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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.8 エルヴァスティ王国

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第75話 やっちゃった

 部屋にいたハズのサニーが居なくなった。

 嫌な予感を胸に、俺は、隣の貴賓室を目指す!

 待つのに飽きた俺は、部屋にサニーがいない事に気がついた。

 良くない予感。

 俺は、次の瞬間には走り出していた。


「どうしたの、カズ君!」

「いいから! ボリス、早く行くぞ!」

 走る俺は、ボリスを呼ぶ!

 目的の部屋は隣、目の前にドア!


「カズ君! 王子達が中にいるんだよ!」

「構うもんか!」

 最悪の事態になる前に到着しなければいけないからな!


 走ってきたスピードでドアに体当たりだ!


バァアアアーーン!!


 体当たりでドアをこじ開けた俺は、転げまわりながら部屋の中へ入った。

 そして体勢を立て直し、立膝の俺は辺りを見る!

 サニーの奴がきてるんじゃないか?!


 ふう。


「…手遅れだった」

 俺は、立ち上がると、入ってきたドアへ向かって歩く。 

 さてと、自宅が心配だし帰ろうかな。


「カズ君、早いよ」

 ボリスが入ってき

「見ちゃダメ」

 慌てて言ったが、……うん、遅かった。

 ボリスが呆然と部屋の中を見ている。


「……何コレ?」

 ボリスが呟いた。

 逃げようと思ったが、しかたない。

「うん、サニーがやっちゃったみたい」

 はにかみながらボリスに言った。

 俺の後ろには、血だらけで半殺しにされた騎士が転がっている。

 エルヴァスティ王国に知られたら、どんな報復が……

 その時、俺に出来る事は、サニーと無関係ですと言い張る事ぐらいだ。

 今は、兎に角ここから早くずらかろう。


「って、おい! 止めろ!」

 ボリスが叫んだので見てみると、サニーが王子の胸倉を掴んで殴っていた。

 銀髪の女が泣きながらサニーにしがみついているが、気にする様子もなく王子を殴っている。


「…ぁぁぁ」

 完全に取り返しのつかない事を現在進行形でやってる光景を目にした俺は、唸る様に声が出ていた。

 お終いだ。

 

 殴られてる王子の向かいにオスモとエルモがいた。

 どうしよう、怒られるよ俺、絶対。


 しかし、オスモとエルモは、椅子に座ったまま微動だにしない。

 どこか遠くを見ているようだ。

 多分、全力で現実逃避しているのだろう。


「やめんかぁーー!」

 ボリス?!

 叫び声をあげ、ボリスが俺の横を走って行った!


ブウゥーーン!


 ボリスの振った剣が空を斬った!

 その剣って、倒れてた騎士の剣か?


 ボリスがサニーを狙って攻撃したのに、アイツ、とっさに避けやがった!

 ボリスの攻撃を避けるなんて、サニーの奴、ただの天然パーマの色黒男じゃなかった!

 危ない奴め!

 兎に角、俺もファイティングポーズをとってみた。


「おっと、俺は仲間だぜ、お二人さん」

 肘を曲げて両手を上げたサニーが言ってきた。

 正気だったか。

 いや、正気で暴力ってその方が危ないだろ?

 兎に角、暴力をとめる事が出来た。


 さてと、

「一体、何があったんだ?」

 この光景の説明をしてもらおうか?


「貴様ァ、殺す!」


「て、あっ、ボリス!」

 俺を無視して、剣を手にしたボリスがサニーに向かって走り出した!


「コッ! コォーー! コッ!」

 こんな時に痰がらんでるのかサニー?


「あっ、危ない!」

 ボリスの剣がサニーに振り下ろさ


バキンッ!


「嘘おおお!」

 サニーが正拳突きで剣の側面を突き、叩き割ってしまった。

 化物か?!


「落ち着け、バカめ」

 サニーがボリスをビンタした。

 って!

「なにしとんじゃ!」

 次の瞬間、俺のビンタがサニーの顔に入っ


バゴオオオーーー!


 腕を振りぬいた俺。

 サニーが吹き飛び、部屋の壁に激突した。


「落ち着くのは、お前の方だろ! 暴力なんて最低だぜ!」

 毅然と俺は言い放った!

 ん?


「や、やるじゃねぇか…」

 壁に激突して倒れたサニーが起き上がる。

 頭から血を流しているが、タフな奴。

 だが、膝がガクガクになっているじゃねぇか。

 生まれたての小鹿のようだね。


 うん、そんな事より…

「ボリス、大丈夫か?」

 ボリスをみたが怪我などは無いようだ。 

「う、うん。 カズ君、儂は大丈夫だけど、王子が」

 見ると、王子がテーブルに頭を乗せぐったりしていた。

 大丈夫か?

 死んでないよな。


 恐る恐る近寄って観察してみると、舌を出して眼球が少し飛び出していた。

 どうやら無事なようだ。

 そういう事にしておこう。


「ボリス、悪い、倒れてる人達を回復させたいから、ラージャ呼んできて。

 それから、ライネとミカエルはこの光景を見ない方が良いと思うから、お前は、そのまま二人と向こうの部屋で待機してて。

 ライネ達がこっちの惨劇を見たいって言っても、ちゃんと止めてくれよ」

「わ、解った」

 ボリスが走って行った。

 早く、回復させた方が良いと思ったんだろう。


「コッ! コォーー! コッ!」


「うるさいぞ!」

「コッ……」

 コー、コー言ってたサニーに言うと、静かになった。


 オスモとエルモは、まだ遠くを見ている。


 女が王子の体を揺すって喚いている。

 落ち着いたら良いのに。


「あ、あの。 あんまり揺らさない方がいいと思うよ。

 目がデロンてなってるし」

 俺の言葉を聞いてるのか聞いてないのか知らんが、一応忠告しといた。

 さて、他の人達は……


「ああ、目潰しに、あっちは睾丸を潰されて…… アレなんて、あり得ない方角に首が… ホントに回復薬で治るのか?」

 死者が出なかった事が不幸中の幸いだ。

 うん。

 ……死んでないよね?


 倒れている騎士や文官など、エルヴァスティ王国側の人間を観察していく。

「よし」

 痛そうなのは解った。



「おい、なんじゃ? カインとクアラが待ってるのじゃ」

 どうやら、ラージャが到着したようだ。


「せっかく遊んでたのに、邪魔して悪かったな。

 さっそくだが、空間収納から回復ポーションだして」

「なんで?」

「倒れてる奴等を助ける為だよ。

 ほら、俺って優しいから弱ってる人を見過ごせない主人公的考えからね」

「ふーーん。 どうでも良いけど、早くしてほしいのじゃ」

「解ってるって」

「あっ!」

「どうした? 何かあったかラージャ?」

「そうじゃ、カインの誕生日が近いの忘れておったのじゃ!

 誕生日プレゼントにミニ四駆買うてくれなのじゃ」

「しょうがねぇな、後で買うから、どれが良いかラージャが決めてくれよ」

 フフフ、ラージャの奴ったら、優しいとこあんだよな。

「わかったのじゃ」


 急を要する事態に俺達は、人道的観点から必死に緊張感を持って救護活動にいそしんだのだ。


「めんどくせぇな!

 おい! お前も手伝えよ! お前がやったんだから!」

 俺一人で回復ポーションをかけて回っているのに……

 ボケっと突っ立ってるサニーに言って手伝わせる!

「ラージャちゃんなんてチョコ食って突っ立ってるじゃん」

 サニーがラージャを見て言った。

 ハァー。

 全くもってしょうがない奴だ。

「馬鹿野郎、お前な、自分でやったんだから人の事なんてどうでもいいんだよ。

 それよりな、なんで自分から、手伝いましょうか? の一言も出ないんだ?

 お前がケガさせた奴を俺が助けてるのに、何も感じないのか?

 人としてどうかと思うぞ」

 注意した。

 もしかしたら、俺は、教師に向いているのかもしれない。


 俺とサニーは、怪我して倒れてる人達に回復ポーションをドバドバかけていった。

・

・

・



「ふう! コレでいいだろう」

 倒れてた全員に回復薬をかけ終わった。


「はっ! 俺は」

「王子! 気がつかれたのですね! セリアは、セリアは…」

 銀髪の綺麗な女が気がついた王子に抱きついていた。

 そうか……

 そういう事ね。


「なんだよ、彼氏持ちかよ」

 残念だ。

 初めての女の嫁が出来るかと思ったのにな。


「カズヤ、カズヤには我がいるよ」

 軽く落ち込む俺に、ラージャが声をかけてくれた。

「……ラージャ」 


 そっか。


 こんなのでも、一応、女だもんな。

 励ましてくれるなんて、可愛い一面もあるし……


「どうせ、あの女とチョメチョメしたかったのじゃろ?

 ゲスな男じゃからな、カズヤは。

 ん? どうなの? プクク……」

「こ、この…」

 前言撤回だこの野郎!



 さて、

「そんじゃ、改めて、どうしてこうなった?」

 俺は、惨劇に至った経緯を

「告白する前にフラれた事か?」

 ラージャが茶々を入れてきたので、ほっぺを抓る。

「い、痛いのじゃ、冗談言っただけなのじゃ、ほんのお茶目な発言なのじゃから笑って許すのじゃ~」

 

 ふう。


 さてと、

「サニーだって、意味もなく暴力なんてしないだろう、なにがあった!」

 俺は、大きな声で言った!

どうすんだよ。

サニーがやらかした。

王子を半殺しにして、エルヴァスティ王国に喧嘩売るなんて……

ライネを救ってくれた恩人とはいえ、とんだ疫病神を拾ってきてしまったようだ。

って事で、次回も、乞うご期待!

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