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■ 第11話:隠された層
暗闇の中、レイは壁に手を当てたまま耳を澄ませていた。
外を通り過ぎた気配は遠ざかり、再び静けさが戻る。だが、それは安心ではなく、むしろ不気味な“無音”だった。
「ここ……普通の設備じゃないよね」
カナの声は小さいが、震えている。
レイはゆっくりと頷いた。壁の材質、空気の流れ、微かな振動——どれも生活区画とは違う。
まるで、この場所だけ別の目的で作られたようだった。
奥へ進むと、細い通路が続いている。照明は弱く、ところどころ切れている。
だが完全な廃棄ではない。最低限の電力が保たれている。
「誰かが使ってる……?」
カナの問いに、レイは答えない。
その先に、小さなプレートがあった。
擦り切れて読みにくいが、かろうじて残っている。
——「実験層」
「……実験?」
嫌な予感が、胸に広がる。
人が住む場所の下に、隠された層。
そこに何があるのか。
レイは一歩、足を踏み出した。




