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エスパー投手は彼女に夢中(甲子園に行くぞー)  作者: 駄犬
大騒ぎ野球チーム誕生
91/195

91.クラゲじゃないよ。

12月も半ば

初詣を部員全員(女子マネージャー含む)で行こうと五十嵐主将が言い始めた。

最近礼華が冷たいので部員をダシにテコ入れしたいらしい。

美月は年始に母親の手伝いをするらしいが、初詣の時間を午後にする事で

参加する事になった。


そんなある日、礼華ママがオカンに連絡の上美月達のアパートにやって来た。

「ご委任を受けていた案件、事態が大きく変化してしまいました。

 我々の調査不足です。誠に申し訳ありません。」

「何があったんですか。」

「美容室が倒産しました。粉飾決算していた模様です。」

「えっ!」

「先方の経済状態が悪くなっており、早めに対処する事を優先し

 示談を成立させました。

 事前に概算をお伝えした金額より大幅に下回る事をご理解下さい。

 離婚関係  慰謝料300万円 財産分与として600万円を受け取る

 遺産関係 現住の家屋を残し、資産を売却 分割時は現住家屋の資産価値+売却金額を分割する

 慰謝料関係 DVの慰謝料として心晴に100万円、洋子、美月に各70万円支払う

 養育費   これまでの養育費+成人までの養育費  美月540万円 心晴1140万円を支払う

      ただし上記は全て一括で支払う

お電話でも説明しましたが、先方の経済状況は悪いです。今取らないと減る一方です。」

「あの人、そんなに調子悪いんですか?」

「現住家屋の保有を願っていますが、多分無理でしょうね。現在の負債を考えると

 それを売却しても負債が残ります。」

「あんなに金持ちや、って威張ってたのに。」

「粉飾決算はかなりまずいです。懲役が付く可能性があります。」

「牢屋に入るんですか?」

「執行猶予が付く可能性が高いですけどね。そうなる前に美月さん、心晴さんの戸籍を

 分離します。」

「委任いただいた通り、こちらのアパートの住所で戸籍を作りました。

 高橋 美月さん、心晴さんです。 美月さんの文字も変更できました。」

「いつからですか?」

「本日付けです。もう高橋さんですよ。」

「あとはどうなりますか」

「慰謝料、財産分与に税金はかかりません。手数料をいただきますが

 この分は今月入金されます。」

「その位はお金持ってたんですね。」

「いいえ。遺産相続の遺留分を担保に当事務所の金融部門が貸しました。

 不動産の売却も不動産部門が購入予定ですが、先方が別の会社にも

 査定させるよう申し立てており、今しばらく時間が必要です。 

 養育費も遺産相続後の受取となっています。」

「養育費は、心晴さんは教育資金贈与として受け取り無税です。

 美月さんは贈与税を払った方が有利と判断しました。

 こちらも今月入金されます。手数料はいただきますが。

 遺産の金額、贈与税の金額が判明したらすぐれんらくしますので

 本日は失礼します。」


礼華ママは嵐のように去っていった。

相変わらず立て板に水のように話す。詳細は問い合わせるか

置いて行った資料を読めという事だろう。


「オカン、何か書いたんか?」

「委任状、結構沢山署名した。」

「内容読んだ?」

「説明聞きながら書いたけど細かい事は判らんかった。」

「怖いな」

「相手が礼華ママや大丈夫やろ」

 その大丈夫やろの自信はどこから来る?

「説明の紙に学校、不動産屋さんに届けを出して下さいって書いてある

 健康保険、役所関係、国民年金の改名は代書して提出してあります。

 代書手数料って結構高いやん。」

「やり方説明されたけどようわからんからなるべく任した。

 学校と不動産屋さんは言うたらしまいやからさすがに勿体ないって

 不動産屋さんに少し払うらしいけど。」

「オカン妙なとこ豪気やな。」

「年内にバーと終わらせよ。今日から高橋や」

「やっと正式にクラゲやのうなった。

 少しは寂しいかと思ったけど別になんともないな」

「心晴はどうなるの?」

「心晴のままやけど、海野でなくて高橋になるんや。

 これから高橋心晴やで。」

「なんか変やな。」

「すぐ慣れるって。後で名前書いてある物見直そな。」


それまで心晴に海野の漢字を教えていなかった美月は

その日、高橋の漢字を見せて心晴に

「難しい!」と言われた。





 

 


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