↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな病弱王女は年上の婚約者に過保護に扱われる  作者: やらぎはら響
はじめまして婚約者様

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/16

7

「ふざけてるのか。魔力放出病は毎日、薬を飲むのが常識だぞ」

「え!?」


ルクレッツィはおもわず声を素っ頓狂に上げていた。

寝耳に水である。

そんな毎日薬を飲んだ覚えがない。

発作が出たら薬を飲む程度だし、それだって数が少ないから症状を見ながら飲むかどうか決めていた。

ルクレッツィがかわいそうすぎる。

ぽかんとティクルスを見上げると、不機嫌ですと顔にデカデカと書かれている。


「治療法が確立されてないから、薬で緩和するものだ」

「知らなかった……」


ルクレッツィの知識は無さすぎじゃないだろうか。

これは絶対にみんな知ってることだ。

常識と言ったし。


(これも王妃たちの嫌がらせかなあ。さすがにこれについてお父様も何とかしてあげてほしかったけど……無理よねえ)


以前のルクレッツィのことを思い浮かべてつらつら考えるけれど、気弱そうな父親を思い浮かべると小さくルクレッツィは息を吐いた。

荷が重すぎたのだろう。


「国王陛下は何をしていた?」


今まさに考えていたところだ。

何をしていたと言われて答えられることはひとつしかない。

ルクレッツィはそっと目線を横にずらした。


「ええと、板挟み?」


それだけでティクルスは悟ったらしい。

大きくため息を吐くと、一度眉間を揉み込んだ。

まるで無理やり皺を伸ばすようなしぐさだ。


「フォック、殿下にファーレン国に抗議をするよう頼んでくれ。婚約者の釣書に持病やそれに対する適切な情報もなければ、体調も不健康で整ってすらいないのはどういうことだってな」

「あの、父も精一杯でして」


なんか厳しめの抗議が父親にいきそうだと、慌ててルクレッツィはティクルスを宥めるように立ち上がった。

手を無意味に開いたり閉じたりしていると、ギッと睨みつけられて肩がびくりと跳ねる。


「いいか、お前は子供だ、守られるべき存在だ。大の大人がそろってそれを怠った。完全なる怠慢だ」

「そう……ですかね?」


言っていることはわかるし理解できるけれど、いざ自分のことだと言われるといまいちピンとこない。

こてりと首を傾げると、長い髪がさらりと揺れた。


「そうだ」


なんとなくあやふやな返事しかできないでいると、ティクルスがなんの躊躇もなく頷いた。

その目はまっすぐにルクレッツィを射抜く。

ピリリとした空気も、眇められた猛禽類のような目も、何ならブチ切れそうなほど力のはいった額の血管も、すべてがルクレッツィのために怒っているのだとわかってしまう。

そのことが嬉しくて、以前のルクレッツィにティクルスを会わせてあげたかったと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。