とばっちりは避けられない
「や、やだぁ……やだぁ、ひうう」
「ふふふ、いやよいやよも好きのうちって言うでしょ!」
「本当にやぁ……だめっ、だめぇえええ」
何故かカノンがイオに服を剥かれて、露出度の高い飾りの突いた踊り子のような服やらアクセサリーをイオに付けられていた。
それが恥ずかしいのか、カノンは顔を赤らめて、えっぐえっぐと涙目になっていた。
「なんだろう、ここで止めたらいけない気がする」
「人間に同調するのは気に入らないが、これに関しては同意」
「ちょ、レオン、それにホーリィロウ……クラウ、お前は絶対に許さない」
「カノン……様、何故私だけ」
「話が違うじゃないか。何で放って置くんだ」
確かに魔族は、魔王を敬愛するもの。であるので、カノンがこんな危機的?、な状況になっていれば真っ先に手を差し伸べるべきだとカノンは思うわけで。
けれどクラウは少し困ったように、
「いえ、特に危害を加えようとしているわけではないですし」
「僕は嫌がっている!」
「よくお似合いにですよ?」
駄目だこいつ、そうカノンは判断してすがる相手をレオンに変えた。
「レオン! レオンは僕の味方だよね!」
「可愛いよ、カノン」
「味方がいない―――っ」
嘆くカノンをよそに、イオが凄みのある笑顔を浮かべて、
「さあ、いい加減諦めてこの薄布を被って……完成! 我ながら最高作品だ! よし、次は踊りの練習だ! 行くぞ! カノンちゃん!」
「いーやーぁぁぁぁぁぁ」
けれど救いの手は意外な所からやってきた。
「カノン君が嫌がっています。イオさん、止めて頂けませんか?」
「ホーリィロウ?」
きらきらと爽やかな笑みを浮かべながら手を差し伸べるホーリィロウに、一瞬惹かれるようにカノンが見ほれたのを見て、レオンが慌てた。
「カノン、こいつに……」
「いいもん。レオンみたいな薄情者よりこっちの方が良い」
「だそうですよ、レオン様」
「ぐぬぬ」
勝ち誇ったような微笑のホーリィロウに、レオンはうめく事しかできない。
しかし、ホーリィロウに捕まるよりも前にカノンはイオに抱きすくめられるように後ろに引っ張られた。
イオが凄みのある笑みを浮かべて、ホーリィロウとレオンに向って言い放つ。
「せっかくの僕の芸術品に手を出さないでもらえるかな」
「イオ?」
いつもと違うイオの様子に、レオンはイオと付き合いの長いトランを見ると、顔に手を当てていた。
「トラン、あれはどういう事だ?」
「踊りを教えるモードというか、そんなときに気に入った子を見つけると強制的に踊らさせるという悪癖が」
「何でそんなことに」
「いや、さっきまで踊りを魔族の皆さんに教えていたんだが、カノンが目に映った瞬間イオが暴走して。しかもそれまで教えていた魔族の人達は、イオがカノンに気を取られている隙に全員逃げた」
「……あいつら、減給にしてやる」
ポツリとクラウが怒ったように呟いた。それはいいとして。
「イオ、いいから止めるんだ。カノンも嫌がっているし」
「嫌だ。確かクラウ様でしたよね。貴方はカノンちゃんの踊りが見たいでしょう!」
「確かに、カノン様の踊りは見たいが……」
「じゃあ、僕はそちらに付きます!」
「イオ、あんまり世話を焼かすな、トランだって……」
レオンに言われて、そっぽを向くイオ。そんな様子を見ていたクラウが、
「……じゃあ、勝負をしようか。カノン様に踊ってもらうか否か。それを、私の所をクリアした証にしよう」
そう、提案したのだった。
「勝負はこの伏せられた三枚のカードから選んでください。柄のあるカードを選べば、貴方方の勝ちです」
「まさかどれにも無いというオチ……」
「正直どちらに転んでも私にとっては、得なのです」
レオン達が勝てば結果としてカノンが嫌がっている事をしなくてすむ。一方、負ければカノンの踊っている姿が見れる。
なるほど、どちらにしてもクラウには得だが。
「ひくのは、ホーリィロウとレオンの勇者二人。二人に一回づつ。一度引くごとにカードは入れ替えます」
「では、僕から」
そう、さっさとホーリィロウはカードを引く。けれど柄は無い。
それを見たカノンが酷く落胆したように見える。
けれど、ホーリィロウは特に気にした風でもなく、
「残念です。それではレオン様がんばってください」
「……本当はお前だってカノンの踊りが見たいんだろう」
「さて、何の事でしょう」
そうさらりとかわすホーリィロウ。カノンの前だけ良いかっこしてと、レオンは心の中で毒づく。
けれど、せっかくだし、以前むきむきになるのと取り替えさせられた技をここで使ってみるのも良いかもしれない。
確かにカノンの踊りは見たいけれど、カノンが本当に嫌ならやらなくて良いとレオンは思う。
それに、レオンはカノンに良い所を見せたい。
そっと意識を集中させて、呼びかける。
何分初めてなので上手くいくか分からない。
レオンが選択した技は、他者の力を借り受ける技。
けれどそれには本人の同意が必要らしい。
いきなり貸してくださいといわれて頷いてくれる人がどれほどいるだろうか?。
けれどこれは使いようによっては不相応な大きい技を使える可能性もあるのだ。
今欲しいのはカードの柄が分かる力。
その力を持っている者を探すと、人影が浮かんできた。
長い銀髪のその人は、くるりとレオンの方を見た。
深紅の鮮やかな赤い瞳。
「カノン?」
そう呟いて、違う事に気付く。けれど、目の前の彼はそれほどまでに似ていた。
けれどそう呟くレオンを見て、彼は、ふわりと笑った。
「ようやく見つけた」
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今回昔書いた小説のキャラを出してみました。一度で良いから、過去に飛ばされる話の入った小説を書いてみたかったんです。
書く上でこれって読んでくれている人達にどうなのだろうと悩んだのですが、この展開無しの話が、私の力量では書けなさそうでしたので書くことにしましたorz。そちらの話を読まなくても大丈夫な話にする予定ですので、よろしくお願いします。
次回更新は12時です。よろしくお願いいたします。




