きちんと確認しましょう
「カノン、温泉に行こう!」
「へ?」
そう抱きつかれながらレオンに抱きしめられたカノンは首をかしげる。
近くに火山か何かあったっけ。
「熱石という石の鉱脈があり、それで温泉があるらしい」
というわけで来たのは良いとして、人っ子一人いない温泉てどうなのだろうとカノンが思っていたら、どうも今日助けられた子供達のお祝いを村総出でやっているらしい。
それはそれで貸切みたいで良いのだが。
ちなみにそれが分かった瞬間、レンヤが何やら凄い笑みを浮かべつつ、特に人気の無いほうの温泉にルカを連れて行った。
ちなみにルカはその時ちょっと涙目だった気がするのだが、何かをレンヤが囁くと、びくっと体を震わせて大人しくレンヤに付いて行った。
どうしたのだろう。
でもレンヤはルカの事が大好きだから大丈夫だろうとカノンは楽観的に考えていた。そこで、
「よし、なんかあっちの方にも温泉があるから、トラン、あっち行こう!」
「ちょ、皆で入らないの? イオ」
そう離れていこうとするイオに、カノンは引きとめるように言う。
先ほどレンヤと話してきて、レオンを妙に意識してしまいカノンは二人きりは、と思い引き止めるも、
「カノンちゃんとレオンの二人っきりにさせてやろうって言っているんだ。言わせんな恥ずかしい!」
「はうっ!」
背中をイオに叩かれて、イオがあっと声を上げるのがカノンの後ろで聞こえた。
同時に湯の中にカノンは飛び込む形になる。
ざぶんと大きい水しぶきが上がって、カノンはずぶ濡れになってしまう。
「カノン!」
焦ったようにレオンが助けに向って、湯の中に濡れるのもかまわず入っていく。
そしてカノンを抱き上げるように起こす。
湯の淵からは、イオが焦ったように、
「カ、カノンちゃんごめん……」
「……うう、まあイオが悪気があったわけじゃなし、お湯に濡れたから乾かせば良いだけで……レオン?」
抱き上げた腕の中にいるカノンを見てレオンは動けなくなる。
濡れた銀色の艶やかな髪、その髪から滴り落ちる湯、そして、濡れて透けた服。
その透けた服が白い肌に張り付いて、桜色の胸の突起が見える。
なんだろう、先ほどの踊りの服もあれで良かったのだが、なまじ隠されている分、カノンが色っぽく見える。
しかも無防備に不思議そうにカノンはレオンを覗き込んできて、レオンは抑えきれずカノンの唇を奪った。
「んんっ!」
突然の事に焦ったものの、カノンは大人しくレオンとキスをし、舌を受け入れる。
レオンに舌を絡められながら、ふとこのまま自分の全てを奪われてしまえば、レオンとずっと一緒にいられるのだろうかと思って、そこでカノンは慌てて唇を放した。
「カノン?」
いつもと違う焦った様子にレオンは戸惑う。
一方カノンも動揺していた。
自分がレオンのものになりたいなんて、駄目だ。レオンがカノンのものになるならまだしも。
だって昔の魔王には、勇者を手に入れた者だっていたのだから。それがどんな形であれ。
そんな唇を離したまま、身じろぎ一つしないカノンにレオンは濡れた服の上から、カノンの桜色の突起を軽く押してみた。
「ひぃあぁあああ」
びくっとして、カノンはレオンの腕から逃れようとして、その反動でレオンとカノンは湯の中に飛び込んでしまう。
上まで濡れてしまったレオンは恨めしそうにカノンを見ると、カノンは顔を真っ赤にして、
「な、何をするんだ!」
「いや、いつもと違って慌てて唇を離すから、そんなに“信頼”されていないのかと思って」
「! そんな事無い」
キスは信頼の証で、レオンは記憶操作をしたとはいえ始めての親友で、だから……レオンに信頼して欲しくて、それを許して。
心を重ねるのをカノンは知らなかったから恥ずかしくて顔を赤らめた。友達なんていなかったから、嬉しかった。だから、えっと……。
カノンはレオンが好きで。
そこまで考えて、カノンはレオンから逃げ出した。
ばしゃばしゃと水しぶきを上げながら温泉から上がる。
そこで、イオがすっと透明な飲み物を渡してくる。
「カノンちゃんそれ飲んで落ち着いて」
「うん、ありがとう」
だから匂いも確認せず、カノンはその透明な液体を一気に飲み干して、そこで気付いた。
あ、これ酒だ。
その後の事は、次の日目を覚ますまでカノンは何も覚えていなかったのだった。
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