第百十八話「だとしても何故タケノコなのか……多分、考えるだけ無駄なんだろうなぁ」
創作活動やめてぇな〜♪
PV全然伸びなくて〜♪
感想レビューも書かれない〜♪
SNSで宣伝しても 全く効果なし〜♪
ゲームやっても♪
アニメを見ても♪
結局 最後は小説書いている〜♪
創作活動やめらんねぇ~♪
とにかく読者を増やしたい~♪
感想・レビューも増やしたい~♪
読まれねえとは 死ぬも同じと♪
必死で筆を執る~♪
『結論より申し上げますれば、
小生が斯様な見て呉れと成り果てましたる元凶とは、
かの悪禍実どもとの交戦中に負わされし深傷……
より厳密には、傷を負う過程で我が内に流入せし"古の呪術"なるものでしてなぁ』
「古の……」「呪術、ですか?」
ジョウセツの口から語られたのは、
やけに怪しくて面倒臭そうな単語だった。
『ええ。
我乍ら実に厄介な代物を受けてしまいましてな。
魔力、気、霊力、神通力……
世に巡る様々な力を練り固めたが如き術式は魂へ絡み付き、
我が存在を根幹より脅かしよったのです』
「なんと……天瑞獣の存在を……」
「根幹から脅かす、って……そんな……」
俄かには信じ難い内容だった。
確かに進歩した科学技術や魔力・魔術なんかのお陰で
わりと『何でもあり』なのがここエニカヴァーだけど、
それでも起こせる現象や起こり得る出来事には一応、限度がある。
まして『術式が魂に絡み付いて存在が根幹から脅かされる』だなんて、
もう字面からして若干理解が追い付かない。
(……人間とか動物とか怪物とかそういう
『普通の生物』が"そうなってる"とかだったら
まだ強引に納得する気にはなるんだけど、
仮にも天瑞獣だからなあ……)
とは言え実際に起こっている以上
『そうはなるまい』と否定した所で『なってるじゃないか』と返されるのが関の山。
今のあたし達がすべきは、理解し難い物事の否定なんかじゃない。
置かれてる状況に対する正しい理解と、情報の取捨選択だ。
『恐らく原則は、そのまま存在そのものが崩壊、消滅に追い込まれておったでしょうなあ。
察するに小生は、己れで認識う以上に悪運が強かったと見える』
悪運っていうか、普通に天瑞獣としての実力の賜物だと思うけどなあ……
と、あたしは内心突っ込みを入れずにいられない。
陽元民は何かと謙遜しがちな性格で、
拗らせた結果卑屈になっちゃうようなのも少なくないって聞くけど
土地ごとの民族性なんてのは天瑞獣にも適用されたりするんだろうか。
『……ただ結局、如何に悪運が強かろうとも無事では済まされませんでな。
根幹より崩壊しかけた己れ自身を、
同胞らの助力を得乍ら辛うじて安定させたのも束の間……
術は我が身に残留し、小生の存在を狂わせたのです……』
「そ、存在を狂わせる……」
「とは、一体……?」
『ワケわかんねーだろうが、本当にそうとしか言えねぇような状態なんだよ』
混乱しかかってた所に助け船を出してくれたのは、それまで静観してたゲンジョウ女史だった。
『客観的証言のが参考になるだろうから私が説明すっけども、
例の呪術を受けたその日から、ジョウセツはある種の暴走状態に陥っててよ。
変化術が無作為に作動しちまって姿は安定しねーし、
その他の術も暴発しやがるし、
果ては心が狂っちまって、欲望や衝動が抑え切れなくなる……
なんてのが不定期に頻発しちまうんだ』
『存在が狂う』なんて如何にもヤバそうな字面だけど、
その実印象に違わぬとんでもない惨劇が起こっていたようで。
もし仮にあたしが当事者だったとしたら……想像するのも嫌になるね。
『どうにか試行錯誤を続けた結果、
今現在のこの姿であれば呪術の作用をある程度抑制できるとの結論に至りましてな』
『と言って、結局のところそれでも完全には抑えられてねぇがな』
『お陰でこの通り、陽狐宮の中に隠れ潜む日々を送らざるを得ぬのですよ』
『……言う迄もねえが、ぶっちゃけかなり拙い状況だ。
今のところはまだ辛うじてどうにかなってるが、
今後どういう問題が浮上してもおかしくねェ。
ただでさえ各地の情勢が不安定だっつーのに、
対悪禍実の抑止力たるジョウセツもこの有様。
……最早誇張抜きに螢都、ひいては陽元の危機と言っても過言じゃねぇ』
ゲンジョウ女史の表情は真剣そのものだし、
彼女の態度抜きに考えても抜き差しならない危機的状況なのは明らかだった。
けどある意味
――断じて、この状況を喜ぶつもりはないけれど――
この状況はあたし達にとって好機でもあった。
『さ、て……ジョウセツよ。年寄りの湿っぽい愚痴もこの辺にしとかねぇか』
『うむ、そうだな。
この方々とて悪禍実や媚累禍の討伐にご協力頂いたとは言え、
空く迄も立場上は部外者。
状況についてご理解頂きこそすれ、
これ以上巻き込むわけにはいかぬであろう』
『……同意見だ。
てワケでお二方、協力して頂いた手前恐縮ではあるが
あとのコトは私ら主懇陽拝党に任せて貰ってだな』
『これより先は純粋に螢都観光をお楽しみ頂ければと……』
とは言え当然、そんな意図なんてまるで知らないご両名は
あくまであたし達に一連の事件から身を引くよう提案してくる。
多分、党の伝手であちこちに口利きとかしてくれるのかもしれない。
ただそうは言ってもこっちは目的が目的なもんだから、
ここで素直に『ただの観光客』になるつもりなんてあろうハズもなく……
「……ご両名の主張とお気持ちは理解させて貰いました」
「然し乍ら、当方としては退くつもりなど毛頭御座いませんでなァ」
意を決して、あたし達は口を開く。
ここからは交渉の時間だ。
『な、なんとっ……!? それは困りまするっ!
大いなる恩義に加え致命的な負い目まであるお相手を、
よりによって戦場へ送り出すなど我ら主懇陽拝党の沽券に関わる一大事!
ご両名とも、どうか今一度お考え直しをっ!』
『落ち着けジョウセツ。
感情任せに取り乱したらまた呪術の思うツボだぞっ』
目に見えて取り乱すジョウセツを、ゲンジョウ女史が語気強めに宥めて(?)落ち着かせる。
『さてそれでだご両人、問わせちゃくれねーか。
なんだってそこまで戦おうとする? 一体何が目的だ?
よもや戦闘行為も娯楽の内だの、単なる慈善事業だのとは言うめえ?』
若干困惑気味に、ゲンジョウ女史が問い掛けてくる。
どうにも唐突というか、聊か脈絡を欠くような発言だけど、
こっちから本題を切り出す手間が省けたのは実際都合がいい。
「確かに仰る通り……こういう言い方もどうかと思いますけど、
あたし達は実際戦闘狂でもボランティア活動家でもありませんね」
「……非礼を承知で単刀直入に申し上げますれば、
我らが目的はただ一つ……
魂絆証に御座います」
(;州=_=)<さて、鬼が出るか蛇が出るか……
次回、魂絆証の交渉は上手く行くのか!?




