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プリンとキス  作者: 雲母あお


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19/19

19.どうした?青年?

また、節目の行事がぁーー!!

頭を抱える。


「最近、ため息つかなくなったなあと思っていたら、どうした?青年?」

いつものベンチと言えるようになってきた7月。


レッスン初日に、かのこさんの後を追ってたどり着いたベンチ。

あの日から、毎週このベンチに座って、かのこさんと話している。俺は隔週で通っているのに、だ。

かのこさんの憩いの場所に、半ば、無理やりついて行っている感じは否めないが、それから、4ヶ月経ち少しずつ自然な流れになって来ている。


「そんなこと思っていたんですか?」

「はい。思っていました。」

今日もかのこさんは心に正直だ。



「はあ。」

そんなかのこさんに、違う意味でため息が出る。

またゼミで頭を悩ませる行事が発表されたばかりだというのに、今は、かのこさんが考えていたことにため息が出てる。


不思議だ。


「また、ため息ついていますよ。今日はお教室で、ずっとため息をついていましたよ。奈良先生も気になさっていましたよ。」

それを聞いて驚いた。

「本当ですか!?」

「はい。私の絵を添削していたときに、『戸ノ岡くん何かあったのでしょうか?それともレッスンがつまらなくなったとか?悩み事ですかね?』って聞かれました。」

「そうだったんですね。失敗した。俺、奈良先生に謝らないと。」

「大丈夫ですよ。次回元気にレッスン受ければオッケーです。」

「そんなもんですか?」

「はい。そんなものなのです!」

ニコッと笑ってくれる。

その笑顔に、ホッとする。

いつもみたいに、深い自己嫌悪に襲われずにすみそうだ。


「それで、悩み事があるのですか?」

「・・・はい。」

「大丈夫ですか?」


「大丈夫じゃないです。」

はあ。

また、ため息が自然に出る。

思った以上に嫌なんだな。いや、絶対嫌だ!


「あの、かのこさん聞いてもらえますか?」

俺がそういうと、嬉しそうに、

「もちろん!いいですよ!私でお役に立てるなら。」

かのこさんは、いつもこうやって人の話を嫌な顔しないで聞いてくれる。


ありがたい。


「実は・・・」

話を切り出す。

「はい。」

真剣な顔でうなずくかのこさん。

「実はですね。ゼミで、前期の打ち上げ会をやることになりして。」

「うん。」

「それで、飲み会なんですけど。」

「うんうん。」

「そこで、一発芸をやることになりまして。」

「一発芸?」

かのこさんのキョトンとした顔を見て、思わず、

「そーなんですよ!一発芸!絶対やらなきゃいけなくて。何をすればいいのか、もう本当に困っていて。もう本当に嫌なんです。でも欠席することもできなくて。都合が悪いやついたら延期するとか言っていて・・・」

一気にまくし立ててしまった……


はぁ。。。


なんかもう俺情けない。

でも、一発芸なんて何をすれば……


ズーンと肩を落として、ベンチに座る俺に、かのこさんは、なんでもないことのようにこう言った。



「一発芸ですか。うーん、一発芸か。そんな考え込まないで、なんでもいいと思いますよ。」


「!?」

この言葉を聞いて、かのこさんの気持ちも知らず、傷ついたのだ。

いつも一生懸命考えてくれるって知ってたのに…

かのこさんの言葉足らずは、知っていたのに…


相談にのってくれてるかのこさんに、八つ当たりのような言葉を言うのはお門違いだって分かっているのに…。


『なんでもいいと思いますよ。』この言葉の先を聞く前に、言葉が口をついて出ていた。


「なんでもが1番難しいんですよ!できないやつにとってはもっと!」

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