第59話 到着、俺達の家
俺達の拠点であり、俺達の町であるフジノ町に嫁の家族を招待する。
まあ、この土地はは、嫁の実家の持ち物だが、好きにしていいって言われたからな、好き勝手やらせてもらった。
フジノ町を守るようにある巨大な岩の割れ目を走るトラック。
俺達は、この道を通ってフジノ町を目指す!
「裏山に、こんな大きな岩があったなんて…… お母様、知ってた?」
「いえ、全然。 山に入ってもこんな奥地まで来た事なんてなかったから……」
フフフ、お母さん、ユリアナちゃん、驚くのはまだ早いですよ!
「お母さん、ユリアナちゃん、そして、ミカエル! もう直ぐ岩を抜けますからね!」
町に到着した時の皆のリアクションが楽しみだ!
「お母さん、実は……」
「まった! ライネ、とりあえず見てもらってからって事で、な!」
ライネがネタバレしそうになったので俺は必死に止めた。
先入観無しで、俺の町を見せたいんだよ!
俺は、ライネに目で合図する。
「……カズヤさん」
解っての事かどうかわからないが、ライネが言わないでくれた。
ホッとしたぜ。
おっと…… 町が見えてきたぞ。
ブロロローー…
岩により遮られていた日光が車内に入る。
いきなり明るくなったので、視界が一瞬、光で真っ白になったが、直ぐに建物が見えてきた。
フジノの町だ。
どうです?
沢山の家屋に、沢山の建物、そしてこの立派な道を!
立派な物でしょう?
さぁ、お母さん、ユリアナちゃん、ミカエル、驚きそして俺を賞賛して構わないんですよ!
「……」
「……」
「……」
ん? どったの? 静かですけど……
不安になった。
いや、もっと、こう…… 凄いとか立派だとか褒めてもらえると勝手に俺が思っていたが、こう静かだと…… 期待しちゃったから不安になるのだ。
「お母様、こんな場所に……」
「ええ、街が出来ている… わね」
車窓から見えるフジノ町を呆然とした様子でライネの母ヒルダとライネの妹のユリアナが小さく呟いていた?
……そうか。
想像以上なものを見たからって事だよな? そうだよな!
「よしッ!」
俺は小さく拳を握りガッツポーズをした。
「……そんな、そんな馬鹿な!」
「うわっ!」
後ろでミカエルが突然叫びやがった!
「ハンドル操作を失敗するとこだったじゃないか!
ミカエル、突然叫ぶんじゃないよ」
「おい! カズヤ、これはどういう事だ?!」
どういうって、全くもってしょうがない奴だな、優しい俺が教えてやる!
「フフフ、聞いて驚け…… ここが、俺達の町、フジノ町だ!」
カッコいい俺が、カッコよく説明してやった。
「だが、疑問が残るよな?
ミカエルが凄くききたそうなので、教えてあげよう。
お母さんやユリアナちゃんも聞いてね」
家までもう少しあるから教えてあげよう!
ずっと自慢したかった、この町が出来た経緯と発展の歴史をな!
ブロロローー…
・
・
・
ブロロローー…
壁伝いに運転したが門が見えてきたやっと家に到着したな。
固く閉じられていた門がゆっくりと開く。
「カズヤ様、お帰りなさい! 四天王の方々は応接室で待機中との事ですよ」
「そっか、ありがとね」
俺への伝言を守衛から聞いた俺は、門をくぐり、屋敷の方を目指しトラックを進める。
「あ、あのカズヤさん、向こうに見えているのが?」
後部座席に座るお母さんが聞いてきた。
向こうに見える建物の事でしょう?
「そうです、アレが俺達の家ですよ」
「……城?」
ライネの実家よりデカいからな、驚いているみたいだ。
「ライネお姉様、ずっと続いていた壁は……」
「家の塀だよ。
僕は、こんなに敷地が広くなくて十分だと思うんだけど」
「そ、そうね……」
「ふん! 多少、俺達の家よりデカいが、それがどうした!
それに、この土地もオールストレーム家の所有物だという事を忘れるな!」
ミカエルは何か不満なようだ。
「ミカエル、家に着いたらお姉さんと遊ぶのじゃ」
「……」
ラージャがニヤニヤしてミカエルに言ったが無視されたみたい。
お母さんもユリアナも度肝を抜かれているようだ。
なんだか誇らしい。
それもコレも、好きにしていいってオスモお父様が言ってくれたおかげだ。
ブロロローー… キッ!
玄関前で、ライネ達を降ろした。
「そんじゃ俺は車庫にトラック止めてくるから、ライネ達は、お父様達を応接室に案内してあげてくれ」
「うん、早く戻ってきてね」
ライネが可愛い笑顔でいうと、助手席側のドアを閉めてくれた。
俺は、ライネ達に手を振ってトラックを車庫に駐車しに行く。
ブロロローー…
「それじゃ、中に入りましょうか」
ライネが呆然としている実家の皆に言って先に玄関前に居るラージャ達の元へと歩く。
玄関を開けると、身なりのよい人間の男とメイド服姿のオーガの女性が深く礼をした。
その後ろには沢山のメイド達が同じように礼をしている。
「ラージャ様、ライネ様、ペトリ様、ボリス様、そして、オールストレーム家の皆さんお疲れ様でございます」
頭をあげた男が言った。
「テイカー、こちらがライネのご家族ですから、失礼の無いようにお願いしますよ」
ペトリがテイカーと呼んだ男に声をかける。
「お、おい、ライネ」
オスモが息子のライネの手を引いて小声で呼ぶ。
「なに? どうかした?」
「あの男は?」
「テイカー? ああ、この家の執事だよ。
それと、その横にいるのは、メイド長のヨウコだよ」
「メイド長って…… あれ、オーガだろ?
いや、うしろのメイド達も…… 魔物達?!」
「もう、それがどうしたっての?」
カズヤと一緒にいるのでライネは、それが普通になってしまっている、その為、父親の驚きにあまりピンと来ていないようだった。
「おう、おっさん。 カズヤも言っておったろう? お前等が魔物とか呼んでる鬼もその他の奴等も我等の仲間なのじゃ」
ミカエルと腕を組むラージャが呆れたようにオスモにいうと、ミカエルの顔をみる。
「ねぇ~ん、ミカエルゥ、我の部屋に行かない? ちょっと、疲れちゃったのじゃ」
「離れろ、さっきから何で俺の腕にまとわりつく!
お前は、カズヤの嫁なんだろう!」
ラージャの頭を掴んで、ミカエルが引きはがそうとしながら言うが、ピクリともしない。
「違うのじゃ、ミカエルは、勘違いしているのじゃ。
我は、ちょっとミカエルを愛人にしてハーレム要員の第一号にしてあげたいだけなのじゃ」
「カズヤもお前もたちが悪いな!」
ラージャとミカエルがじゃれているが、みんな無視した。
「おい、ライネ。
そのテイカーって執事だが…… その、やっぱりカズヤの?」
オスモが執事のテイカーを見て言った。
自分と幾つも違わない年齢の男、カズヤの守備範囲なのではと不安になり聞いたのだ。
「そんな訳ないよ。
テイカーは、元冒険者なんだけど、冒険者を辞めてこの家の為に尽くしてくれてるんだからね。
うちの町が小さい時、狩りに出ていたオーガの弥助に襲い掛かって返り討ちに合ったとこをカズヤ様に助けられてから、ずっとこの家の為に働いてくれてる仲間だよ!」
父親のバカバカしい憶測を否定するライネ。
「ライネ様、私は、カズヤ様をお慕い申し上げておりますが、分をわきまえております。
奥様方にご迷惑など…… 私は、カズヤ様を想い自分で自分を慰めているだけで満足しております!
お風呂やトイレの際に見たモノを目に焼き付け、ソレをオカズにさせていただくだけで満足しております!」
キリッとしてテイカーは、言ってのけた。
「フフフ、流石はテイカー! 職務に忠実なる男よ!」
ボリスは、テイカーにいたく感動したらしく言った。
当然、ライネの家族達はポカーーンだが…
「はっ! ボリス様、執事として当然でございます」
誇らしく答えるテイカー。
「いや、色々おかしいだろ!」
オスモは、魔物がどうこうと言うのがどうでも良くなってきた。
それよりも、目の前での会話についていけていなかった。
「では、皆様お待ちですので、こちらへ」
テイカーの言葉を受け、メイド長でオーガのヨウコが後ろに控えるメイド軍団に目配せすると、メイド達が移動して、通路の両脇に解れ深く礼をする。
「ライネ、それじゃ行こうか」
ペトリが言って歩き出す。
「あ、うん。
ほら、お父さん達も行くよ」
ライネに促されて、ミカエル以外のオールストレーム家の一行が戸惑いつつ歩き出した。
「あっ! ちょ、みんな! 俺を置いて行かないで!」
ミカエルが叫ぶ。
「おいっ! いいかげんにし…… ろ」
腕を掴むラージャを見たミカエル。
ラージャがハァハァ息が上がって顔を紅潮させいる。
「お、おい? お前、大丈夫…… か!」
ミカエルの体がくの字に曲がる!
「いいから」
「いいから、じゃねぇ、俺のを掴むなぁ! ちょ、みんな、行かないで! 助け…」
「大丈夫なのじゃ、ちょっとだけ味見するだけなのじゃ」
ミカエルのモノをミモミミ、時に強く時に優しく。
「ちょっ、俺、その、した事が…… なっ」
「お姉さんに任せておけば良いのじゃ」
「ちょ、ズボンを脱がさな…… おい、メイド! 助けろ!」
メイド達に向かって叫ぶが、メイド達は見ようともしなかった。
「ハァハァ は、初めてなのか? そ、そうなのか? 我が初めての女になってやるのじゃ! ハァハァ」
ミカエルの発言にむしろ興奮を覚えたラージャ。
ミカエルが泣きそうに……
スパーーン!
「お前は、アホかぁーー!」
「痛いのじゃ!」
「そりゃ、靴でぶん殴ったからな!
お前、嫌がるミカエルを無理やり襲うんじゃないよ!」
「最近ご無沙汰で溜まってるのじゃ!」
「最低な事を言うんじゃない。 おっさんじゃあるまいし、女の子だろうお前!」
車庫にトラックを停めて戻ってみたら、何をしてるんだラージャは。
「カズヤ!」
「ん?」
ミカエルが俺に抱きついてきた。
よほど、怖かったのだろう。
よしよし、俺は、ミカエルの頭を撫でてやった。
「カズヤばかり、ずるいのじゃ!」
ライネがプンプンの顔をしている。
「ラージャ、後でちゃんと話をしよう。 今は、皆が応接室で待ってるから行くぞ」
「きっとだぞ! お前ばかりヤッて我は、全然なのじゃ! 不公平なのじゃ!」
「ったく、わかってるって、ほら」
俺は、ラージャの手を掴み、
「ほら、ミカエル、行こう」
そして、もう一方の手でミカエルの手を掴むと、応接室へと向かうのだった。
全く、ラージャには困ったもんですよ。
そういう欲望に忠実なとこは嫌いじゃないが、相手が悪い。
嫁の兄だからな。
俺のように誠実でないと。
って事で、次回も、乞うご期待!




