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プリンとキス  作者: 雲母あお


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43/43

43.もうすぐ夏休みが終わる  今日のクッキーはアレンジしてみました

「かのこさん、今日もクッキー作ってきたんで、食べてくださいね。」


絵画教室で、かのこさんに声をかける。


「うれしい!じゃあ、今日は飲み物をご馳走させてください。」

「いいんですか?ありがとうございます。」

「じゃあ終わったら、入り口の自動販売機で何飲みたいか選んでくださいね。」

「はい。」


以前だったら、『いえ、大丈夫です。』『俺なんかに』などと言っていただろう。

でも、今は違う言葉が出る。


不思議だ。



今日は、マカデミアナッツとチョコレートのクッキーを作ってきた。


初めてかのこさんに作ったのは、シンプルなプレーンのクッキーと、プレーンとココア生地のマーブルクッキーだったけれど、毎回同じのもなぁと考え始めたら、実家で妹と弟に作っていた頃を思い出して、こんなの食べたいとかって言う希望に答えるためにいろいろしたなぁと懐かしく思った。

そして今、かのこさんがおいしいと食べてくれるのが嬉しくて、アレンジが止まらなくなってきている。


今回のは、なかなかの自信作だ。


ナッツとチョコのバランスがとても良い。

多すぎず、少なすぎず、自分なりの絶妙なバランスを作り上げるのに2週間かかってしまった。

大学1、2年生のときの引きこもりのように部屋に引きこもっているが、その頃の俺ではない。


誰かのために何かを作っているのだ。

そして、渡した相手が喜んでくれる。

とても幸せな気持ちになっていた。

もっと喜んでもらいたい。

毎回同じだと嫌だな。こんなアレンジしてみようとか、次から次へとアイディアが湧いてくる。


最近、アパートに一人でいることも、普段ただ買い物していただけのスーパーの中を歩くことも、楽しくなっていた。


夏休みにアルバイト探していたけど、なかなか見つからなくて、去年まで行っていた短期のバイトの人に声をかけてもらったので、何度か行った。


あとは、ゼミの課題や、前期に出たたくさんのレポートをこなすために、大学の図書館に行ったりした。


そして、時間があればかのこさんのためのクッキーを工夫したくて、図書館でお菓子の本を借りたり、ネットで調べたりして、日々研究していた。


スーパーに買い出しに行って、そのお金がなくなると短期バイトに行って。

なんだか今年の夏は、時間があればクッキーの研究をする毎日だ。


去年まで苦痛だった夏休みが今年は気がつけば、あっという間に過ぎてゆく。



俺に何が起きてるんだろうな。

去年と同じようにバイトして、大学の図書館で勉強して、アパートに引きこもっているのに・・・


うふふ。

思わず笑みが溢れる。



不思議だな



なんだか、毎日が忙しくて



楽しいな


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