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【11/3追加】幼な妻と双子の物語開始 連載版  作者: ジュレヌク
幼な妻と双子

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14/14

幼な妻は、偽物商品にいけずなことをする①

 

 子供と夫を送り出したドルチェは、自分が手掛ける事業に関しての報告書を読んでいた。


 今彼女が、最も力を入れているのが知育玩具だ。


 子供の五感を刺激し、その発育に貢献できるとあって最近人気になってきている。


 それ専用のお店「インパラーレ」は、同時展開する子供服も一緒に取り扱うことから、平民から貴族まで幅広い客層を有していた。


 ただ、最近問題が起きている。


 ドルチェの作った知育玩具を見た目だけ真似た模造品が出回っていることだ。


 五本の棒に穴の開いた丸い玉を十個ずつ付けた商品で、数を覚えるのにも役立つと幼年期の子供を持つ親御さんたちから注文が殺到していた。


 しかし、ドルチェは、玩具だからこそ安全性にこだわっている。


 見た目を綺麗に見せようと有害な塗料を塗ったり、木の加工が甘く子供の柔らかな指を傷つけたりなどということは許せないのだ。


 だから、手作業で作られる玩具の生産性は低く、なかなか商品を手に出来ない。


 見た目だけのナンチャッテ商品が横行し始めたことで、ドルチェの怒りは止まることを知らない。



「リーゾ、例の物は集めてきてくれたかしら?」


「はい、奥様。こちらに!」



 専属侍女になったリーゾは、大きな袋に入れた偽物玩具を引きずって現れた。


 なんと、その数三つ。


 細身の彼女の何処に、そんな馬鹿力があるのか不思議でならない。



「製造元を辿ったところ、相当数に分散はされていましたが根本は一つ。元凶は、王都で大きな商いをしているアヴィド商会のグリードです。しかも、自分達の特許を主張し、他の模造品を作っている会社からマージンまで取ろうとしておりました」


「強欲が過ぎるわね」



 呆れ返ったドルチェは、その一つ一つに目を通して溜息をついた。



「こんな物を商品として売る者の気が知れない」


「それを言うなら、買ってしまう者にも非はあるでしょう」



 リーゾの言い分は、確かに正しい。


 しかも、子供が怪我をしたと言ってドルチェの店に怒鳴り込んで来る者すら居るのだ。


 自分が買った製品が、正規品でないということを知らなかったらしい。



「販売は、インパラーレのみで行っていることを大々的に新聞で広告してからは、随分苦情は減りましたが、まだまだゼロとは言い難く……」


「そうね。やはり、本体を叩かないと」



 見せしめというと言葉は悪いが、ドルチェに喧嘩を売るとどうなるのかを知らしめなければならない。


 ドルチェは、ドンドンと商品を三つに分けていった。


 一つは、思ったよりもずっと上質な物。


 二つ目は、改善の余地はあるがまだまだ粗が目立つ物。


 三つめは、どうにもならないものだ。


 リーゾは、全ての玩具に製造された工房名を書き込んでおり、これで工房ごとのレベルがわけられた。



「先ずは、上手く出来ている店を買収します」


「はっ」



 こう言った工房は、下請けをさせられているだけで貰えるものは手間賃だけだ。


 収入の多くは商会に入ってしまう。


 ドルチェは、自分の店の商品不足解消と、相手の手駒の奪取を同時に行なうことにしたようだ。


 底意地の悪さなら、その辺の商人に負けていない。


 正規品の製造を任される上に収入も上がるとなれば、相手は飛びついてくるだろう。


 しかし、実際に稼働させるのは一か月後。


 アヴィド商会に気付かれぬよう手はずを整え一気に移行させなければならない。


 それまでは口外させずに正規品と言うに相応しい技術を身に付けてもらう。



「そして、次の店ですが、こちらは部品を受注させます」


「部品のみですか?」


「玩具を作るだけの技術はありませんが、部品を作る事くらいは可能でしょう。木を既定の大きさに切り出すとか、組み立て前の状態を任せます。ただ、それが何に使われるものかは教えてはいけません。あくまで部品。最終工程は直営の工房で行います」


「はい。お任せください。必ずやバレずに引き込んでみせます」



 リーゾは、鼻息荒く返事をする。


 こう言った騙しのようなことは、彼女をワクワクさせるようだ。



「そして、最後の工房は、商業ギルドに通報を。こちらはデザイン、素材、安全性も全て考慮に入れた設計図を提出しています。特許は既に私の物。法を犯した者には制裁を加えてください」


「今すぐに行ってまいります!」



 ドルチェの格好良さに惚れ惚れしていたリーゾは、軍人のように敬礼したかと思うと部屋を走り出ていった。



「……ちょっと、これ、誰が片付けるのよ」



 足元に散乱した模造品を前に、ドルチェは大きくため息をついた。



「誰か、来てくれるかしら」


「「「「はい!」」」」



 ドルチェが声を掛けただけで、四人のメイドが走り込んできた。


 彼女達の敬愛するドルチェ様のお呼びを今か今かと廊下で待っていたようだ。



「片付けてくれるかしら?」


「「「「勿論でございます!」」」」



 テキパキと袋に偽物玩具を詰め込むメイド達は、窓の外を眺めるドルチェをチラチラと見ながら、



――奥様、素敵~。



と心の中で拍手をしていた。


月間恋愛部門(連載)の三位になりました。

そして、ptも22000を超しました。

全ては皆さまのお陰でございます。

ありがとうございます。

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