表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
233/233

第231話 知識はなくても発見する可能性はあるか……

〇12月31日(水)地球



 お昼過ぎ、それぞれが家の片づけを終えて僕の家に集まってきた。


「そちらはどうですか?」


 今日の当番の凪ちゃんの声に、画面の向こうの暁がグラスを掲げて答えている。


「はいそれでは、今年もお疲れさまでした!」


「「「したー!」」」


 いつもの情報交換、今日は年末の特別バージョンだ。


『マジで一年が早い。去年は竹下が隣にいて、一緒に大掃除をやったってのにな』


「そういやそうだった。でもよ、道場はともかく普通客人に家の掃除までやらせるか?」


 そうだったんだ。


『お前たちはうちの門下生だから、遠慮いらないって母さんが。だから、こっち来たときも遠慮するなよ』


 そう言ってくれるだけでも嬉しい。


『んで、ユーリルとリュザールは昨日カインに着いたんだろう』


「うん、着くのは着いたんだけど、今、ボクたちは隔離中なんだ」


 こいつら何をやらかしたんだという顔をした暁に事情を説明する。


『なるほど……感染症の予防のためか』


「ああ、ラザルとラソルに会えねえのはきついけど、仕方がねえ」


『だよな。間違ったら、村一個無くなることもあるもんな……』


 暁も神妙な表情。


『あのさ、樹にお願いがあるんだけど』


「僕に?」


『俺のこっちの彼女、遥香はるかさんとチャムを繋げてやってくれないか』


 山本遥香さん、会ったことはないけど、暁によると匂いが僕たちと同じで、特にチャムと似ているからたぶん同じ人格だと言っていた。


「それは構わないけど、チャムはどう言っているの?」


 以前チャムにそれとなく聞いた時は、微妙な反応だった。たぶん怖いんだと思う。


『タルブクには薬師がいないだろう。俺がいる時には地球の知識で多少のことなら何とかできるんだけど、留守している時に病人が出ても残されたチャムが何できないのが悔しいらしくて』


 あー、チャムの性格ならそうかも。


『それで、地球と繋がったらマシになるかもと言ったんだ。遥香さん、来年から看護学校に行く予定だから』


 おぉ、看護師さんなら応急処置とかもバッチリだし、あちらでなら医療行為だってできる。免許は必要ないから。


「遥香さんの方も?」


『うん、あちらの世界に興味を持ってくれている』


 それなら、繋げることはできそうだけど……


「今、推察されるテラと繋がる条件は、どちらかの世界で、あるいはどちらともで樹先輩、ソルさんと手を繋いで寝るということですが……」


『俺の時だけだよな。両方で手を繋がないといけなかったのは』


 他の五人の時は片方の世界で手を繋いで、もう片方では近くで寝ている状態で繋がった。


「はい。おそらく、樹先輩あるいはソルさんとの繋がりの深さが条件の一つになっていたのかもしれません」


『繋がりの深さ……やっぱり両方ともで手を繋ぐ必要があるのかな。遥香さん、どうしよう……』


 遥香さんがチャムなら年は僕たちよりも一つ上の18歳のはず。高校生の男女が一夜を共にするのはさすがに厳しい。でも、


「チャムなら大丈夫だよ」


 小さい時からの親友で、何よりもいとこ同士。タルブクに嫁いでからはたまにしか会えないけど、繋がりが薄くなっているとは思えない。


「樹がそう言うんなら、大丈夫なんじゃねえ、んで、いつやるんだ?」


『え、えと……ソルとチャムが手を繋いで寝るということだよな。俺たちは雪が解けないと動けないから』


「それなら、GWあたりはいかがですか。カインで僕たちの結婚式がありますよ」


 そうそう、雪が無くなってから新居を作り始めたりと準備を進めて、それらが終わるのがちょうどその頃なんだ。


『GWか……この前もそう言ってたな。チャムにソルが結婚する時期は伝えてないけど、言ったら参加したがるはず。わかった、正確な時期が決まったら教えてくれ。カインに向かう算段を立てるから』


 チャムも来てくれるんだ。楽しみ。


「それで、こちらの方はどうする?」


『すまん。悪いけど、こっちに来てもらえるか。さすがに学生の身分で遥香さんと旅行は……』


 確かに。


「親とも相談して後から返事するよ」


 さすがにこの場で即答はできない。さて、次の話題は……


「おい、樹」


 穂乃花さんがテーブルに手で文字を書いた。これはSだよね ……あっ!


「あのね、暁。ユーリルたちにサンプルとして硫黄を持って帰ってきてもらっているんだけど、それで火薬を作ったらどうかと思ってるんだ」


『火薬をか!? 危ないんじゃねえの?』


「もちろん危ないけど、氷室ひむろの時に硝石を使った冷蔵装置の事も調べたよね」


 氷室のことで話し合った時に、硝石を水に入れると化学反応で周りの熱を奪い取るからそれを使った冷蔵装置の方がいいのではという意見も出たんだ。確かに、冬に雪をかき集める必要は無いし、装置も小さくできるのでいいことずくめのように思えるんだけど、もし、その冷蔵装置が普及した場合はどこの村でも硝石が常にある状態になるから、これから硫黄も手に入りやすくしようという時にそれは危険なんじゃないかって……火薬の原料となるもう一つの材料も、すぐに用意できてしまうしね。


「あの時はしばらくの間は氷室の方で行こうって決めたけど、あちらでは硝石自体は探そうと思えば探せないこともないから、何かの拍子で火薬ができてしまうことだってあるかもしれないじゃん。もしそれが、盗賊とかの手に渡ってカインに来たら、僕たちがいくら武術ができると言っても犠牲は免れないと思うんだ。だから、念のために持っといたほうがいいんじゃないかな」


『なるほど。知識はなくても発見する可能性はあるか……わかった。でも、俺の村にも少しほしい。頼めるか』


 穂乃花さんの方を見る。


「ああ、春に来るまでに作っとくぜ」


『頼む』


 えーと、あとは……風花から手が上がった。


「ところで暦はいつ導入してくれるの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=onツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ