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地獄の使者はモテたいです!  作者: カネキ
act.3 異世界 恋人獲得
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第7話 優しい騎士団

異世界にやってきてやっと現地人にであった。

戦闘中であったので、手伝ったのだが、友好的な人達だといいなぁ。

男ばかりのようだが、落ち着いてきた事だし探しますか。

何をって?

そりゃぁ、女騎士に決まってるでしょ?

 俺とラージャは、デカい蜂と戦闘してた騎士団の手助けをした。

 騎士と言えば、女騎士。

 騎士団に女騎士が所属しているのは、水が高いところから低いとこに流れるくらい自然な事だ。

 まぁ、見渡した所女騎士が見当たらないが、絶対に居るハズだ!


「おいッ! 貴公は一体? キラービークイーンを簡単に討伐するとは、相当な実力者とみたが……」

 女騎士を探そうとした俺は、声をかけられた。

 すっ転んだとこを支えてあげた髭面のおっさんだ。

 この騎士団の責任者だろうか?

「俺ですか?」

 どうしよう、怪しまれてもめんどうだ。

 怪しまれるって事は、女騎士とキャッキャウフフが遠のくって事だろうからな!

 よしっ!


 キラッとカズヤの目が光った瞬間である。


「私の名は、カズヤ フジノ!

 田舎から出てきまして、この世界に疎い優しく思いありのある人間です!」

 細かい事を聞かれても困るが、田舎から来たと言っておけば間違いないだろう。

 俺ほどの異世界専門家にかかれば現地人との無用なトラブルを回避するなど容易い事だ。


「おい、じゃぁどこの村から来たんだよ、お前」

 は?

 誰だ、余計な事を言った奴は!

 こっちは適当に言ってるのに! そう思いつつ声のした方を見ると、ラージャに小突かれて気を失ってた赤毛の小僧が俺を睨んでいた。

 スルーしてくれたら良いのに……


「……いや、あの」

 どうする。

 いきなりピンチだ。

 突っ込んで聞かれるなど、想定外。

 どうしたらいいんだ?

 助けて、ラージャ!

 俺は、ラージャを見た。


「ぎゃはは、虫、虫~~なのじゃぁ~」

 ラージャは、死んだ蜂を持って遊んでいた。


 全くもって役立たず!

 くそっ! どうする?

 俺の額から汗が流れる。


「ペトリ! 我らを手助けしてくれた御仁にその物言いは、失礼だろう!

 エルヴァスティ王国騎士団としての誇りを忘れたのか!」

 おっ?

 髭面のおっさんが俺を擁護してくれた。

「ボリス団長、そいつと、この女の子は怪しすぎます!」

 せっかく団長が言ってくれてるのに、そんなに俺とラージャは、怪しいか!

 いや、怪しいだろうけど、スルーしろ。

「ペトリ! 騎士の誇りは大事にしないとなっ!」

 俺は、キリっとしてペトリに忠告してやった。

 話は終わりだ。


 キョロキョロ。

 女騎士を探さないといけないからな。

「フジノ殿、私は、エルヴァスティ王国騎士団の団長ボリス・ベンディクスだ。

 此度の貴公のご助力、騎士団を代表し感謝申し上げる」

 もう! 女騎士を探そうとしてるのに、手を差し出された。

「ああ、気にしないでください。 こっちが勝手に来たんですから」

 礼儀だからな、俺は差し出された手を握ってやった。

 そんな事より、女騎士が全く見当たらない!

「フジノ殿は、これからどうなされるのですか?」

 ん?

 俺?

 おっさんが俺の手を握りながら聞いてきた。

「町とか人が沢山いるとこに行きたいんですよねぇ、ほら、俺、いや僕は、田舎から出てきましたから」

 俺は、ニコリと笑ってボリス団長に言った。

 ……あれ? 顔を背けられた。


「うむ、そう言う事であればだな、我らと王都へ向かうのはどうであろう?

 いや、それが良いな。

 幼子と二人であれば、我ら騎士団と一緒に行動する方が安全であろうし、それが良い!」

 そっか!

 だよな!

 願ってもない提案だ!

「ボリスさん、ありがとうございます! 僕達は、この地に疎いもので頼れる人がいなかったから凄く助かります」

 良い人に出会えて良かった!

「だよね! 心配しないで良いよ! ほら、騎士団って人の為に働く組織だから!」

 ボリス団長が凄い笑顔で頷いて言ってくれた。

 怖い人かと思ってたけど、良い人でよかった。

 うん。

 もう手を放してもらってもいいですか?


「団長! そいつは、危険です! キラービーの毒針が通じないだけでなく難なく討伐したような男ですよ!」

 赤毛!

 またお前か? 余計な事を言いやがって!

 なんなの、コイツ?! 俺の事が嫌いなのか?


「ペトリ! ちょっと来い!」

 ボリス団長が赤毛のペトリを呼んだ。

 何?


バチィーーン!


 へ?

 ペトリってのがボリス団長にビンタされた。

 って、えっ!

「ちょっと、あんた、何を!」

 やりすぎでしょ?!

 暴力反対!

 

「ペトリ、我ら王国騎士団は、人民の為の剣だろう!

 疑う前に信じろ! それが、俺の信念だ」

 まっすぐにペトリって若者を見据えてボリス団長が言った。

 彼には彼の信念があり、それに従い行動してきた自負があるのだろうけど、手を出さなくても……

「団長! すいませんでした!」

 マジか!

 殴られたペトリが頭を下げている。

 賛同は出来ないが、団長と団員の間で信頼関係があるんだろうな。

 いや、そんな事より、ボリス団長が俺の手をずっと握ったままなのが気になる。


「フフフ、カズヤ殿。 心配なさらずとも、王都まで御守りいたしますからな!」

 うん。

 ボリス団長は、とても頼りになるお人なのだろうと思うのだが、俺の背中をさするのはどうかと思う。

 何気に体に触れてくる人だね。

「あ、ありがとうございます」

 そんな触れ合いなど求めていない俺は、お礼を言ってラージャの方へ逃げるように向かった。

 ん?

 ボリス団長が俺の事をスゲー見て微笑んでるし!



「ら、ラージャ!」

 死んだ虫で遊んでいる、ラージャに声をかけた。

「ん? 話は終わったのか?」

「ラージャ、騎士団が護衛して街に連れてってくれる事になったぞ!」

「良かったのじゃ! カズヤといると不安しかなかったからの!」

 なんだと、この野郎!



 俺とラージャは、騎士団に連れられ、王都へと向かった。

 金髪の可愛い顔したライネってのがボリス団長から俺達の世話をするように言われたらしく、色々と気遣ってくれた。

 ボリス団長からの視線を度々感じたが、やはり正体不明の俺達の事を警戒しているのだろう。

 怪しまれるような行動は控えないとな……


「カズヤ殿!」

 ヒッ!

 ボリス団長から突然呼ばれた。


 俺とラージャとライネが馬に乗るボリス団長の前に来ると、

「疲れたであろう? 馬に乗りなさい」

 だって。

 怖い顔して、ホントに優しいな、この人。

 小さいラージャの事を心配してくれたのかな?

「ありがたいのじゃ!」

「ラージャ、良かっ」

 え?

 俺の襟首を掴んだボリス団長は、俺を引き上げ自分の前にちょこんと座らせた。

 お、俺?

「あ、あの、ラージャじゃ?」

 ボリス団長を見ると、凄い笑顔!

 何なの?

 ちょっと怖くなってきた。

「なんで、カズヤなのじゃ! 我も疲れたのじゃ!」

 ラージャがぐずった。

 いや、代わってやるよ! むしろ、代わってくれ!

「ラージャちゃん、僕がおぶってあげるよ」

 ライネが片膝をついて背中をラージャに向けて言った。

「ライネは、優しいのじゃ!」

 ラージャはライネの背中に飛び乗って喜んでいる。

 

「……」

 そっか。

 この騎士団の人達は、優しいんだ。

 変な事を考えた自分が恥ずかしくなった。


「カズヤ殿、揺れるからしっかりと掴まってくださいよ」

 ボリス団長が俺に密着して…… 俺の安全を守る為だよね?

「は、はい」

 何か、抱きつかれてる感じがするが、優しさからですよね?

 歩くより体は楽なのだが、精神的に……

 

 ん?


 ペトリってのが俺を凄く睨んでいる。

 特別待遇されてるのが気に喰わないのだろうか?

 別に俺は、望んで馬の上に居るわけじゃないぞ。

 なんだが、凄く疲れる。


 こうして精神がズタボロになりながらも、騎士団一行は、森を抜ける事が出来た。

 この街道をずっと行けば、王都に着くらしい。

 俺の太ももを時折さすりながらボリス団長が耳元で囁いてくれた。

 うん。

 コレは、優しさじゃないな。

 薄々そんな事を考えつつも、ボリス団長の腕の太さをみて強く出れない俺であった。


良い人ばかりで良かった。

うん。

良かったのか?

なんか、俺の望む方向と真逆の気がしないでもないが……

兎に角、王都とやらへ行けば、状況も変わるだろう。

馬に乗せてもらって楽なハズなのだが、心が削られていくようだ。

って事で、次回も、乞うご期待!

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[気になる点] 「村とか町とか人がいるとこに行きたいんですよねぇ、ほら、俺、いや僕は、田舎から出てきましたから」 ※一番小さい集落(田舎)が村だと思うけれど  村とか町 よりも 町や都 かな? …
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