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正夢が見れるなら高次元世界でも無双できる?  作者: ブルーギル
第3章 王座争奪戦
28/38

28話 開幕

 パンッ! パンパンッ!


 晴天の空に開幕を告げる七色の煙が舞う。

 そう、今日は待ちに待った王座争奪戦開幕の日だ。


 派手な飾り付けはにぎやかで、キャンパスがお祭り色に染まる。出店(でみせ)もたくさんあり、高次元世界の住人はもちろん、現実世界からの来客も多い。


「うおおお! たこやきでやんす! 焼きそばでやんす!」


「呪いグッズの出店も出てるよぉ!」


 赤砂寮からドクロの3人で一緒に来ていた。


 大会は全部で5日間ある。


 【1日目】

 9:30-10:00:開会式

 10:00-13:00:A~Dブロック1回戦、第1試合

 14:00-17:00:A~Dブロック1回戦、第2試合


 【2日目】

 10:00-13:00:A~Dブロック1回戦、第3試合

 14:00-17:00:A~Dブロック1回戦、第4試合


 【3日目】

 10:00-13:00:Aブロック準決勝

 14:00-17:00:Bブロック準決勝


 【4日目】

 10:00-13:00:Cブロック準決勝

 14:00-17:00:Dブロック準決勝


 【5日目】

 10:00-13:00:決勝

 14:00-14:30:閉会式

 17:00-22:00:祭り


「えーっと、開会式は9時半から。そして、幸坂くんはAブロック第1試合で、尻口くんはCブロック第1試合、俺はBブロックの第3試合か。幸坂くんたちは開会式終わったらすぐに出番だね」


「でもボクは大将だから、実際に戦うのはもうちょっと後かなぁ」


「ふっふっふ、おいらは先鋒だからすぐでやんす! 鍛えぬいた今のおいらたちは超能力者にも負けないでやんすよ! 早速、1年Cクラスのドクロバッジの意地を見せてくるでやんす!」


「二人とも頑張れ!」


『まもなく、王座争奪戦の開会式を行います。選手はメイン会場に集まってください』


「俺達も早く行かなきゃ!」


 俺達は開会式の会場へ向かった。



 ◇◇◇



 開会式。

 キャンパスに付属している大きな競技場に、全64チームが並んでいる。観客席は満員だ。


 生徒の親や高次元世界のお偉いさんが良い席に座っている。そして、この大会には競馬のように賭けの要素もあり、大勝ちするとなにやら貴重なモノが手に入れられるそうで、それ目的の人も山ほどいる。聞いた話によると、この大会の様子は高次元世界だけでなく、現実世界にもでかでかとテレビ中継されるらしい。


 校長の話にはじまり、開会式は終わりに差し掛かる。


「続いて、選手宣誓。昨年度王座争奪戦優勝チームより、6年Aクラス、時谷未来。同じく準優勝チームより、6年Aクラス、千陽朝日」


「「はい」」


 朝日さんと、紫色の髪の少女が舞台に上がる。

 二人の選手宣誓がこの大会の始まりを告げた。




 開会式が終わり、場内は騒然としている。

 俺達はチームで集まり、一ノ瀬先輩が今後の方針について指示を出した。


「俺と七道はBブロックの偵察に行くが、お前たちは自由行動してていいぞ。今日は俺達の出番はないしな」


「イエス!!」


 ジョニー先輩はどこかへ走って行った。


「俺も偵察にご一緒していいですか? 第1試合に出場する19クラスはこの目で見ておきたいんです」


「もちろんだ、五条。それじゃ、解散!」


 自由行動になったので、俺はCブロック第1試合の尻口くんの試合を見に行くことにした。



 ◇◇◇



 開会式は競技場で行われたが、実際の試合は競技場では行われず、半径1 kmのドーム内で行われる。その中は仮想空間が構築され、試合ごとにフィールドが変わる。ドーム内はあまりに広すぎるため、観客は映画館のように中継映像が見られる会場で観戦するのだ。


 とはいえ、観戦する会場も数千人が入るほどの、超特大の会場。ちなみに準決勝や決勝の会場は樫木講堂であり、数万人が入る。


 尻口くんの試合が中継されるC会場へ向かう。

 C会場の入り口では賭けのやり取りが行われていた。


 表示されているオッズは、総合結果のものと個人結果のものがある。


 【Cブロック1回戦第1試合、総合オッズ(単勝)】

 チーム33(赤):10.7

 チーム34(白):23.4

 チーム35(青):17.2

 チーム36(黄):33.4


 【Cブロック1回戦第1試合・先鋒戦、個人オッズ(単勝)】

 尻口 治虫(チーム33(赤)/1年/ランキング圏外):149.2

 筋肉 達磨(チーム33(赤)/5年/ランキング圏外):33.1

 陳々 沈々(チーム34(白)/2年/ランキング圏外):8.4

 偶々 玉々(チーム34(白)/4年/ランキング圏外):11.3

 折口 翔子(チーム35(青)/6年/ランキング圏外):48.4

 武谷 亮佑(チーム35(青)/3年/ランキング圏外):51.2

 竹中 優香(チーム36(黄)/3年/ランキング圏外):20.1

 川原 啓子(チーム36(黄)/4年/ランキング圏外):15.5


 例えば先鋒戦で尻口くんに賭け、尻口くんが最後まで生き残れば、賭けた149.2倍の景品が得られる。この数字が低いほどみんな買っていて、人気が高いことを意味する。


 賭け方は色々あり、一番オーソドックスなのは、どのチームが勝つかを当てる賭け方。そして、先鋒戦、中堅戦、大将戦で誰が勝つかを当てる個人の賭け方。他にも1、2、3位を全て当てる賭け方や、先鋒、中堅、大将を全て当てる賭け方もある。


 お金で賭け券を購入し、勝てばポイントを得られる。

 そのポイントはお金や貴重な道具に変換できるらしい。

 しかし、八百長を防ぐため、生徒の賭けは禁止だ。


 俺は席について、売店で売っていたポップコーンを食べながら、試合の開始を待った。


『Cブロック1回戦第1試合先鋒戦、開始です』


 ビーーーーーー!!!


 モニターにフィールドの様子が映し出される。

 尻口くんたちのステージは砂漠のようだ。


「うおお、暑いでやんす!」


 赤いハチマキと赤いマントのついた防具をつけた尻口くんがドアップで映る。胸には壊されてはいけない、赤色のバッジがついている。


 カメラが切り替わった。

 白チームと青チームの選手が接触したようだ。


 バンダナやマント、防具、バッジの色からチームが分かる。白色と青色ということは、この選手たちは赤色である尻口くんのチームではない。


 激しい杖の振り合いが繰り広げられる。選手の目は本気だ。

 練習とは違い、一度バッジを壊されてしまえばリタイア。


 俺はようやく公式戦の緊張感を感じ始めた。


 白色の選手が一瞬うろたえた隙に、青色の選手が白色のバッジをめがけて突く。

 

 パリン!!


『白チーム、陳々選手、脱落です』


 1回戦は実況なしだが、脱落した時はフィールド内および会場内にアナウンスされる。


 またすぐにカメラが切り替わった。

 赤色の尻口くんが、黄色の敵と戦っている。


「がんばれ! 尻口くん!!」


 尻口くんは必死に杖を振る。

 しかし黄色の敵は、それを容易くかわす。


 そして……


 パリン!!


『赤チーム、尻口選手、脱落です』


「ああっ! 尻口くんが!」


「くそうでやんす!!」


 尻口くんのパートナーも頑張っていたけど、やられてしまった。

 この後、中堅、大将と進み……


『チーム36、Cブロック2回戦進出です』


 残念ながら、尻口くんのチーム33は1回戦で脱落してしまった。


 試合後、トボトボと尻口くんのチームが出てきた。

 尻口くんは泣いており、その先輩はそれを慰めるように尻口の肩を叩いていた。


「尻口、お疲れさん! 結果は残念だったが、最後の年にお前たちとトレーニングできて楽しかったぜ!」


五里山(ごりやま)先輩は今年で最後だったでやんす……うっうっ」


「泣くな尻口、お前は来年も再来年もある。俺の代わりに、きっといつか王座を掴み取ってくれよな」


「五里山先輩……!! おいら……強ぐなるでやんず……! もっともっど、ずよぐなるでやんずう……!!」


「ああ。楽しみにしてるぞ!」


 尻口くんを励ましに行こうと思ったけど、今は俺が入り込むべきではないだろう。ここはクールに去ろう。


「糸くぅん……」


「わっ!! 幸坂くん!ごめん、試合見れてなかったけど、どうだった!?」


「負けたよぉ! うわぁぁぁん!!」


 幸坂くんは泣き出した。

 聞けば、先鋒・中堅と1位で進み、大将戦で2位以上をとれば2回戦進出という状況だったらしい。しかし大将戦、結果は瞬殺。一人の少女によって、一気に6人が倒され、大将戦はたったの18分で決着したという。


「あんなの強すぎるよぉ!!!」


「えっ、相手は誰だったの!?」


 トーナメント表を確認する。

 Aブロック1回戦の第一試合は……


「時谷未来だよぉ」


「時谷……! ど、どんな感じだったの?」


「スピードとかはそんなに速くないのに、ボクの動きが全部見透かされているように隙を突かれたの……」


 これは小雲先輩と同じように、おそらく未来を見て戦っているんだろう。でも、小雲先輩が言うには、時谷未来にはまだ先があるって……。なんて恐ろしいんだ。



 ◇◇◇



 午後は、雪夜の試合であるAブロック1回戦第2試合を見に行った。


 先鋒、中堅と終わり、この時点で雪夜のチームは1ポイントで、まさかの最下位。1位のチームが6ポイントだから、確実に勝つには大将戦で雪夜のチームが1位と2位を独占しなければならない。


 【Aブロック1回戦第2試合・大将戦、個人オッズ(単勝)】

 川野 雅子(チーム5(赤)/4年/ランキング圏外):121.1

 福沢 大海(チーム5(赤)/6年/ランキング圏外):144.2

 望月 英人(チーム6(白)/4年/33位)      :10.4

 川上 奏多(チーム6(白)/5年/ランキング圏外):59.3

 松蔭 雪夜(チーム7(青)/1年/5位)      :1.4

 陸上 塩太(チーム7(青)/3年/ランキング圏外):130.0

 田村 隼太(チーム8(黄)/5年/ランキング圏外):81.9

 中山 小子(チーム8(黄)/6年/ランキング圏外):66.5


 雪夜のオッズは1.4倍。

 ほとんどの人から支持を得ているということだ。

 大将戦前に観客がずらずらと入って来て会場内はほぼ満員。


「さあ、今日最注目の試合だぜ!」ざわざわ


「期待の新生、松蔭はどれほどの強さなんだ!?」ざわざわ


 みんな、今年が初参加で【闇の次元】の超能力者である雪夜が目当てのようだ。


『Aブロック1回戦第2試合大将戦、開始です』


 ビーーーーーー!!!


 ワァァァァァァァッ!!!!!!


 さっきの試合と比べてもすごい盛り上がりだ。

 フィールドは雪山。

 カメラも観客のニーズに応えるように、雪夜を中心に追っている。


 雪夜は青いバンダナ、マント、防具やバッジを纏い、全身が青に包まれている。


 しばらくすると、雪夜は赤いバンダナをした最初の敵に遭遇した。

 雪夜は杖を取り出す。その杖は以前俺とフィアスがあげた杖だったが、いつの間にか青く変色していた。


 雪夜の【闇の次元】を利用した猛攻が続くと予想されたが、意外にも普通に杖で戦っていた。どうやら相手の存在を感じ取る手段として【闇の次元】を利用しており、闇で相手を圧倒する手段はまだ取っていないようだ。


 パリン!!


『赤チーム、福沢大海、脱落です』


 ワーーーーーッ!!!!


 雪夜が相手を倒すたびに歓声が大きくなる。


 他の選手は吹雪で視界が封じられて相手を探すのでさえ苦労しているが、雪夜は闇を感じ取って次々と相手を見つけ、倒していく。

 そして………


『チーム7、Aブロック準決勝進出です』


 結局雪夜が相手を全て倒し、チーム7の二人が1位2位となった。

 勝つまでにかかった時間はわずか22分。


「千陽のように派手さはないが、こりゃ松蔭も相当強いぞ!!」ざわざわ


「準決勝の時谷vs松蔭が楽しみ!」ざわざわ


 そうだ、Aブロック準決勝ということは、次はあの時谷未来と当たるんだ。自分が選手であることを忘れ、俺もこの対決が見たいと思ってしまった。



 ◇◇◇



 大会2日目。

 今日は俺達チーム27の初陣だ。


 会場には、出場チーム専用の控室が設けられている。

 控室には大きなモニターがついていて、ここから試合を観戦できる。机に置かれているお菓子は食べ放題だ。


「遂にこの時が来たな。初戦、きっちり勝ち切るぞ!」


「「はい!」」


「先鋒はジョニーと二宮だ。上位を独占して、一気に波に乗ろう!」


「はい!」「イエス!」


「すごい、菊音ちゃん、オッズ2.8倍だって!」


 三橋さんが控え室のモニターに映し出されたオッズを見て驚く。


「ま、気負わずにリラックスしていけよ。中堅には俺らがいるし、大将には七道先輩がいるんだ」


『Bブロック1回戦、第3試合の先鋒の出場者は球場のゲートにお集まりください』


「よし、一発かましてこい!」


「菊音さん、頑張ってください!」


「ええ、頑張るわ!」




 ドームにはフィールド内に入るためのゲートが20か所ある。

 始まる前は入り口が閉まっていて真っ暗で、選手8人が別々のゲートに配置される。相手や自分がどこのゲートにいるかは分からない。


『Bブロック1回戦第3試合先鋒戦、開始です』


 ビーーーーーー!!!


 開始のブザーが鳴った瞬間にゲートが開き、菊音さんはフィールドへと足を踏み入れる。


 先鋒戦の舞台は、草原。

 どこまでも果てしなく続く穏やかな草原だ。


「あれだけ特訓したんだもの、きっと大丈夫」


 菊音さんはフィールドに駆けて行った。




『Bブロック1回戦第3試合、先鋒戦終了です。1位はチーム27、二宮選手でした。ポイントはご覧の通りです』


【Bブロック1回戦第3試合】

 チーム25:0 pt

 チーム26:2 pt

 チーム27:3 pt

 チーム28:1 pt


「二宮、お疲れ様!」


「菊音ちゃん最高やわ!!」ダキッ


「みなさんありがとうございます! 特訓のおかげです」


 菊音さんは【逆空間の次元】で相手の動きを正確に察知し、見事に先鋒戦を制した。ジョニー先輩はどんどん勝負を挑み、最初の1人は倒したが、次の相手に敗れ5位。入着とはならなかった。


「良い出だしだ。このままいくぞ!」


 続く中堅戦は五条先輩と三橋さん。

 五条先輩が2位、三橋さんが3位となり、3 pt獲得した。


【Bブロック1回戦第2試合】

 チーム25:1 pt

 チーム26:2 pt

 チーム27:6 pt

 チーム28:3 pt


「すごい、ぶっちぎりの一位だ!」


「あとは大将戦だけだな。七道、九重、頼んだぞ!」


「「はい!」」


 大将戦が始まる。



 ◇◇◇



「おい、見たかよお前」ざわざわ


「え、何を?」ざわざわ


「今日のBブロックの試合だよ! 1チームやばいとこあったぜ」


「Bブロック? Bブロックに超能力者はいなかったはずだが」


「7位の七道がいるチームだよ! なんか全体的に強くて、12 ptも獲りやがった!」


「12 pt!? マジかよ。でもBチームって昨日も強いとこなかったか?」


「あっ……!」




「やった、1回戦突破だ!!」


「努力が実った気分ね」


「ミーたちなら優勝できマス!!」


 俺達が喜んでいる一方で、昨日偵察していた3人は緊張感を解かなかった。


「お前たちよくやった、文句なしの結果だ。だが、気は抜けない。準決勝で俺達は強敵に当たる」


「チーム19ですか?」


「そうだ。何度も言うが、チーム19には先鋒、中堅、大将全てに能力者がいる。中でも中堅の桐山はランキング8位というだけあって相当強い」


「桐山楓……」


 桐山楓は五条先輩の因縁の相手だ。


「さらに、これから1回戦第4試合に出てくるチーム31の大将には、ランキング13位の小金井(こがねい)拓斗(たくと)がいる。もし勝ち上がってくれば、大将戦はなかなかにハードな戦いになるだろう」


 チームが少し静まり返る。


「相手は強いが、恐れることはない! 総合力では俺達も負けていない! 今日の調子で準決勝も突破するぞ!」


「「はい!!」」


 その後、チームで第4試合を観戦。

 予想通り小金井が大将戦を制し、チーム31が2回戦に進出。


 大会2日目が終わり、64チームの中から準決勝に出場する16チームが確定した。

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