表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/134

第百十九話「第八天瑞獣からの思わぬサービス。それは要するに読者サービスの前触れ」

さあ、狐どもの反応や如何に!?

 読者のみんな、御機嫌よう。

 今回も前回に引き続きこのあたし、

 便利屋魔女のパルティータ・ピローペインが

 陽元は螢都の主懇山からお送りするよ。


『ほう、魂絆証こんはんしょう……』

『あったなあ、そんなの。

 久々に聞いたもんで存在自体失念しかけてたぜ』


 あたし達の目的が魂絆証だと知ったお二方の反応は、

 予想外に、いっそ拍子抜けしそうなほどあっさりな印象だった。


『いやはや、

 予想外の語が出たのは些か驚きましたが……

 さりとて冷静に考えてみれば実際、

 天瑞獣へ接触する理由としてはある意味

 最も自然と言えましょうて』

『まぁ、そうだわなぁ。

 そもそも魂絆証欲しさに天瑞獣へ謁見を申し込む奴自体

 母数のかなり少ねぇ少数派っちゃそうだがよ……』


 そこから先、交渉は円滑に進んでいった。

 ただ、だからって何の問題もなかったかというとそんなワケはなく……


『小生としましても、

 魂絆証の贈呈を渋る理由などは全くありませんでな。

 ただ贈呈の為の条件は極めて厳しい上、

 小生自身の体調が万全でないと生成すら出来ぬ有り様でして……』

「つまり、差し当たっては件の呪術をどうにかするのが目標ってワケですね」

『ま、そうなるなぁ。

 といって当然、そっちだけに注力するワケにもいかねェ。

 ジョウセツが弱ってる今だからこそ、悪禍実どもはより調子付く……

 油断してっとどんな被害が出るかわかったもんじゃねぇ』

『うぬぅ、認めたくないが実際その通りであるからな……』


 はあ、と溜息をつくタケノコと黒狐。

 この流れでもまだ辛気臭い雰囲気になってしまう辺り、

 やっぱり一連の騒動はかなり深刻で根深い問題らしい。


「でしたら我々を何なりとお使い下さいませ。

 ジョウセツ様にこそ到底及びはしませんが、

 これでも連中との戦闘経験はそれなりに積み重ねております」

「ですです。この子は冒険者であたしは便利屋……

 どっちも所謂『都合のいい相手』みたいな業種なんですから、

 ほんと使い潰すぐらいの勢いで頼って頂いて~」


 といって、だからこそあたし達はそんな彼女たちに手を差し伸べる。

 魂絆証が欲しいからってのは当然として、

 それと同じくらい、螢都を救いたいって想いもあるからね。


『おぉ~、なんたる暖かきお言葉っ……!

 混じり気なき母性父性の波動を感じまするっっ……!

 なんと心地よい……

 勢い余って幼児退行しそうになりますなァ~!』

『……有り難えのは確かだがそりゃ流石に大袈裟だろ。

 つかガチで幼児退行すんなよ?

 お前の幼児退行は呪い云々抜きにクソめんどくせーんだから!』

(天瑞獣の……幼児退行……?)

(一体何がそこまで面倒なのか……)


 てな感じで、

 辛気臭くなったり混沌としたりしつつも

 全体的には和気藹々とした雰囲気で謁見(っていうか面談?)は進んでいった。




(;州=_=)<本当に何がそこまで面倒なんだろうね、

        ジョウセツの幼児退行って……


 ……実際の現場に立ち会わぬ事には何とも言えませぬが……>(ー甘ー )


 例えば暴力団組長の厳めしい中年の大男が、

 乳幼児エイジプレイ専門の風俗店にて

 紙オムツ一丁の姿で赤子になり切るような

 そんな光景に近しいやも>(=甘= )


(;州=~=)<いや多分近くない近くない。

        何なら寧ろ絶対メチャクチャ遠いよそれ。

        てか何そのネタ?

        やけに具体的だけどダイちゃんのオリジナル?


 ……地球にそのようなゲーム作品がありましてな>(=甘= )


(州 〇 Д 〇 )<どんなゲームそれ!? 本当にあるの!?

       中年極道の大男が!? 紙オムツ一丁で赤ちゃんプレイ!?


 無論それだけの作品ではなく、

 当該シーンは全体のほんの一部に過ぎんのですがね>(=甘= )


(;州▽□▽)<あー、なるほどね……まあ、そうだよねぇ


 主人公の覚える技で、

 その組長を戦場に呼び出せますがね>(=甘= )


《 州 〇 Д 〇 》 < 呼 び 出 せ る の ! ?

              組 長 を ! ?


 ええ。所謂技の演出かもしれませんがまあ……

 乳児エイジプレイ真っ最中の状態で呼び出せます>(=甘= )


(;州=_=)<プレイ中の状態で……ってことは、つまり……


《 州 (〇) Д (〇) 》 < オ ム ツ 一 丁 で ! ?


 ええ。

 因みに技としましては

 それこそ赤子の如く泣き喚き、

 敵全員を大幅に弱体化させる

 といった効果でして>(=甘= )


(;州=へ=)<……まあ、そんな技喰らったら敵も弱体化せざるを得ないよねぇ……


 全くです。

 続編では敵にダメージを飛ばしつつ

 恐怖心を煽る効果になりましてな……>(=甘= )


(州=〜=)<へぇ〜、続編だと仕様変わってるんだねぇ〜。

       でもそっちの方が自然かもね〜。

       ……って


《 州 ◯ Д ◯ 》 < 続 編 に 出 て る の ! ?


 出ておりますとも。

 リメイクやスピンオフを含めるとシリーズで

 計4、5作品に登場しております>(=甘= )


《 州 〇 Д 〇 》 < 5 作 品 ! ?


 更に技の形で主人公に協力する他、

 恒常的にではありませんが

 プレイアブルキャラクターとしても操作可能に御座います。>(=甘= )


《 州 (〇) Д (〇) 》 < プ レ イ ア ブ ル 化 ! ?


 当然オムツ一丁、

 かつ武器としてラトルを携行しております。>(=甘= )


(州∵)<……


(州∵)<待って……待ってダイちゃん……もう処理が追い付かない……


 ……失礼、話しが脱線し過ぎましたな>(=甘=;)

 

 ***


 さて、暫く色々話し込んだあたし達は、

 ゲンジョウ女史のスケジュールだとか諸々の都合もあり

 謁見を切り上げ陽狐宮を後にした。


 時刻は夕方18時。

 時期もあってまだまだ明るいけど、

 大都市・螢都の町はしっかりと夜の装いを見せ始めている。


「とりあえずどうしよっか。一旦ホテルに戻ってもいいけど……」

「確かに、何というか物足りませんなァ~」


 悩まし気とも楽し気ともつかない表情のダイちゃんは、

 おもむろに懐から一枚のメモ書きを取り出す。

 A4コピー用紙に片面印刷されたそれは、

 陽狐宮でジョウセツ様から『お詫びを兼ねた恩返しに』と手渡されたものだ。


 そこに書かれているのは、

 彼女率いる自治組織『主懇陽拝党すこんようはいとう』と関係の深い、

 螢都各所の色んな商業施設の数々。


「ここは一つ、ジョウセツ様の"ご厚意"に甘えさせて頂くというのは如何ですかな?」

「おおー、いいねぇ。色々あるみたいだし、どこから行こうか迷っちゃうなぁ~」


 リストに書かれているのは、

 古くから『主懇陽拝党』と親しい間柄にある螢都各所の色んな商業施設。

 何れもジョウセツ様があたし達への"お詫びを兼ねた恩返し"として、

 色々とサービスして貰えるように口利きして下さっていた。

 しかもそのサービスってのが総じて結構破格気味で、

 単に料金が安くなるとかどころの騒ぎじゃないレベルで充実しているらしく、

 ともすると何処へ行こうか迷うのは必然だった。


「まあ、何処へ行くかはゆっくりと考えるとしましょう」

「そうだねぇ。どうせ長丁場になるだろうし、焦らずゆっくりしてけばいいか~」


 てな感じで、あたし達は夕暮れの螢都へ繰り出した。

 さて、まずはどこへ行こうかね……。

次回、夜の螢都市街で巻き起こる激闘!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ