!!!

 パチパチパチパチ!!!!


「うおおおおおおお!! 三橋いいいいいい!!!!」


「澪ちゃああああああああん!!!!」


「三橋さああああああん!!!!」


 俺達の控室はお祭り騒ぎになっていた。


 深海に髪をなびかせ、シーサーペントにまたがった彼女は信じられないというような表情の後、何かが吹っ切れたような表情へと変わった。


「私……やったんだ……。私にも……やれたんだ……! ……よしっ!!」



 三橋さんは小さくガッツポーズをした。

 その映像を会場から観ていたファミレスの店長は、目に涙を浮かべて拍手を送っていた。


「澪ちゃん、しっかりと見届けたぜ……! よくこの大舞台で主役になったな。おめでとう……!!」


 控室に中堅戦の二人が帰って来た。


「お前たち、最高だ!!!!」


「お疲れ様です、五条先輩、三橋さん!」


「すまなかった。三橋がこんなに頑張ってくれたのに、俺は最初に脱落しちまった」


「いいえ。あの強い五条先輩が早くに脱落したからこそ、何かあるって考えられましたので!!」


「お前たちの信頼関係と三橋の謙虚な姿勢が勝ちを手繰り寄せたんだな」


『中堅戦が終わり、今のポイントはこのようになっています!!』


【決勝】

(赤)チーム4 :3 pt

(白)チーム27:6 pt

(青)チーム48:2 pt

(黄)チーム61:1 pt


『これを見る限り、白チームの独走体制だ! 白チームは大将戦で1人でも2位以上を獲れば優勝できると言えるでしょう!』


『逆に白チーム以外は1位を取るだけでは足りず、条件が厳しいというわけじゃのう』


『最終決戦、白チームが逃げ切るか、はたまた大逆転勝利は起こるのか!! さあ、大将戦の投票も締め切られました。オッズをご覧ください』


 【決勝・大将戦、個人オッズ(単勝)】

 時谷 未来(チーム4(赤)/6年/1位)      :2.2

 御節 陳子(チーム4(赤)/2年/ランキング圏外) :284.2

 七道 小雲(チーム27(白)/6年/7位)     :12.6

 九重 糸 (チーム27(白)/1年/ランキング圏外):128.6

 千陽 朝日(チーム48(青)/6年/2位)     :3.4

 大牧 小筆(チーム48(青)/3年/ランキング圏外):281.2

 フィアス (チーム61(黄)/1年/6位)  :7.5

 味 伊井根(チーム61(黄)/3年/ランキング圏外):235.1


『改めて凄いメンバーですね。見ての通り、どのチームからもランキング一桁の能力者が出場しています』


『決勝戦の大将戦にふさわしいメンバーじゃ』


「泣いても笑ってもこれが最後だ。九重、七道! 後はお前たち二人に任せた! 思いっきり行ってこい!」


「「はい!」」


「糸くん。頑張って!」


「頑張ってくだサーイ!!」


 みんなから応援の言葉を受け取る。

 そして、五条先輩が歩み寄って来た。


「……九重、終わる前に言っておく。あの日お前が俺の部屋に来てくれなかったら、俺は(くすぶ)ってたあの頃のままだった」


「五条先輩……」


「これが俺達がチームとして戦う最後の時間だ。だから、悔いのないように戦ってこい! たとえ負けたとしても、俺はお前とチームになれて良かった!」


 三橋さんも重ねるように声をかけてくれた。


「私もだよ。何もできない私が、こんなに頑張れたのは九重くん達のお陰。一緒に特訓できて、とっても楽しかった! だから、最後は九重くんが納得のいく試合をしてきて!」


 やばい。泣きそう。


「糸くん。行くばい」


 小雲先輩が手を差し伸べる。


「……はい!」


 そうだ、泣いても笑ってもこれで終わりなんだ。チームのみんなと特訓をして、色んな体験をしたあの日々が、この試合で終わりを迎えるんだ。


 どういう結果になったとしても、きっといつか振り返った時に良い思い出だったと言えるように、最後まで戦い抜こう!


『皆様、お待たせしました。選手の準備が整ったようです。それでは運命の大将戦、スタートです!!』


 ビーーーーーーー!!!!!


 ワァァァァァァァァァッ!!!!!!


『フィールドはオーロラが降る北欧の街! 虹色の空に星が輝く、美しい最終ステージだ!』


 ドォォォォォォォォォォォン!!!!!


「!? なんだ、近くから閃光のような光と、凄い音が鳴ったぞ! これってまさか……!」


『フィールドに爆音が鳴り響く! Cブロック準決勝と同様に、千陽選手が繰り出したものだ!』


『繰り出したエネルギーの反射を感じて、千陽選手は相手の居場所を全て把握したようじゃのう』


『さあ、その千陽選手は走り出している! その先にいたのは、現在首位の白チーム、九重選手!』


 ザザッ!!!


「朝日さん……!」


「糸くん、すまないね。たまたま僕から一番近かったのが君なんだ」


 朝日さんは俺のバッジをめがけてレーザー光線を繰り出した。


 ドドーーーーーーーーーン!!!!!


『ああっと、九重選手、早くも脱落か!? 煙が晴れてきました……っと、なんとそこにはフィアス選手の姿が!! いつの間にそこにいたんだ!?』


『こりゃたまげた、今のは【空間の次元】と【逆空間の次元】を同時に利用した瞬間移動じゃ! これは、かつて空原(そらばら)が使用していた、空間を伸び縮みさせて移動する技じゃ! さらにその後に千陽の【エネルギーの次元】の光線を【エネルギーの次元】で迎え撃って弾き返したぞい! なんて子じゃ!!』


「フィアスちゃん、ようやく本気を見せてくれたね……」


「糸、逃げて」


 フィアスは左手を広げて俺を(かば)い、右手で杖を構えている。


「で、でも……!」


 ドドーーーーーーーーーン!!!!!


 間髪入れずに朝日さんは攻撃してきて、それをフィアスが【エネルギーの次元】で弾く。


「逃げて!!」


「う、うん……!」


『なんと、明らかに黄チームのフィアス選手は白チームの九重選手を守ったぞ! これはどういう作戦なんだ!?』


『分からんが、手強い超能力者を先に始末する作戦かもしれんのう』


「一度、君とはゆっくり話たかったんだ」


「よく見たら、あの時糸を助けてくれた人じゃない。でも今は敵なんだね、残念」


 シュドォォォォン!!!!!!!

 

 今度はフィアスが朝日さんに向けてレーザー光線を発する。

 しかし、朝日さんは容易くそれをブロックする。


「これほどの威力のレーザー光線も放てるなんて……すごいよ、フィアスちゃん。……君は一体、何者なんだい」


「さあね」


 朝日さんはルビーのように、フィアスはダイヤモンドのように透き通ったマナを放ち、それぞれ赤いオーラと白いオーラで煌めいていた。


 シュドォォォォン!!!!!!!

 シュドォォォォン!!!!!!!

 シュドォォォォォォォォォォン!!!!


『フィアス選手は激しい千陽選手の猛攻を【時間の次元】で未来を見て予測し、【空間の次元】で空間転移を繰り返して避け、【エネルギーの次元】エネルギー砲を打ち返す!!』


 シュドォォォォン!!!!!!!

 シュドォォォォン!!!!!!!

 シュドォォォォォォォォォォン!!!!


 シュンッ!!! シュンッ!!!!


「……まったく、なんて子だ」


 次の瞬間、フィアスは【闇の次元】と【生命の次元】で朝日さんの精神を侵食した。そして、朝日さんの目の前に瞬間移動し、一気に間合いに入った。


 朝日さんは一瞬大技を繰り出そうとしたが、それはしなかった。


 パリンッ!!!!


『な……なんとなんと、青チーム千陽選手、脱落です!!』


 ワァァァァァァァァァァッ!!!!!


 場内にはどよめきと大歓声が鳴り響いている。


『千陽選手は最後、何かを仕掛けてきそうでしたが気のせいでしょうか?』


『おそらく準決勝の弥生選手との戦いで、そこまでのマナが残っていなかったんじゃのう。……じゃが、フィアス選手……こりゃバケモンじゃ……』


『さあ、千陽選手を倒したフィアス選手の進撃は続いているぞ!』


 シュンッ!!!


 パリン!!! パリン!!!


『無双だ! 無敵だ! 全ての次元を通じて相手の居場所を正確に把握し、空間を転移することで次々と撃破していく! 青チーム大牧選手、赤チーム御節選手、脱落です!』


 フィアスはオーロラの星空を自由自在に駆けていく。しかし、徐々にフィアスのマナは削られていき、髪の色が黒くなってきていた。


 そして、別の場所では――


 カツ……カツ……


「……なんや、わざわざそっちから来てくれたんか。これで探す手間が省けたわ……時谷……!」


「……」


 因縁の対決が始まろうとしていた。

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