抵抗は無意味だ(3)
わきわきと指を動かしながらイオがカノンに向って近づいてくる。
カノンが出口とは反対の壁に向って逃げていくのを見ながら、レオンは空になった大皿を持ち上げた。
「じゃあ、俺達は片付けてくるから」
「! レオンの薄情者! イオを止めろ」
「アーアー、きーこーえーなーいー」
レオンはカノンの声が聞こえませんというかのように、耳を自分の手で塞ぐ。
その様子を見ながら、ふとレンヤが思い出したように、
「……そういえば、そんな言い訳をルカも昔していましたね」
「そうなのか。うむ、俺が最先端だな!」
と、妙に自慢げに言うレオン。
それは良いとして、気が付くと何故かルカまででイオに壁際に追い詰められていた。
「レンヤー、我を助けて……」
怯えたような、瞳を潤ませるルカにレンヤはにこやかに告げた。
「楽しみにしているから!」
「! レンヤの薄情者!」
「しばらく戻ってこないでね。ちょっとこれから二人を調きょ……じゃなかった、教育するから!」
「「やめてー!」」
二人そろって悲鳴を上げるので、騒音が他の人の迷惑になるのでレオン達はドアを閉めた。そこで、
「レオンは良いとして、レンヤ、いいのか?」
そう問いかけるトランに、レンヤは微笑みながら、
「俺もルカのそんな姿を見たいですから」
と、さらっと言い切った。
人は良いのだが自分の欲望に忠実なところもレオンにそっくりで、トランは何だかなと思った。
思っただけで止める気はしなかった。
カノンとルカには悪いが、イオがあれほど楽しそうなのだから少し協力して欲しいのだ。
幸いにも彼らの恋人及び恋人候補も喜んでいるようだし。
この程度のお遊びであの二人は機嫌を損ねるくらい、心は狭くないだろうから。
そうして、食器を渡してついでに飲み物を購入しつつ、雑談をしていると、宿の女将から面白い話を聞いた。
特に女将はレンヤがお気に入りのようだった。
「近くに、熱石という熱を発する魔力石の鉱脈があって、それを使った温泉がある?」
「小さいけれどね、場所を教えようか?」
お願いしますとレンヤが微笑みかけると、女将は丁寧に説明してくれた。
と、いうわけで後で他の三人を誘って行こうかと話していると、ホーリィロウがやってくる。
そういえば一足早くこの村に来るといっていたのをレオンは思い出す。
それに先ほどのレンヤ達の話から、彼らに接触したであろう事もついでにレオンは思い出す。
「レオン様、少しよろしいでしょうか」
「ホーリィロウ……分かった。ちょっと行って来る」
ホーリィロウはちらりとレンヤの方を見るも、レンヤは特に気にした様子は無い。
何かあったなとレオンは思いながらも、誘われるままにレオンはホーリィロウ達の部屋へと向ったのだった。
一方部屋の中では、カノンがある事に気づいた。
「だが待て。今回は、僕以外にルカがいる! 2対1でイオが勝てると思っているのか!」
「た、確かに。おじ……カノンさんの言う通りです! イオさん、無駄な抵抗を止めて今すぐ投降を……」
しかし、そんなカノンとルカを見ながらイオは、不敵に笑った。
「くくく、勝てると思っているさ。見よ! こんな事もあろうかと“全自動自縛縄・なわなわ君3号”」
イオが謎なアイテムを取り出した。
そしてそれをカノンに向って投げる!。
「へ? 何これ……うぎゃぁ!」
「カノンさん!」
イオが投げつけてきた縄をカノンが受け取った瞬間、その縄がまるで生きているかのように動き出した。
もぞもぞと這い回りながらその縄はカノンを拘束していく。
慌ててルカがそれをはずすのを手伝おうとするが、びくともしない。
それどころかカノンに気を取られている隙に、ルカはイオに捕まった。
「ひぃい」
「さあ、お楽しみのショータイムの始まりだ! ちなみにこれがつける服~♪」
カノン「縄が、やぁああ……ちょ、何で腕とか足に……ひぃいん!」
「! 殆ど隠す布が無いではないか! そんな飾りみたいな金の鎖やら宝石やら……」
「でもこの服人気あるんだよ?」
カノン「やぁあぁぁ、服の中……なんで、ひんっ……やだ、擦られて……ひぃい」
「そんな特定地域での人気なんか我は要らない! 露出狂じゃあるまいし!」
「酷いなぁ、隠す場所はちゃんと隠れているから問題ないよ。それにそんな露出なんて殆ど無い禁欲的な服装ばっかりだと、飽きられるかも」
カノン「ちょっ、何で肌を這って、やぁあ……そこ動いちゃ、やぁああ」
「なん……だと……」
「ふふふ、どうするー?」
カノン「やめっ!……食い込んで……ひぃ、くるよぅ……ふえぇぇ……やぁああんっ」
「……いやだ、やっぱり無理です! お断りします」
「仕方が無いなぁー。じゃあ力ずくだね! 僕も心苦しいよ」
「や、ちょ、ボタンが取れるぅぅぅぅ」
ルカが悲鳴を上げて、イオが楽しそうに服を脱がし始める。
そのすぐ傍でカノンは縄が縛り上げるために動き、肌が擦られるくすぐったい刺激に喘ぐ。
「やぁああ、そこ、そこばっか……やぁあ……ひぃいぅ、らめぇぇ――」
一際大きくカノンが啼いて、そこでカノンは上半身をロープでぐるぐる巻きにされたのだった。
そこで縄はようやく大人しくなり、カノンは頬を赤らめてぜいぜいと息を整えながらぐったりと床に転がる。
「カノンさん!」
ルカがそれを見て心配そうに近づこうとするも、イオががしっと掴みながら服を脱がせて、
「人の事を気にしている余裕があるのかな!」
「そ、それは悪役の台詞なんじゃ……」
「悪役の台詞は現実社会の不条理と相場が決まっているのさ!」
「全然関係ない、イオさんの台詞は関係ないぃぃぃ!」
服をどんどん剥ぎ取られながら、ルカは悲鳴を上げる。
カノンは床に倒れてぐったりしている。
そしてイオの魔の手はさらにルカに迫る!。
「どうでも良いのさ! さっさと脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「いやぁあああああ」
「ははは、良いではないか良いではないか」
「良くないぃぃぃ――!」
悲鳴を上げるルカに、楽しそうなイオの声がひたすら響く。
カノンは未だ床にぐったりしおり、ぴくぴくと体を弛緩させていた。
そんなこんなで、ルカとカノンの二人は涙目になりながら露出度の高い衣装を着せられたのだった。
魔王達の受難は続く。
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