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■第22話:視線
最初は気のせいだと思った。
だが違う。
“見られている”。
全方向から。
逃げ場がないほどに。
「……レイ」
カナが小さく呟く。
「ここ、観測されてる」
レイも気づいていた。
この空間では、自分たちが異物だ。
だから、認識される。
その瞬間——
光が集まる。
形を持ち始める。
人影。
だが輪郭は不安定で、常に崩れている。
「……誰だ」
レイが問いかける。
返答はない。
代わりに、頭の中へ直接流れ込む。
——観測対象、確認。
——逸脱個体、二名。
カナが頭を押さえる。
「やだ……これ、直接……!」
レイも歯を食いしばる。
声ではない。
“認識”そのものを送り込まれている。
「お前ら……何なんだ」
沈黙。
そして——
——管理外行動、確認。
——修正対象。
空間が歪む。
逃げ場はない。
ここは——完全に“向こう側の領域”だった。




