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第百三話「正直大概見切り発車だったから、専門家の手助けがないと詰んでたかもしれない」

撮り鉄樹木人、撃破!

然し何故二人は化け物に変異した撮り鉄を迅速に探知・撃破できたのか!?

その真相が今、明かされる!

「デンチャアアアアッ! デェェンチャァァァァアアアアッ!

 デンチャッチャッチャチャチャチャッチャチャアアアアアアアッ!

 シュポシュポシュポシュポシュポシュポピィィィィィィッ!」

「……理性を喪っているにせよ、せめて何かしらまともな言葉を喋ろうと思わんのか?」

「ほんと、趣味に貴賤はないにしてもここまで来るともう救えないよねぇ~」


 読者のみんな、御機嫌よう。いつも本作『つい☆ブイ!』を読んでくれてありがとね~。

 さて、今回も前回から引き続きこのあたし、便利屋魔女のパルティータ・ピローペインが愛しの彼氏"ダイちゃん"こと七都巳大竜クンと一緒にお送りするよ~。


「取り敢えず、これ以上駅の中のもん壊させるワケにもいかないんだよ……

 ってワケで喰らいな、"赤熱戦輪ヒート・チャクラム-連射ラッシュ+弱点追尾・ウィークポイントホーミング"!」


 場面は螢都都心部にある百季駅。

 狂った撮り鉄樹木人が変貌したウミシダかツル植物みたいな金屑の化け物と対峙していたあたし達は、その不規則極まりなくどうにも読み辛い動きに手を焼かされていた。

 とは言えこんなのが街に放たれたらとんでもないことになるワケで……もっと本気にならなきゃダメだと考えたあたしは、鞭の如く音速越えで迫り来る無数の触手を避けつつ無数の赤熱戦輪ヒート・チャクラムを放つ。


「ヅワアアアアアッ!? シュッポポシュッポポポピピポピィィィィィッ!」


 標的の弱点を自動で探知して追尾する効果をつけておいたお陰だろう、熱帯びた輪型の円盤は全弾命中。化け物の金屑蔓は高速回転しながら飛来する灼熱の刃に焼き切られる。


「ダアッ!? ガアアアアッ!? ウ、デガアッ!? アシ、ガアアアッ!?」


 漸く台詞らしい悲鳴を上げる化け物。

 切り落とされた触手は瞬く間にボロボロと崩壊していくけど、その中で触手の中心点・基部っぽい部分だけが、身の危険を感じたのかその場から逃げ出そうとしていた。

 当然、その隙を見逃すあたし達じゃない。


「ダイちゃん、やっぱりあれが本体だよ!」

「成る程、周囲の廃材や瓦礫を取り込みダミーの触手や外皮を形成し、攻撃を受ける度にそれを捨てていたと……どうりで幾ら攻撃しても弱体化の素振りを見せんワケですなァ」


 そう、このウミシダの化け物は如何にも貧弱そうな見た目の癖してやけにしぶとくて、どんな攻撃を加えようとも何食わぬ顔で

 ――といって、こいつの顔がどこなんだかは全く分からないけど――瞬時に、かつ何事も無かったかのように持ち直しちゃうんだ。

 それこそまるで、不老不死みたいにね。

 勿論こいつがそんな高尚な特性を持ってるなんてことはなくて、実態はさっきダイちゃんが述べた通り……驚異的な生命力や不死性なんてものはあくまで見せ掛けの紛い物に過ぎなかったんだ。


「デンッ、チャア……! デンッ……チャチャチャアアアッ!」


「取り敢えずとっ捕まえて討伐しようか」

「ええ。近頃は作者が致命的な感想不足で発狂気味ですし、八つ当たりも兼ねて此奴には精々生き地獄を味わわせてやるとしましょう」


 てな感じでウミシダの化け物を拘束、ある程度のダメージを与えて変異を強制解除させたあたし達は、元の姿で衰弱しきった樹木人の撮り鉄を鉄道警察に引き渡し、その場を後にした。


「監視カメラの映像が残ってるし、上手く行けば相当苦しんでくれそうだねぇ~♪」

「ええ。……仮に刑事罰が下らずとも、あれだけの被害を出した以上まともな生活にはそう戻れますまい……!」



(州▽∀▽)<ざまあ見やがりな社会のゴミめ。これに懲りたらもう普通の写真好きか、さもなきゃ模型鉄にでも転身するんだね。

(州=3=)<最も、そんな金が残ってればの話だけどさ……


「それにしても驚いたよね~。

 例の化け物騒ぎについてあたし達以外にも追っかけてる"同胞"が居たってだけならまだわかるけど、

 奴らの具体的な性質とか対処法についても詳細に把握してるなんてさ~」

「ええ。その上、変異現象の予兆を探知する技術さえも確率しておられるとは……侮り難い方々でしたなァ」


 それから程なくして。百季駅からそこそこ離れた街中に建つレストランに立ち入ったあたし達は、昼食序でにここ最近起こった出来事について語らっていた。


 遡ること二日前、メタ的に言えば前々回ラストシーン以後……ホテルに戻ってからというものの、あたし達は件の化け物騒ぎについて調査していた。

 諸方に情報を募りながら調べを進めていくも、当然と言うべきか目立った収穫や進展はなく……どうしたものかと頭を抱えていた所、

 "不可思議怪異追跡社"だかいう集団の関係者を名乗る人物からコンタクトがあったんだ。

 届いたメッセージに曰く『螢都総合科学大学で勃発した怪物騒ぎを鎮静化させたあなた方の支援をさせて頂きたい』とかで……

 見るからに怪しさ満点・突っ込み所満載だったけど、方向性が定まらず迷走しきっていたあたし達にしてみればまさしく渡りに船だった。


 他にやりようもなかったあたし達は、半ば自暴自棄・藁にも縋る思いでメッセージに記載されてた住所へ向かうことにした。

 そして実際どうなったかというと……概ねみんな察しがついてるんじゃないかな。

 "不可思議怪異追跡社"はしっかり実在していて『支援をしたい』って話もウソじゃなかった。

 代表者曰く"追跡社"は某国政府傘下の組織で、俗世の影に潜みながら秘密裏に怪異や災害について調査し対策する活動を少なくとも数世紀にもわたって続けて来たんだそう。


 そんなわけだから今回陽元で勃発した化け物騒ぎについても既に結構踏み込んだ段階まで調査を進められていて、ヒトが変異してしまった化け物こと通称"特定変異体"を探知する技術の開発や、特定変異体を鎮静化させて元の姿に戻す方法の確立なんかにも至られてていたんだけど、

 唯一作戦に割ける人員が致命的に不足していたもんだから、同じく件の騒ぎを追ってるあたし達の力を借りたいって話だったんだ。

 となればあたし達としてもその話に乗らない手はなかった。

 結果"追跡社"謹製の特定変異体探知システムや対処マニュアルを提供して頂けたお陰もあって、さっきの撮り鉄捕縛も比較的上手く行ったワケであって……


「……果たして実質、どちらが力を借りているのやら分かりませんがねェ」

「それはあたしも思った。けどまあ、いいんじゃない? お互いに支え合ってるってコトでさ。

 向こうも人員不足を解決したかったのは本当みたいだし」


 大神先生の調査もまだまだ時間がかかるだろうし、暫くの間は特定変異体退治を中心に動いてくのがいいかもしれない。

 そう思うとなんだか、肩の荷が下りたような気がした。

次回、狂人カップル無双! 特定変異体ども、首を洗って待ってろよ!

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