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帰るまでが任務です(仮)  作者: ねむり亀
第2章
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地球に帰還・・・・・・・・?だよね

 惑星テラとラテに別れを告げ、サファイアを含め7人は、一路地球への帰還ルートを航海中

なんだかんだあった航海だが、次の跳躍が最後で火星の軌道に設定した座標ポイントに出現すれば、

今回の航海は終了。夏休みの宿題はとにかく、なんとか始業式には間に合う行程だった。

「いろいろあったけど、なんとか夏休み中に帰れそうね。」

明美が食堂で、コーヒーを飲みながら、最後に残った夏休みの宿題の確認をしていた。その横では、

「うわぁ~~~。ここの年式わからないよぉ。誰か教えて!!わぁ~~読書感想文もしてなかった!!」

さよりが泣きそうな顔をして、周りに助けを求めていた。

「さよりさんって、なんか落差が有り過ぎて・・・・・・・」

その様子を見ているサファイヤが唖然とした顔をしていた。

「さより、ちゃんと宿題を片付けてないから、間近になって焦るんだよ。どうしてここまで手を付けてなかったのかなぁ」

幸一がため息をつきながら、宿題を見てやっている。

「だいたい、みんな、いつ宿題なんかやってたの?宇宙戦争もしてたし、いろいろ交渉もしてたのに。」

「いや、普通に時間あっただろう?忙しかったけど。」

「て、言うか、一番時間あって遊んでたの、さよりじゃなかったけ?」

政史が、首をかしげてつぶやいた。確かに、さよりがした事を考えると、システムをハッキングして

書き換えた後、ほぼ自動化してしまっていたので、明美や拓哉のように、戦闘機に乗って戦闘したり

美由紀のようにレーダーを見て管制や報告をしていたりもしていないし、正のように操艦もしてないし

政史のように砲撃に加わってる訳でもなかったし、幸一のように指揮をとったり、各国の高官と交渉をしたりしてはいなかった。

「ヴぅ~~。いろいろしてたもん!!忙しかったんだもん!!」

「はいはい、あと少しで跳躍するから、それが終わるまでに、せめて得意学科の数学と物理だけは終わろうね。」

さよりは、しぶしぶ宿題と格闘を開始はじめた。

火星の軌道上に出現した、タートルエクスプレス(かめちゃん)は即座にステルス機器を全開にして、通常空間を地球に向けて航行をはじめた。

「かめちゃん、このまま進んで行けば、どのくらいに地球に到着出来る?」

「幸一さん。この速度のままだと、だいたい6時間ぐらいでしょうか?速度を上げますか?」

「やめて!!絶対に速度は上げないで!!まだ、読書感想文と世界史の宿題が終わってない!だから、出来るだけのんびり帰ろうね!ね、ね!」

艦橋に、さよりの悲壮な叫び声が響く。全員が苦笑と生あたたかい目をしてさよりを見ると幸一が

「速度このまま維持。地球時間で8月30日に到着予定とする。さより、これ以上遅くすると始業式に間に合わないから、このまま行くぞ。いいな。」

「うん、がんばる。」

さよりが、通信の監視をせず、夏休みの宿題のラストスパートをしていたため、本来もっと早く気付くべき

違和感に誰も気付く事なく、地球へ近づいて行った。



 最初に、違和感に気付いたのは、かめちゃんだった。

それはまもなく月の軌道に達する時、地球への突入を考えて監視システムをチェックした時に、あまりにも静かすぎる空間に違和感を覚えチェックした結果、行く前には有った物が無くなっていていることに気づき思わず

「幸一さん。地球には、スペースコロニーが有りましたよね?」

と、質問をしてしまっていた。

「うん?どうした?コロニーなら月と地球の間の軌道衛星上に34基あるけど?」

艦長席にてコーヒーを飲みながらゲームをしていた幸一が顔も上げずに答えると、それを聞いて当惑したように

「見当たらないのですが。」

かめちゃんは、メインスクリーンに、最大望遠で捉えた地球を映し出した。

「おいおい、冗談はやめてくれよ。」

幸一は、思わず艦長席から立ち上がって、見つめるスクリーンに映し出されている地球には、

スペースコロニーはおろか、スペースステーションも人工衛星も見当たらない地球の画像に、突っ込みを入れた。

「かめちゃん!月の静かな海にある、ルナシティは見える?」

明美が、月の軌道上にいることを考え、もっと近場にあるべき宇宙での人工建造物の確認を、かめちゃんにさせた。

「在りません!!月の表面をサーチしましたが、ネジ1つ人工建造物が検知出来ません。」

「そんなことないだろ!せめて、アポロが残した着陸船ぐらいあるだろう!」

美由紀が観測データーをチェックし始めて

「かめちゃん!現在の座標は?地球の座標に間違いない?」

「間違いありません。出発の時に確認した座標に間違いありません。」

かめちゃんが追検索を行った。明美が

「どこでもいいから、地球の放送局の電波をサーチして!」

「先ほどからしておりますが、放送局の電波どころか、人工の電磁波をこの距離からは観測できません。」

かめちゃんは、目の前にある地球に向けて、アンテナ感度を上げてサーチしたが、通常ならば人工衛星への通信電波、コロニーへの通信回線などの電波類で騒がしい空域にもかかわらず、拾えたノイズの中に意味のある電磁波の類いを見つけられなかった。

「おいおい、どうゆうことだ?跳躍の失敗で、違う宇宙空間に到着したのか?」

拓哉が、画像と座標を見比べて唸っている。

「今回の跳躍で、時空のズレは検知しませんでした。」

かめちゃんも跳躍前と後の各データベースから、この事態を解明しようとしていた。

しかし、出発から現在まで時空震や時空嵐には遭遇しておらず、異空間航行中でも、時空の乱れは観測できてなかった。

政史と正は、呆然とスクリーンを見つめ、倒れかけた明美を支えるように拓哉が抱きしめ、美由紀が泣き崩れ、幸一が歯をくいしばってスクリーンを睨み付けていた。

「どうするの?私達がいた地球じゃないよね。あそこにある地球は」

泣き顔の美由紀が、メインスクリーンに映し出されている地球を指差して、呟いた。

「そもそも、人類がいるのか?」

スペースコロニーはおろか人工衛星はもちろん、太平洋上の航空機の姿さえ見えない。地球の夜の部分は

暗く21世紀では光害といわれた、都市部の明かりが全くと言っていいほど無かった。アフリカの大地が幸一たちの記憶にあるよりも砂漠が広がり、エジプトなどの中東地域が砂漠化(・・・・)していた

とんでもない事態に自失騒然と皆が成って、言葉を失ったかのようにしずまった艦橋の重苦しい空気をぶち壊したのは、

「やっと世界史の宿題が終わった!ばんざーい!!」

という、喜びの叫び声をあげた、さよりの声だった。

「空気読め!!」

幸一が、さよりの頭に軽くチョップを入れた。

「痛い~。なんか、あたし、悪いことした?」

涙目でさよりは、幸一をにらむが、幸一はスクリーンを指差して

「スクリーンを見ろ!地球に人類が居ないかも知れないんだぞ!」

「じゃ、あたし、読書感想文の宿題しなくていいよね?ばんざーい、!」

「違う!!喜ぶな!!」

再度、幸一に頭をはたかれてさよりは、

「ぶ~、人類はいるでしょ。居なかったら誰があの万里の長城を作ったの?」

と、言ってさよりはスクリーンのある一点を指差した、

そこには、万里の長城らしき建造物が映し出されていた。

「確かに、何か有るな。」

「かめちゃん、画像をもっと大きく出来ない?」

「この距離からだと、光学的にこれが限界です。もう少し地球に近づいて見ればもっとはっきりしますが、」

「かめちゃん、静止衛星軌道まで近づいて!」

「わかりました。最大戦速で向かいます!」



 地球のたぶん日本の上空の高度約36,000km  タートルエクスプレス(かめちゃん)は停泊していた

そこから下界を見下ろすと、人の営みが垣間見れ、幸一達の知る鉄道網より簡素化されているが鉄道が有り

数は少ないが街には車も走っており、港には船も浮かんでおり、微弱ではあるがラジオ放送らしき電波も飛んでいるようだった。

地形も幸一達が知っている地球とほぼ同じであるようだった。


「で、どうしよう?」

観測データからすると、本来の帰るべき地球ではないが、どうも地球らしい事はわかった。

走っている車や蒸気機関車から推測すると、大体日本では、明冶の終わりから太正の初めぐらいにあたる、

過去に来たようだった。

「どうするって言っても、どうするよ。」

全員が困惑していた。

「かめちゃん、元に戻る方法は無いのか?」

「申し訳ありませんが、なぜ時間を遡ったのか原因が不明の為に、現状では難しいと思われます。」

沈み込むメンバー

「それより、サファイアちゃんが帰れなくなってないの?」

さよりが、サファイアのことを心配すると、

「そうだ。サファイアさん、定時連絡を毎日してましたよね。今も連絡が取れますか?」

幸一がサファイアに問うと、

「やってみます。」

そう言って、通信器に向かい、チャンネルに合わし呼び掛けてみた。

「こちら、留学中のサファイアです。誰か通信に出れますか?」

すると、

「こちらサナトリア王国第一近衛通信所、オーエン通信伍長です。サナトリア姫、感度良好です。定時連絡ではございませんが、何かございましたでしょうか?」

タートルエクスプレスの艦橋は、少しほっとした空気に包まれた。

「特に問題は、私にはありません。母上に今、幸一様の母国に到着したことを、伝えてください。よろしく頼みましたよ。」

「しかと承知いたしました。」

「では、通信を切ります。」

と言って、通信を切った。

サファイアは集まっている顔を見渡して、

「通信が繋がりましたから、私の方は問題ありません。まさかと思いますが、皆様の故郷が、かめちゃんの故郷のように、消滅したのでしょうか?」

幸一は、

「いえ消滅とは違うようです。ただ、時間が過去に戻ったみたいなんです。」

サファイヤが心配そうに

「それでも、元の時代とは違うということですね?私から見て幸一様達は、未来から来たってことでしょうか?」

幸一は、しばし考え込み

「サファイア姫の時空は、今も繋がっているということは、俺たちの方がどっかでズレた?」

と、独り言のように呟いた。

「サファイヤちゃん、どうしよう。あたし達の学校に編入予定したけど、それが出来なくなっちゃった。一回帰る?」

いつもと変わらぬさよりが、サファイヤにこれからの行動を確認した。サファイヤはしばし目をつぶり思案していたが

「確かに皆様の学校には、入学できなくなりましたね。でもしばらくは、皆様とご一緒に行動をとりたいと思います。」

ときっぱりと答えた。

「どうしてですか?今ならば、貴女だけは間違いなくお国に戻れるのですよ?」

幸一は、安全を考えるならば、サファイヤが帰国せずここで残るという決断が下した理由が解らなかった

「幸一様、確かに今の状況ならば、私が国に戻った方が、私の身の安全には間違いないと思えます。」

「ならなぜ?」

「いろいろ理由がございますが、一番の理由は、これから幸一様達がこの環境でどのように過ごされるのかを見てみたいという興味ですね。」

と言って、にっこりと微笑んだ

「それに、3年とはいえ私の自由な時間が得られましたのに、また王宮に戻って窮屈な毎日を過ごすのかと思うと、出来るだけこちらにいて自由な時間を満喫したい思いますし、ね。」

サファイヤ姫のとびっきりな笑顔を見せられ、幸一はなんとかしようか?という雰囲気になった。

「そうと決まれば、サファイヤちゃんの勉強をどうするか考えないといけないけど、一回地表に下りる?」

さよりが、人差し指を下に向けて提案した。

「さよりは、通常運転だなぁ。」

「よくそんなこんなが言えるなぁ。これから俺達どうして行けばいいのかわからないのに。」

「そうよ。もと居た時代に帰る方法がわからないのに、」

「でも、あたし達、大阪自由学園サバイバル部のポリシーは?」

そう、さよりに言われて幸一が何かを思い出したように苦笑しながら、

「いかなる状況や環境下でも、楽しく生き残る、だったよな。」

幸一は、全員を見渡し

「ぐだぐだ言ってても仕方ない。みんな!さよりの言うとおり、ここにいてもらちが明かないし、

一回下に降りてみて、外の空気を吸おうか!」



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