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第百二十四話「『詳しい奴なら「もっと他に適切なのが居ただろう、サングラスの奴とか弓の奴とか。何だって狼執事なんか選ぶんだ」って言うだろう』とは作者の弁だけど……」

コスプレ特化ラブホ「ピンクコヨーテ」とは!?


「さて、では如何致しましょう。

 本当に色々な店舗があり迷ってしまいますが……」


 時刻は遡ってほんの数十分ほど前のこと。

 巨人鬼が怪獣媚累禍を葬り去るのを見届けたあたし達はその後デートを再開し、

 腕なんて組みながら煌びやかな繁華街をズイズイと進んでいた。


「ん~そうだねぇ。

 どっかゴハン行こうにもさっき散々食べちゃったし、

 娯楽と言ってもあのデカい鬼くんの大立ち回りを見たから満足っちゃ満足だしなあ」

「全くです。……ともすれば必然、残る選択肢は絞られて来ましょうなァ~」


 如何にも平静を装ってクールに宣うダイちゃんだけど、

 言動の端々からいい感じに漏れ出る"煩悩の気配"から察するに、

 相当"飢えてる"のは間違いなくて……


「なんてこった、奇遇だねぇ。

 あたしの方もそう思ってたトコさ……」


 "似たような結論"に至りかけてたあたしとしては好都合……

 ってワケで、貰ったリストの中でも一際異彩を放つ謳い文句が印象的なラブホテル『ピンクコヨーテ』へ向かう。



「いらっしゃいませ。

 パルティータ・ピローペイン様と、財王龍ツァイ・ワンロン様で御座いますね?

 『主懇陽拝党』党首ジョウセツ様よりお話の方伺っております。

 私『ピンクコヨーテ』オーナーの桃井コヨリと申します。

 以後お見知り置きをっ」


 風除室を抜けて広いロビーへ躍り出るや否や、あたかも示し合わせたように出迎えてくれたのは

 全身淡い桜色の毛皮に覆われたウェアコヨーテの桃井オーナー。

 見上げる程規模の大きな宿泊施設の経営者ともなればかなり多忙だろうに、

 たかが余所者の庶民二人なんか招き入れる為だけに自ら出張って下さるとは驚かされる。


「これはご丁寧にどうも有難うございます~」

「態々お出迎え頂き感謝の極み……恐悦至極に御座います」

「いやぁ~、肩の力抜いて下さいよお二人ともっ。

 さっきはあんな畏まった挨拶しちゃいましたけど、

 真面目な話ああいうのってガラじゃなくって~。

 ほんと、友達とか親戚に軽口叩くぐらいのノリで結構なので~」


 なんて言われてしまうけど……

 初対面の、しかもこれからお世話になる相手に無礼な態度を取るなんて以ての外。

 ここは普通に接させて貰うとしよう。


 「時に桃井オーナー、聞く所に依りますれば其方には"他にない唯一無二の特徴"があるそうですが……」

「頂いたメモ書きには詳しいこと書いてなくて〜

 何なんだろうって物凄く気になったんですけど〜

 どうせなら敢えて事前知識ほぼゼロで行ってみようってコトになりまして〜」

「あら〜、そうだったんですねっ。

 じゃあオーナーの私直々に、誠心誠意真心込めてご説明させて頂きますよぉ〜♪」


 やけに嬉しそうな桃井オーナー。

 彼女が語る"ピンクコヨーテの持ち味"とは……


「……コスプレ特化」「に、御座いますか?」

「はいっ♪ 当『ピンクコヨーテ』は、

 とにかくコスプレ特化のラブホテルなんですっ☆彡

 勿論フツーにえっちして貰っても大丈夫なんですけど~

 本気でウチを楽しんで貰うならほぼコスプレ前提みたいな感じなんですよねっ♥」

「……成程。然しそうは仰いますが、エニカヴァーは多種多様な知覚種族が暮らす社会……

 ともすれば、如何に衣装を工夫しようとも限界が来てしまうのでは?」

「あー、それは確かに。

 例えば人間が獣人セリオンスロープのコスプレしようにも着ぐるみじゃ色々限界があるし、

 なんかそういう問題がどうしてもついて回るイメージはあるよねぇ……。


 桃井オーナー、その辺どうなんですか?」


 意地というか質の悪い質問だとは思うけど、どうしても気になるんだからしょうがない。

 そもそもコスプレといったって、

 例えば使用人とかアスリートとかの職業系や各種民族衣装系なんかだったら種族問わずにできるわけだし、

 特化してるのはそっち方面じゃないの? なんて内心思ってたんだけど……


「流石ぁ~! お二人とも鋭いですねっ♪

 確かにご指摘の通り、フツーのコスプレだとどうしても限界ってあるんですよね~。

 それこそメイドさん執事さんとかチアガールみたいな、

 所謂オリジナル系? のコスプレは問題ないんですけど、

 神話の英雄とか歴史上の偉人、

 アニメのキャラクターなんかはどうしても種族からして違うだとか、

 そういう問題ってどうしても避けては通れませんよねっ☆

 けどご安心下さい、

 当店でできないコスプレなんてほぼほぼありませんからっ♥」


 自信満々に言い切る桃井オーナーだけど、事実『ピンクコヨーテ』が客に提供するコスプレは単なる"着替え"の域を超えたとんでもない代物だったんだ。

 というのも……


「「コスプレ用変成魔術っ?」」

「そーなんですっ☆

 詳しく説明すると長くなっちゃうので簡単に纏めますケド、

 要するに魔術でカラダごとお着換えしちゃおう的なカンジですねっ♪」


 身体ごと着替える、とはまたなんともとんでもない話だ。

 然しそれって果たして着替えと言えるんだろうかとか、

 なんかこうそこまで行くともうコスプレじゃないのでは? って気がしちゃうけど……


「よく言われるんですよ~

 『それは変身であってコスプレじゃない』とかって~☆

 確かにそういうツッコミもごもっともですけどっ☆

 そういう所も当店は当然承知の上っていうか、

 そこも意識して徹底して技術開発してるので~♪

 ともかく『料理は食わねば評せぬ』っていうか、

 ホント実際経験してみればわかりますから~☆」


 てな具合で、桃井オーナーに押し切られるまま(?)

 ピンクコヨーテのコスプレ魔術を試すことになり……

 色々と事情を考慮した結果、まずはダイちゃんがコスプレをすることになった。


「ではでは、こちらへどうぞ~♪

 この装置を頭に装着してから、椅子に腰かけて下さいね~☆」

「畏まりました」

「ここからお客様の記憶を読み取って、

 お身体に反映させる行程に移ります〜♪

 すぐ終わりますから大丈夫ですよっ☆」


 身体にあれこれ装置を付けられたダイちゃんは、

 窓のない専用の個室で椅子に腰かける。

 ここからいよいよ"コスプレ"が始まるんだ。


 桃井オーナー曰く施術は『すぐ終わる』そうで

 とは言えそこそこ時間かかるんだろうなと思ってたけど……

 なんと驚くべきことに要した時間は実にたったの一分半。

 余りに短すぎる。

 まるで1500Wの電子レンジで弁当を温めるようなスピード感だった。


「施術が終わったお客様は

 自動的に客室へ転移して頂く形になってますので~☆彡」

「なるほど、どんな仕上がりかは客室に着いてからのお楽しみってワケですね」


 多少めんどくささは感じるけど、

 店内を動き回るのに不向きなコスプレとかもあるだろうし、

 何より

『愛しのあの子がどんな姿になってるんだろう。

 何のコスプレをしていて、どんなプレイができるんだろう』

 と、そんな風に妄想しながら通路を進むだけでも結構楽しいから

 案外苦にならないんだよね。


「ダイちゃ~ん、お待たせ~♪」

「お待ちしておりました、パル殿……」


 そうしてあたしは指定の客室に到着……

 シャレた室内へクールに佇みながら待ち受けていたのが、

 例のやたらカッコ良くてメチャクチャエロい、

 義足ウェアウルフ執事のコスプレをしたダイちゃんだった。


 そうしてその後、前回のやり取りを経て今に至る……

 改めて全身を把握したかったのでお互い立って向かい合えば、

 コスプレの影響で若干大柄になったダイちゃんとの体格差にも圧倒される。

 独特なカッコ良さや爆発的な色気だけでもヤバいってのに、

 そこにいつも以上の体格差まで加わったんじゃ、

 最早正気を奪われずにはいられない。


「さぁ、ダイちゃぁん……思う存分楽しもうかっ♥」

「ええ。自分めを……否、

 "私めを存分にご堪能下さいませ、パルティータお嬢様"」

「……~~~ッッ♥」


 ダイちゃんの口から出たのは、

 いつもの彼とは明らかに違った、

 多分"本家"に寄せたであろう声と喋りでの一言。

 薄暗い室内の雰囲気も相俟って最高に"えっち"過ぎるもんだから、

 あたしは年甲斐もなく、頭から湯気でも出そうなくらいに赤面してしまう。

 そして……


「んっ♥」

「ぉ゛っ!?」


 直後あたしは

 ――多分突発的な"照れ隠し"だったんだろう――

 図らずも無意識に、

 ぴっちり密着した布地に包まれたダイちゃんの股間もっこりを軽く蹴り上げてしまっていた。


 ああ、やっちゃった、

 折角格好ついてたのに悪いことしちゃったなぁ、

 力加減ミスってたらどうしよう、

 てか断りもなく唐突に蹴り上げるのはプレイ通り越して単なるDV呼ばわりされても文句言えないよなぁ、

 どうやって謝ったもんかな、

 とかそんな風に思っていたけど、


「っっ、ぉ……ぁぁ♥」


 どうやらどれも杞憂らしいと、彼の態度から察知した。

 事実、蹴りを喰らったダイちゃんは赤ら顔で恍惚の表情……

 (確かな面影はあるにしても)遺伝子レベルで顔が変わったにもかかわらず、

 そこに居たのは間違いなくいつもの、

 "サドの攻め(タチ)な"あたしのどんなに雑な責めだって、

 精一杯受け止めてくれる"マゾで受け(ネコ)な"彼だった。


「ぬっ、ふあは……♥ ぉぅはぁっ……♥」


 静かに騒がず、ゆったりとセクシーに身を屈め、

 痛みと快感を噛み締めるように及び腰の内股になりつつ両手で股間を押さえ、

 加えて恐怖に怯える犬の如く、やたらモフモフのご立派な尻尾

 ――意図は不明だけど根本からベルトが格子状に巻き付けられている――

 を股下から潜らせ急所を守るような仕草を見せるダイちゃん。

 セクシー路線を崩さず、かつウェアウルフの特徴をも存分に活用したリアクションは途轍もなくえっちでいっそ芸術的なほど。


「……あぁ~、ダイちゃんっ……♥

 大丈夫~? 大事な大事なタマタマ蹴られて、痛かったよねぇ~?

 ごめんねぇ~♥ よしよ~し……♥」

「……♥」


 前傾姿勢になった関係で必然位置の下がった彼の頭を、

 あたしはゆっくり胸元おっぱいへ抱き寄せる。

 要するに"ぱふぱふ"……

 エニカヴァーじゃ有り触れた、若いカップル間での愛情表現の一つ。

 歴代の彼氏たちが揃って絶賛したあたしのそれは、当然ダイちゃんにも好評で……

 姿勢の都合から顔は見えないけれど、

 谷間から伝わる息遣いから"嬉しくて、興奮ムラムラしてる"のを気取るのはそう難しくもない。


「お詫びと言っちゃなんだけど、

 ダイちゃんもあたしのコト好きにしていいからね~♥

 何だったら、あたしも何かコスプレしてこようか~?」

「……♪」


 あたしの言葉に気を良くしたのか、

 ダイちゃんはご立派な後ろの尻尾をぶんぶん振っている。

 確かにウェアウルフの執事と言えば実質飼い犬みたいなもんだけど、

 それにしたってエロくてスケベでセクシーな、

 顔のいい男前のイケメンにこういう反応をされるのは中々新鮮でたまらない。


(ほんと可愛いなぁこの子はっ♪

 もっと可愛がってあげないとねぇ~♥)


 かくしてあたし達の濃厚なひと時は続いていく……

次回!特に内容が決まってません!

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