第69話 さぁ、家に帰ろう
嫁の兄を嫁にするという、何を言っているのか良く解らない事をしたカズヤ。
そして、当然の如くそれはトラブルに。
だがしかし、そこは主人公。
華麗に丸め込んだのであった。
「いや、あんたら、おかしいだろう?!」
家族会議中の広場に謎の声が響き渡った。
「だ、誰だ?!」
姿なき声の主に叫んだ俺は、辺りを見渡す!
うん、家族以外に見当たらない。
「ふう…… ラージャ」
俺は、ラージャを見た。
え? みたいな顔してるんじゃねぇよ。
「カズヤ、なんで我の顔を見てるのじゃ?」
「お前の仕業だろ?
ほら、みんな丸く収まってるのに、協調性というものが無いからなのか、お前は、ゴチャゴチャと、さっきから言ってたじゃんな?」
「そ、それがどうしたと言うのじゃ?」
「今の叫びも、お前の嫌がらせだろって言ってんだよ、俺は!」
キッと睨んでやりましたとも。
「ふ…… ふざけんじゃねぇーよ! 我な訳が無いのじゃ!
声も違うし、ずっとお前の目の前にいたじゃん! どんなイリュージョニストなのじゃ我は?!」
「文句があれば、堂々と言えばいいじゃねぇか。 あーあ、やだね、陰湿だぜ」
「なッ! だから、我じゃないと言って…… いや、その前に、その都度文句あったら言ってるのじゃ!
でも、お前が我を無視してるんだろう? ふざけんな、なのじゃ!」
「お前達、喧嘩はよせ! みっともない!」
また、声が?!
俺は、ラージャを
「いや、だから、違うだろ?
今お前と会話してたじゃん! 数秒前の事も覚えてないのかお前は?」
「わ、わかってるよ」
そうだな、ラージャでは無かったようだ。
じゃあ、誰が……
嫁達を見たが、俺に抱きついたまま。
うん、ボリス、そこをニギニギするんじゃない。
「フフフ、ここだぜ、俺は」
後ろから声?!
「あっ! お前は」
振り返った俺の目に映ったのは、
「そうさ、この俺よ!
隠れていようと思っていたが、お前の無茶苦茶な態度に思わず声をだしてしまったと言う訳さ! フフフ」
ニヤリと笑うその顔に少しイラっときたが、サニーだった。
お前に無茶苦茶とか言われる筋合いなど無い。
大体、このロリコンの変態野郎に関わり合いになりたくないから、放置して逃げたはずなのに……
「フフフ、俺が、どうしてここにって顔だな……」
サニーが俺の前に来て座った。
図星だけど、そんな事より、
「あの、サニーさん。 今は、家族会議なので部外者の貴方の参加はちょっと……
帰ってもらっていいですか」
家族の話合いなのに、首をつっこまないで頂きたい。
「あ、いや、だから日本から転移してきたばかりで、頼る人がいないんだよ」
「断る」
変な希望を持たせるのは悪い。
なので、俺はきっぱり言った。
「そうなのじゃ、頼る人がいないからといって、我らがお前を助けてやる義理などないのじゃ」
毅然とラージャが言った。
全くもってその通り。
まずは、自分でどうにかしようとか思わないのかね、全く。
「そんなぁ! お前の嫁を助けてやったじゃん!」
ソレを言われると辛い。
悲しいかな、俺は日本人。
受けた恩には報わねばならない気がしないでもない。
「カズヤ、そんな事より、早く帰ろう……」
ミカエルが俺に訴えかけてきた。
したくなった?
「ライネ、一緒にカズヤ様としよう」
「そうだね、ペトリ」
「おいおい、三人が相手かい? 俺の体もつかなぁ、アハアハアハハハ!」
ウヒョーー! 楽しみぃ!
「おい! お前等三人なんで、儂をハブる形で話を進めてるんだよ!」
ボリス……
「しょうがねぇな、今日は気分が良いからな、ボリス! 特別にお前も参加させてやる!」
心の広い人格者の俺は、分け隔てない人間。
なので、ボリスも誘ってやった。
「ほんと! 嬉しい!」
ボリスが俺にキスしてきた。
困った奴だ。
「ンぐ、ンぐ」
舌を絡ませてやる。
全く、甘えん坊め。
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・
・
「お、お前、男同士で……」
目の前の光景に唖然とするサニー。
そのサニーの肩をラージャがポンと叩いた。
「アレが、カズヤなのじゃ……」
ラージャは遠い目をしていた。
サニーは、ラージャを見る。
そして、
・可愛い。
・手が小さい。
・白い肌。
・でも、男……
・男でもいいんじゃね?
・カズヤの気持ちも解らなくもないな。
そう、思った。
だがしかし……
「残念だよ、君が男だとはね……」
サニーは、ラージャに呟く。
「は?
あのな、貴様がロリコンだからカズヤが機転を利かせて言ったがな、我は女なのじゃ!
ほれ、セクシーじゃろ?」
頭に両手をつけて、ラージャがセクシーポーズを取った。
ソレがセクシーなのかは、受け取る個人差はあろうが、本人はいたって真面目なのだ。
「ハァハァ、す、素敵だよ、ハァハァ…… ラージャちゃん!」
どうやらサニーにはセクシーに映ったらしい。
「全くカズヤには困ったものなのじゃ、こんなにセクシーなレディーが傍にいるのに、男とばかりとは…… って!」
サニーがラージャに襲い掛かってきた!
「ラージャちゃん! 抵抗しても無駄だよ!
俺は、空手、忍術の使い手だから! 優しくするから、良いだろう!」
「何がなのじゃ!」
ラージャが叫ぶ。
・
・
・
ボリスとのキスを終えた俺。
さて、帰りますか。
「もう! カズヤさん、ずるい。 僕も」
「うおっぷ」
ライネ!
……そうだな。
俺は、平等主義だから、ライネにキスをした。
コレが平和って言うんだろう。
ライネが終わると、ペトリ、ミカエルともディープキスをした俺。
とても幸せな気分。
さてと、
「おい、ラージャ、そろそろ帰ろうぜ」
「おう、帰るのじゃ」
返り血で真っ赤に染まったラージャが答えてくれた。
うん。
「何があった!」
言った俺だが、ラージャが掴んでいるモノを見て理解した。
「このモジャ助が、我を襲おうとしたから、返り討ちにしてやったのじゃ」
やっぱりか。
ラージャがサニーの髪の毛を掴んでいる。
ピクリとも動かないが、サニーの奴大丈夫か?
しかし、サニーの自業自得なので、驚くくらい可哀想にって気持ちがわかない。
「ライネ、一応、お前を救ってくれた恩人だから、回復ポーション使ってやれ」
「うん、ラージャちゃんから飲んどけって言われてたの余ってるから、のませてくるねカズヤさん」
ホントに可愛いな、ライネは。
ミニスカートからムチムチした太もも、そして屈むとパンツが見えてほっこりしてしまう。
「ラージャちゃん、こんな人でも、僕を助けてくれた人だから」
「か弱い女の子を襲うなんて最低なのじゃ!」
「そうだよね、僕もそう思うよ」
ラージャがか弱いかは別にして、無理やりしようなんて考えは間違いだ。
苦笑いしつつ、ライネはサニーに回復ポーションを与えていた。
コレにこりてロリコンが治れば良いけど、無理だろう。
まあ、合意のある相手を探すんだな。
俺に関係しないならどうでもいい。
好きにしてくれ。
次、ラージャにちょっかいだしたら俺が殺すけど。
「がはっ! ゴホッ、ゴホッ」
サニーが気がついたみたいだ。
「あれ? 俺? 生きてる?!」
サニーが驚いている。
まあ、俺も死んだがと思ったからな。
「良かったな、回復ポーションが間に合って。
コレで貸し借り無し。
ライネを救ってくれた恩は返したからな」
「俺は…… 助かったのか?」
サニーの奴が呟いているが、ちゃんと俺の言った事をわかってるのか?
「カズ君ーー! 先にトラックに乗ってるよ」
ボリスが向こうで言った。
見ると、ボリスがペトリとミカエルを連れてトラックに向かっていた。
「おーーい! 俺達もすぐに行くからなぁーー!」
ボリス達に向け手を振った。
「ラージャ、ライネ、俺達も帰ろうぜ」
ライネとラージャが頷く。
「ま、待ってくれ! お、俺も!」
サニー……
「あのな、女を襲うような奴を家に連れていけるわけ無いだろう?」
正当な断る理由だ。
「そ、そうだけど! 魔が差しただけで…… いや、ごめんなさい」
サニーが土下座した。
……うーーん。
「どうしたのじゃ、カズヤ? ……お前、もしかして、そうだったら、どうかしてるぞお前」
確かに。
どうかしてる。
何を考えているのだろう、俺は。
「……サニー、もう無理矢理とかしないよな?
ちなみに、無理やり女の子に変な事したり、合意でもラージャに手を出してみろ、どんな手を使ってでもお前が一番苦しむ方法で殺すけど、それでも良いか?」
全く、俺は、何を言い出しているんだろう。
「も、勿論でございます! カズヤ様にご迷惑などかける事など無いと誓う!
いえ、誓います! 誓わせてください!」
サニーが地面に額をこすりつけて懇願してきた。
「かーー! ホントに救いようのないバカじゃの、カズヤ!」
俺の顔を見たラージャに言われた。
そう、俺はバカだ。
こんな、危ない奴なのにな……
「カズヤさん、サニーは、何の得にもならないのに僕を助けてくれたんです。
根は悪い人じゃないと思いますよ」
そんな事は、解らないよ、ライネ。
「よっしゃ! ライネとラージャ、トラックに乗れ、帰るぞ!」
俺は、ライネとラージャに言った。
ライネがラージャをおぶってやってトラックに向かっていく。
さてと、
「……ほら、お前も立ってトラックに来いよ。
あっと、でも、お前は座るとこ無いから、荷台な。 それくらい我慢してくれよ」
ソレだけ言うと俺もライネ達を追ってトラックに向かった。
変な奴だが、サニーも日本人。
対立するよか、協力する方が良いだろう。
性癖なんて、大した問題じゃない。
倫理観なんてもんは、時代や場所で変化するもんだ。
自分の価値観でどうのとか言ってもしゃあないってもんだ。
後は、帰るだけ…… そう思っていた俺達。
まさか、あんな事が起こるとは、今の俺達には、知る由もなかった……
変態の犯罪者だが、心の広い俺はサニーを許してやった。
同じ日本人だし、社会に溶け込めなかった俺と違うだろうから、何かしらの知識を持ち合わせているだろうから、少しくらい役にたってくれると思ったのだ。
それに、基本、俺、優しいし。
って事で、次回も、乞うご期待!




