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Limit Break Online  作者: 円連
第一章:不幸との戦い
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第三話 ミッション1:輸送車護衛【1】

 一部内容を追加しました。

 台本書きになっているのは会話ログ機能なるものです。

 作戦会議室を出ると視界が暗転し、徐々に白い光に包まれていく、そして視界が明瞭になると、ここが俺の望んだ戦場であると認識できた。俺が今立っているのは配置場所に選んだ森の中、鬱蒼と茂る木々の隙間からは意外に巨大な輸送車と、それに併走する重厚な見た目の黒い機体、その後方には長尺のライフル銃を携えた黒のAQAが見える。

 そして俺の目の前には森の中から輸送車を待ち構え今にも襲い掛かろうとする異形の怪物が背を向けて立っていた。

 半虫半機の怪物には両腕が鋭い鎌になっていて刃と刃を擦り合わせキチキチと鳴らし、背中はカブトムシの様な光沢のある甲殻を纏っており生物を感じさせるのだが、他の部分は昆虫の形をしてはいるが、明らかに機械の体だ。


 動揺する俺を余所にやや興奮気味にナックから通信が入る。

ナック「こちらナック、みんな気分はどうだい?」

 目の前の敵に驚いてるし緊張してる。

ウェス「流石はAGだなゲームとは思えないリアリティだよ」

 ああ、怪物もリアル過ぎて気持ち悪いな。

キタ「天気もええし、視界も良好、どっからでも掛かってこいって感じやな」

 今にも輸送車へ飛び掛かろうとしてますよ。

サーシャ「トウマ、初めてだからって緊張しなくても良いのよ」

 女の子にそう言われるとなんだかむず痒いものがあるが、今はそれどころじゃあない。

トウマ「俺の目の前に怪物がいる」

「「「えっ?」」」「なっ!」

 敵を見つけたらどうするんだっけ?・・そうだ、見敵即攻だ。

トウマ「敵の後ろを取っているので攻撃してみる」

サーシャ「了解、気をつけてね」

 脇を締め右手のドリルガンの引き金に力を込める。轟音と共にドリル弾が打ち出され、音に反応した怪物が振り返ろうとするが、もう遅い。

『グギャギャギャギャギャ!』

 怪物の背中に着弾したドリルは回転を続け、火花をまき散らしながら甲殻を削り、遂にはドリル弾は胸から飛び出し怪物の体に穴を穿つ。

 サーチライトの様な黄色い眼が俺を睨みつける。その両の眼の間、怪物の眉間に向けて左手に握っていたチェーンソードを振り下ろす。


ガリガリガリ、ガガッ、ズバッ!


 鎌で両腕を交差させつつチェーンソードを受け止める怪物だったが、ドリル弾と同様に刃を回転させつつ鎌を切り落とし、勢いそのままに怪物を真っ二つに両断した。

 切り裂き崩れゆく怪物の両眼が黄色から赤に変わり、やがて命の灯火であったかのように赤光は段々と消えていった。


トウマ「なんかやっつけたみたいだ。怪物は動かなくなった」

ナック「おお、やったじゃないか!」

サーシャ「ええ、いきなり戦うだなんてビックリしたけど、無事なようで良かったわ」

ウェス「トウマが一番槍に一番手柄だね」

キタ「ちくしょー、俺が一番を取るつもりやったのに~」


 倒した怪物の体から黒い炎の様に揺らめく塊がこちらに飛んできてAQAに触れると機体に吸い込まれるように消えた。

 そして操縦席左のモニターには【11ソウル獲得】と表示される。

トウマ「第二モニターに11ソウル獲得って表示されたぞ」

キタ「それ、それ、それが欲しくて俺たちはLBOを始めたんやで」

サーシャ「ええ、そのソウルポイントを貯めれば貯めるほど寿命を長く伸ばせるの、ソウルポイントはAMIDADRIVEという装置を使用すれば他人へ譲渡出来るから換金したり、欲しいものと交換できたりするのよ」

 なるほどな、ソウルポイントが集めるべき対象か、改めて勉強になったぜ。

トウマ「よし、じゃんじゃか敵を倒してソウルポイントを集めまくるぜ」

ウェス「ちょっと待ってトウマ、敵の残骸はまだ残ってる?」

 ん?ああ、確かにまだ怪物の亡骸が残っているな。点滅してるけど。

トウマ「点滅してるけどまだあるぞ」

「「わぁー」」「あかん、はよ漁るんや!」

トウマ「え?」

ナック「敵の残骸から何がしかのアイテムが入手できるはずだ。完全に消える前に採取してみて」

 俺は慌てて怪物の亡骸にAQAの腕を突っ込む。すると第二モニターに【???パーツ入手】と表示された。

トウマ「何かのパーツを入手したみたいだ」

ウェス「それは未鑑定パーツだと思うよ。軍本部へ持ち帰れば解析してもらえるはずだ」

サーシャ「これからは敵を倒したら必ず取得作業をしてね。兎に角、おめでとうトウマ」

「「「おめでとう」」」

トウマ「ありがとう、皆」

 なんだか熱いなにかが俺の胸から込み上げてくる。皆、本当に有難う。


トウマ「それと、さっきから気になっていたんだが、皆の声が文字になって目の前に表示されているんだが、これってなに?」

キタ「ああ、パイロットネームの後に通信した会話が表示されとるヤツやろ? それは会話ログ機能や、脳波コントロール装置【レムド】が見せているんや、基本的には戦闘中のみ会話ログが表示されるけど、設定を変えれば普段から使えるで、俺はうっとおしいからログ機能はOFFにしたけどな」

ウェス「ON、OFFは自由に切り替えられるよ。トウマは初心者だから最初のうちはログ表示させておいたらどうかな?」

トウマ「ああ、わかった。そうするよ」

 目では見えているのに触れない会話ログ、自分の意思で過去の会話が見れるのは便利だが、戦闘中は邪魔に感じるかもしれないな、まあ、ウェスの言う通りゲームに慣れるまではこのままにしておくか……。


ナック「こっちにもいたぞ、岩陰に敵一機を確認、まだ敵には気付かれていない様だ。こちらも不意打ちを狙ってみる」

サーシャ「了解、敵が岩場から出てきた際はウェスの狙撃に任せるわね」

ウェス「わかった。任せてくれ」


 皆の遣り取りが格好良い。これぞチームワークって感じだ。

 俺の視線はすっかり岩場に向いていた。

 自分の役割はこの森に潜む敵の発見なのに、チームワークの大切さを感じていた俺がチームワークを乱していたのだ。


 突如、背中から強烈な衝撃を感じる。前方に大きく吹っ飛ばされ、木々をなぎ倒しつつ、森から抜け出て輸送車の前方まで転がり、そして止まった。

 操縦席内に警告音が鳴り、右側の第三モニターには背面装甲:ゴブバックの部分が赤く明滅を繰り返し破損状況を知らせている。

 ゴブバック損傷率:80% 回避力半減 残り耐久力2


 慌てて態勢を立て直し振り返ると、森からダンゴムシのような怪物が二匹這い出てきた。

サーシャ「東の森より二機のダンゴムシが輸送車に接近、一時進行を停止し防衛に専念します。キタは急いでこちらに、ナックは岩場の敵を抑えて、ウェスは当面ダンゴムシを狙って、トウマ、落ち着いて、輸送車から離れるようにダンゴムシの側面に周り横っ腹を突くのよ」

「全速で向かう」「応!」「分かった」「りょ、了解」


 しまった。やってしまった。この失敗を取り戻さないと、これ以上迷惑は掛けちゃいけない。

 落ち着かなくてはと分かっているのに動悸が止まらない、手が震える。

 サーシャの指示通りにダンゴムシの側面へと周りこもうとするが、二匹のダンゴムシは俺へと向きを変えてくる。狙いは俺か?

 ウェスの援護射撃は左側のダンゴムシに命中するものの硬い装甲により弾かれてしまう。

 右側のダンゴムシが体を丸め俺に狙いを定めて回転を始める。転がりながら突進してくるつもりか?慌ててドリルガンをダンゴムシへと撃ち放・・てない!

トウマ「あれ? くそ! 弾が出ない、なんで!?」

 何度もトリガーを引くがドリル弾は発射されなかった。

 ダンゴムシが高速回転により大地を跳ねる様にして突進してくる。

サーシャ「トウマ! リロードして!」

 リロード? リロードって何? サーシャの助言が理解できず、混乱して頭が真っ白になった。

 ダンゴムシの突進を正面からまともに喰らい、後方へと跳ね飛ばされ、岩場の大岩に勢いよく衝突して止まる。

 

 再度鳴り響く警告音、第三モニターの表示を見ると【体】、【腕】、【腰】の部分が黄色く点滅している。

 ゴブメイル損傷率:60% 脳波力消滅 残り耐久力5

 ゴブフォールド損傷率:60% 回避力半減 残り耐久力4

 ゴブアーム損傷率:50% 回避力半減 命中力半減 残り耐久力5


 そして二匹目のダンゴムシが俺に向け回転突進を仕掛けてきた。

 立ち上がらなくてはいけないのに不慣れと焦りで上手く操縦できない、まずい、もう回避は間に合いそうにない。

 思わず目を閉じ衝撃に備えたが、衝突の寸前でダンゴムシの軌道が変わり、そのままの勢いで隣の大岩へ激突。その衝撃で大岩は粉砕されたが、球状から展開したダンゴムシは仰向けに倒れ、起き上がろうと無数の脚をモゾモゾと動かしている。俺の窮地を救ってくれたのはウェスの遠距離射撃だった。後から響いてきた銃撃音が、まだ俺の耳穴内でコダマしている。


ウェス「戦闘スキル【インパクトバレット】つまり衝撃弾を使ってみた。装甲内部にまで衝撃が伝わるから硬い相手には有効だね」


キタ「なるほどな、状況や相手によってスキルを使い分けるんやな。ほな俺は【ワイドショット】で美味いところを頂きまっさ♪」

 キタが手近な大岩を踏み台にして飛び上がり、仰向けに倒れているダンゴムシの腹に向けてショットガンをぶっ放す。

『グギギギギギィ』

 着地してからも、もがき苦しむダンゴムシの内側にショットガンを撃ち込み続け、やがて百本はありそうなダンゴムシの脚が小刻みに震えていたが徐々にその動きを止めた。


サーシャ「トウマ、今のうちに態勢を整えて」

トウマ「あ、ああ」

ナック「駄目だトウマ、頭上に一機、避けてくれ」

 ナックの声で頭上を見上げてみるとカエルの体にバッタの脚が付いた化物が俺にボディープレスを狙って落ちて来ている。

「うわあぁぁ」

 既のところで転がりかわす事ができた。だがカエルは立ち上がらせまいと舌を飛ばす様に伸ばし俺を狙う。転がりながら避け続ける俺へ、執拗に舌による連続攻撃が襲ってくる。強烈な舌の一撃は大地に点々と削り跡を残した。

 転がりすぎて方向感覚がおかしくなっちまった。このままじゃいつかあの舌を当てられてしまう。反撃しなくては・・・。

 いや、俺が避け続けていれば他の皆が敵を倒してくれるはずだ。

『ゲゴ~』

 バッタジャンプからのカエルプレスを横っ飛びで避けた直後、伸びたカエルの舌が横薙ぎに振るわれ、俺は避けきれずゴブレッグに舌が絡み付く、機体(ゴブ)は倒されカエルは舌を縮めながらAQAごと俺を引き摺り喰らおうと大口を開けて待ち構えている。ちくしょう、カエルのクセに鋭い牙をたくさん生やしやがって。


 飲み込まれまいと腹這いの状態のまま両手で地を掴み抵抗を試みるが、引っ張り強さに負け虚しく大地に爪痕を残しながら引き摺られていく。最後の抵抗とばかりに飲み込まれる直前にカエルを斬ってやろうとチェーンソードを抜刀するが、急にカエル舌の引き寄せが止まった。

『ゲゴッ、ゴガッ!』

ナック「そら捕まえた。逃げてばかりで手こずらせやがって。」

 カエルの舌をナックのAQAが掴んだのだ。掴んだ左手はそのままに、右手に持つヒートマシンガンでカエルの口内へ大量の弾丸をブチ込む。続けざまに武器を持ち替えヒートソードでカエルの舌を切り裂いた。


トウマ「助かった……。」

サーシャ「まだよ! ダンゴムシがそっちに行ったわ」

 残りの一匹が回転突進を仕掛けてくる。まだ序盤なのに皆に迷惑かけてばかりだ。足でまといと思われない為にも、ここで少しでも挽回しないとな。俺はチェーンソードを鞘に収め、両の拳に力を込める。

「次に吹っ飛ぶのはお前の方だ!!」

 右拳に装着されたハンマーナックルで高速回転しているダンゴムシにストレートパンチを叩き込む。突進を止めるが回転は止まず、擦れ合う金属音が鳴り響き火花が飛び散る。

「まだまだー!!」

 ダンゴムシの回転が緩んだのを見計らって、体を寄せながら一歩踏み込み腰を落とす。そして捻り(ひねり)を入れたアッパーを甲殻目掛けて捻り(ねじり)込んだ。甲殻がベコリと凹む、そうなると回転は完全に止まり眼下に弱点の腹を晒す。

 そして素早く抜剣しチェーンソードを叩きつけるようにダンゴムシへと振り下ろした。

『ギチュウゥ。』

 半虫半機の怪物が短い断末魔をあげ砕け散る。

【11ソウル獲得】


ナック「良い連続攻撃だったな、トウマ」

ウェス「そうだね、後でコンボ登録しておくといいよ」

トウマ「コンボ登録?」

キタ「説明は後にせえ、はよアイテム拾わな消えかかっとるで。」

 確かにキタの傍のダンゴムシやナックが倒したカエルはまだ残骸として残っているけど、俺の方のダンゴムシはもう点滅を繰り返し消えそうな感じだ。

 慌てて残骸を弄り、なんとか間に合いアイテムを入手できた。

【???パーツ入手】

トウマ「これもやっぱり幸運力が関係しているのかな?」

キタ「それ以外考えられへんな」

サーシャ「なるべくトウマには止めを刺させない方が良いかも知れないわね」

ウェス「でも、あの攻撃力は流石だよね」

ナック「ああ、削り役をさせるのは勿体無いな」

 チームの足を引っ張ったのに、俺の役割について話し合ってくれている。よかった、まだ見捨てられた訳じゃなさそうだ。


【???パーツ入手】×2

 突然、第二モニターにアイテム入手情報が表示された。

「「「「えっ?」」」」

キタ「どないしたんや?」

ナック「ニシがアイテムを取った瞬間、僕たちもアイテムが貰えた様なんだ」

キタ「どういうこっちゃ?」

ナック「しかもアイテムは未鑑定パーツが二個だ」

キタ「俺は三個やったで」

サーシャ「私は二個だったわ」

ウェス「僕も二個だった」

トウマ「俺も二個だ」

 どういう事なのか、試しにナックがカエルの残骸の収拾作業をしてみると・・・。


【???パーツ入手】

 今度は一個だけだったがアイテムが手に入る。結果、収拾作業をしたナックは二個で他は皆一個入手だった。

ナック「俺とキタの幸運力は俺の方が少し高いだけで、ほぼ変わらないから二個か三個の違いはランダム要素か敵の種類の違いかだよな」

キタ「そやけど、トウマが漁った時は二回とも一個で、しかも俺らは入手できへんかった。どういうこっちゃ?」

サーシャ「これもまた、幸運力が関係しているかもしれないわね」

トウマ「やっぱりそうなのか、じゃあこれからは俺以外の奴がアイテム収拾をしてくれないか?」

ウェス「でも、トウマが倒した敵は直ぐに消えてしまう様だから、戦闘後、誰かが代わりにドロップアイテムの収拾をするのは難しいかもしれないよ」

サーシャ「まあ、止めを刺した者しか収拾作業が行えないのかもしれないし、今後どうするかは次で検討してみましょ。」


 そして俺はリロードについてや、コンボ登録について皆から教えてもらう。

 その間にカエル一匹とカマキリカブト一匹が襲いかかってきたが、皆の集中攻撃で難なく撃退できた。

 そして取得作業について分かった事は、キタがカエルから未鑑定パーツを三個入手、他メンバーは二個入手したので、入手可能個数は固定ではなくランダム(リアルラック)の可能性があると考えられるそうだ。

 続いてキタはカマキリカブトの収拾作業を試みるが、攻撃を加えていないのでドロップアイテム収拾作業は行えないとエラーメッセージが出た。

 代わりにメンバー内で幸運力の一番高いサーシャが収拾作業を行うと、未鑑定パーツを一個入手し、他メンバーも一個入手できた。


 以上を踏まえると、収拾作業について次のように考えられる。

・収拾作業者:トウマの場合  トウマ 一個~?  他メンバー 無し

・他メンバーの場合  収拾作業者 一個~三個以上 他メンバー 収拾作業者より一個少ないが最低一個は入手。(幸運力により増減補正の可能性は大きい。)

・ダメージを与えた(もしくは攻撃した)者でなければ収拾作業は行えない。


 まだ試し足りていないので、基本はサーシャが戦闘後にアイテム収拾を行い、俺が敵を仕留めた場合は近くの者が各自の判断で、無理そうなら俺が戦況次第で拾いに行くことに決まった。優先すべきはパーティーの安全、最悪アイテム収拾は諦める・・・もったいないけど仕方がない。うん、仕方がない。


【???パーツ入手】×2

【???パーツ入手】

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