27/36
■第26話:逸脱者たち
空間の歪みが収まった時、二人の前には見知らぬ通路が広がっていた。
コロニー内部とは明らかに違う。
壁は白ではなく黒。
照明も不安定で、ところどころ明滅している。
まるで“管理されなくなった区域”だった。
「ここ……どこ?」
カナが周囲を見回す。
レイは慎重に進む。
空気が違う。
静かだが、張りつめている。
その時——背後で音がした。
「止まれ」
低い声。
振り返ると、数人の男女がこちらを見ていた。
武器を持っている。
銃のような形だが、コロニー内で見たことのない装備だった。
「お前ら、どこの区画だ」
先頭の男が睨む。
短い髪。
鋭い目。
明らかに警戒していた。
レイも視線を逸らさない。
「……俺たちは外から来た」
その瞬間、空気が変わる。
ざわめき。
「外だと?」
「まさか、扉を越えたのか?」
男は数秒黙り、やがて武器を下ろした。
「なら、お前らも“逸脱者”だな」
カナが眉をひそめる。
「逸脱者……?」
男は苦笑する。
「管理世界から外れた人間の呼び名だよ」
その言葉に、レイは小さく息を飲む。
自分たちだけじゃない。
この世界には、既に“気づいた者たち”が存在していた。
そして男は静かに言う。
「歓迎はしない。だが……仲間にはなれる」
新しい世界が、さらに広がり始めていた。




