伏字ってエロいよね
ブルースノウの村に朝方ようやく着いたと思ったら、レオンを取り逃がしたでござる。
「何であいつあんなに元気なんだろう……うう、酔った」
「……カノンちゃん馬車弱かったからね。やっぱり行きに酔い止めを買っておけばよかった」
イオが心配そうに覗き込みながら言う。トランはカノンお背中をさすっている。
そんな二人に申し訳なく思いながら、そして何故レオンは逃げたと恨みながら、
「……気合で何とかなると思ったんです。やっぱり精神力じゃどうにもならないと反省しましたです……はい」
そう未だ顔色の優れないカノンはため息を付いた。
本当に馬車の中ではくらくらして、カノンはレオンにしがみ付いたり、車輪が大きな石を超えた反動で抱きついて押し倒したり色々してしまった。
レオンの匂いはどこか甘くて、美味しそうで、安心させられるから、カノンはしがみ付いていたが、馬車がこの村に来たと同時にナンパに行ってしまった。
――僕の体調が悪い時くらい一緒に居てくれてもいいのに。
そうぶつぶつと文句を呟くカノン。
そんなカノンを見つつ、トランとイオは顔を見合わせる。そして、
「まあまあ、それよりもまず宿をとろう。カノンちゃんはこんな状態だし」
「宿を決めたら、俺がレオンを探しに行くから、カノンは少し休んでいた方が良い」
「うう、本当に二人とも優しい、大好き! そしてレオン、後で覚えていろ……」
カノンが抱きついてそんな事をいう。
ただトランとイオもレオンの気持ちが非常に良く分かったので、黙ってカノンを連れて宿へと向ったのだった。
ナンパだと言いつつ、どうにかカノンから離れたレオンは路地の壁に手を付いてため息を付いた。
「これは生殺しじゃないか……」
しがみ付いたり押し倒されたり……不可抗力とはいえ、好きな子にこんな事をされて、レオンは理性が跳ぶかと思った。
上手く誤魔化して離れたとはいえ、もう少しカノンには自覚を持って欲しいと思う。
きっとカノンにあんな風にすがり付かれたら、誰だってそうなる。
魅力的で、そして無防備である事を自覚してもらわないと困る。
「もうあまり長く、“幼馴染”っていういい訳使えないぞ……」
けれど手に入れると決めたから、レオンは必死で我慢する。
一時の気の迷いで全てを無駄にするつもりなど無い。
そして、顔を軽く数回手で叩いてから、
「さて、聞き込みでもしておきますか。まずはそこの露天で雑誌を売っているおじちゃんに聞くか。……お金あんまり持っていないし」
と、レオンは呟いたのだった。
レオンが来たら絶対、文句を言ってやろうと思っていたのに、何故かレオンはうわーんとカノンに抱きついてきた。
なので抱きつかれたまま、カノンは顔を真っ赤にして、けれど焦っている様子は見せないように努力をしながら、
「レ、レオン、どうした?……猫にでも追いかけられたのか?」
「俺にそっくりな勇者の話を聞いたんだ……」
「! それで?」
「すっごく好評だった。人助けから魔物の討伐まで……しかも皆にも優しくて、綺麗な銀髪の恋人もいたって」
「ええと、それでレオンは何で嘆いているんだ?」
「出来る男は違うわねって、皆言うんだ。ちくしょー」
どうも、自分の駄目さかげんに気づかされて、嘆いているらしい。
カノンはふつふつと先ほどの事を思い出して怒りが湧いてくる。
「……気分が悪くなった僕をレオンは放っておいて居なくなったりしたくせに」
「! でもちゃんと聞き込みしてきたぞ!」
「僕は、レオンに居て欲しかった!」
言ってからカノンがしまったという顔をした。
カノンは自分の弱い所なんて見せたくないし、それに、それではレオンの事が、カノンは……。
そこでレオンの背後で二冊ほどの雑誌が落ちた。
慌てて拾おうとするレオンを、カノンは何かあると思い、レオンを抱きしめかえす事で逃げられないようにして、
「イオ、それ何?」
ちゃっかり拾い上げるイオに、問いかける。
レオンは、いやいやと首を振る。
「えっと、『……少女の○ンコが』と煽り文句が付いている……インコの鳥篭を持った女の子の写真集だね。しかも露出度が少ない。あと、ページをめくったら、『腹筋百回な』って書いてあるね」
「レオン、腹筋百回」
「……はい」
素直にカノンの言う事を聞いて、腹筋を始めるレオン。
カノンは頭が痛くなる。
「……それでもう一つは?」
「『うん、またなんだ…(略)…トキメキみたいなものを感じてくれたと思う。さあ注文を聞こうか』って書いてある、カタログだね」
「……何を買ってるんだ、レオン……」
怒りを通り越して哀れむように見るカノンにレオンは力説した。
「仕方がなったんだ。仕方が無かったんだよ!」
「煩悩を煽るように書くのが売れるコツだからねー、こういうの。でも、どの子も銀髪だね」
にまにまと笑うイオ。そして銀髪と聞いて顔を赤くするカノン。
「……そ、そうか。で、でもこういうもの買わなくたって良いじゃないか」
「……獲物が目の前をうろうろしているのを我慢しているので、それくらい見逃してくれても良いと思うのです」
「? 意味が分からないよ?」
それには答えず、そのままレオンはカノンにキスをした。唇に触れて、軽く吸ってやる。
カノンの頬が朱に染まり、大人しくキスされている。
その可愛らしく従順な様子に、レオンはどうしようかと思うも必死で我慢する。
代わりにレオンは唇をすぐに放して、カノンの耳元で囁いた。
「俺、片想いしている人が居るんだ」
お気に入り、評価ありがとうございます。とても励みになります。
どの小説も完結はさせますので気長にお待ちくださいorz。
これから一旦、すべての小説が超不定期更新になります。三次元を悔しので少し頑張ってきます。
次の更新は未定ですがよろしくお願いいたします。




