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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.8 エルヴァスティ王国

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第79話 朝食 その2

一日で大分やつれたな、オスモ……

王子がきてから緊張の連続だったのだろう。

 朝食とる為、俺、ライネ、ペトリ、ラージャがオールストレームホテル内のレストラン『松風』の座敷席にいたら、疲れ果てた様子のオスモがやって来たので一緒に食事する事にした、優しい俺。


「はい、お父さん」

 テーブルのポットから湯飲みにお茶を入れたライネが、オスモの前に置いた。

「ライネ、ありがと……」

 オスモは、目の前に置かれたお茶に口をつける。

 暖かいお茶でも飲んで、落ち着きなさいよ。

 やっぱ、王子がきてるから神経をすり減らしているのだろう。

 かなり疲れた感じだ。


「あれ、そういやエルモはどうした?」

 オスモと一緒に行動していたエルモの姿が見えないので聞いた。

「部屋で仮眠してるよ」

 仮眠? エルモもちゃんと寝てないのか?

 そんなに気を使う事もないと思うんだけど……

「そ、そうか。

 お前も、少し寝た方が良いんじゃないか?」

 無理してたら、ホントに体壊してしまうぞ。

「これ以上、王子に悪い印象を持たれたくないからな。

 誰かさんのおかげで、寿命が縮まったよ、ありがとな!」

 凄く、俺が睨まれてた。

 悪いのはサニーであって、俺では無い。


「大体、何の連絡もなしにやってくる王子も王子だ!

 常識が無いのかアレ? 頭イカれてるぜ!

 あんなもん王様の息子ってだけの若造じゃねぇか。

 こんな辺境にぶらりとやってきやがって、嫌がらせかってんだよ!

 ホントに、早く帰れば良いのに!」

 ストレスが随分溜まってるみたいで、オスモが王子の悪口を言い出した。


「大変なのは解るけど、まぁ、お茶飲んで落ち着いて」

 オスモの立場だと大変なのだろうから少しくらいの悪口ならストレス発散の為に良いかもしれんが……

「そうだよ、お父さん」

 そうそう、お前の息子のライネもこう言ってるんだからな。


「ここに来るの、使いの者でいいじゃん! なんで、王子自ら来るんだよ、あのボケ!」

 相当溜まってるな、オスモ…… 


「ん?」


 あ、


「大体、任務なのに、あんな女連れてくるか?

 部下か知り合いか何か知らないけどさ、仕事で来てるんでしょ?

 ソレを、好きとかどうとか昨日の宴会でやってたじゃん。

 なに?

 公私混同なの?

 ありゃ、バカだ。 バカバカ、大馬鹿野郎だぜ。

 お前といい勝負なんじゃないか? カズヤ」

「そうかもね、オスモ。 うん、その辺にしとこう…… ねっ!」

 もう黙れオスモ!

 俺は目を見開いて必死にオスモにアピールしたのだが、


「そうに決まってるだろ、バカめ。

 あのバカ王子、バカの癖に偉そうにしやがってよお!

 しかも、バカ王子の野郎、タダ酒だと思ってガブガブ飲みやがって、ありゃ性根が卑しいんだな?

 ちょっと顔が良くて生まれが良いだけ!

 ほんと、ソレだけ!

 その癖に調子乗りやがって、気に喰わねぇなぁ!

 なぁ、カズヤもそう思うだろ?」

 オスモ、俺に同意を求めるんじゃない!

「いや、俺は王子の事、結構、立派な人だと思うぞ! てか、もう黙れ!」

 なんで気づかないんだ、オスモ、お前の後ろ!


「いや、黙る必要などないぞ、貴重な意見だ、聞かせてもらおうか、ハ・ハ・ハ」

 オスモの後ろに立つ王子が言った。

 絶賛、悪口大会開催中だったオスモは手にした湯飲みを落とし、顔面蒼白に。


「カズヤ様! 呼びに行ったら、王子様と一緒に居たのでお連れしました!」

 カインがボリスの手をひいて教えてくれた。

「お、おう。 ごくろうさん。

 そしたら、クアラと一緒に厨房に行って、好きなジュース貰ってきな、ついでに朝食の準備して良いって言ってきて」

「うん、解った!」

「ありがとう! カズヤ様!」

 カインとクアラが嬉しそうに走って行った。


「しかし、変わった食事場所だな……」

 王子が俺達の座る座敷席を不思議そうに見ている。

 悪口の事より、この日本的な造りの店内が気になるのだろう。


「お、王子、先程の暴言、何卒、何卒ーー!」

 オスモが土下座して王子に謝っている。

「ルーカス王子、オスモもさっきはちょっとだけ言いすぎた面もあるけどさ、そんだけストレス溜まってたんだよ、許してやって。

 俺からも謝るから…… 申し訳ない」

 俺も一緒に土下座した。


「何の事だ? 俺は、何も聞いていないが、何か言ったのか?」

 王子が無かった事にしてくれた。

 確かに、どんなに謝ろうと王子に暴言吐いたら何かしらの処罰されるんだろうからな、オスモを助けるには聞かなかった事にするほか無いのだろう。

 まあ、俺は、なんの関係もないので、暴言だろうが好きに言わせてもらうがな!

 そんな些細な事より……


 よし!


「王子も一緒に、朝ごはん食べましょうよ、どうぞ、こちらへ。

 靴を脱いで上がってください。 靴を脱ぐことで楽ですよ!

 ほら、ボリス、王子を案内して差し上げて!」

 困った時のボリス頼み。


「ルーカス王子、不思議にお思いかもしれませんが、どうぞ。

 何でも、カズ君の故郷のスタイルみたいで、儂達の家にもこんな感じの部屋があり、靴を脱いで入るんですが楽だし、くつろげますぞ!」 

「そ、そうなのか?」

 王子は、ボリスが靴を脱いで座敷席に上がるのを真似て上がってきた。

 俺は、座布団に座るように勧めた。


「足が蒸れなくていいな、楽だ」

 王子が、悪くないって顔をしている。

 気に入ってもらえたようで何より。


「どうして、王子と一緒なんだ?」

 王子と一緒にきたボリスに聞いた。

「カズ君、早起きして久々にルーカス王子と剣を交えてきたんだよ。

 ルーカス王子に昔、剣を教えてたんだけど、あの頃に比べたら凄く強くなっててびっくりしたよ」

「へー、そうだったのか」

 権力者の息子って地位なのに、ちゃんと努力してんだな、王子も。

「それでも、一本もとれなかった」

 王子が正直に言った。

 ボリスが強すぎるだけだから気にしないでいいのに。


「まだまだだな、俺は。

 少しは強くなれたと思っていたが、間違いだった。

 ソレに気づけただけでも、この地にやって来て良かった。

 何より、俺の師である、ボリス・ベンディクスの腕が一つも鈍っちゃいなかった事が嬉しいんだ!

 いや、むしろ剣技が以前より円熟味をましていたのではないか?」

 王子に言われて、ボリスが照れている。

 ちょっと可愛いなと思った。

 でも王子。

 強いと思いあがっていた事に気づかされた的な事を言ったけどさ、今日の朝じゃなく昨日サニーにボコボコにされた時点で、その事に気づくんじゃないのか? と思ったが、ソレを口にするのは無粋というものだろう。


「あーー!」

 レストランに入ってきたサニーが俺の顔を見て大きな声で言った。

 なんだ? 俺を探してたのか?


「ん?」

 サニーがセリアを背負っている?!

 あのセリアの巨乳がサニーの背中に! ね、妬ましい……


 ずかずかとレストランの中に入ってきたサニーが俺達の前に来た。

「ここにいたのか!

 おい、お前の連れだろ、コイツ!」

 サニーが王子の前にポイっとセリアを降ろした。

 って、え?

 そ、そんな簡単に?!

 巨乳を背中に受けていたのに、そんなあっさりと?

「正気か?!」

 巨乳の感触とかもっと楽しもうとか、大体、嬉しくないのかお前は?!

 俺は、ガチのロリコンであるサニーに戦慄を覚えた。


「セリア!

 …貴様ァ、セリアに何をした!」

 俺が巨乳を背中で感じていたサニーの事を考えていると、王子がサニーを睨んでいて… かなり怒っていたのだった。

オスモの暴言をサラリと流してくれた優しい王子が怒っている。

ホント、余計な事しかしないな、サニー!

てか、一体何があった?!

って事で、次回も、乞うご期待!

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