85.冬が来る前に
もうすぐ11月も終わりタマチカ野球部女子ロッカールームでは
マネージャー達が帰り自宅をしていた。
部活時間は2時間程度を厳守しているため遅くはないがもう暗かった。
タマチカのグランドに照明はない。
体育館での練習を増やし対応する。
帰るまで少しだけガールズトークしている。
「うちの学校、クラブ活動低調だよね。」
「学校行事も少ないよね。」
「毎月あるじゃない。試験と補講が」
「それは言わんといてー。」
礼華以外、補講を受けた経験があった。
「体育祭はないし、文化祭は1日だけ簡単にするだけ。
修学旅行は京都奈良、学生が集まるのが不思議だね。」
「その分徹底的な進学指導、高い合格率を誇っているけどね
入学しといて文句言っても仕方ないよ」
「でも修学旅行が京都、奈良って小学生かよ」
「遠くへ行った事もあるけど移動してるだけで無駄なのと
歴史とか文学に絡むところが多いからその勉強だって。
なんか夜に確認講座があるみたいよ。」
「た、楽しめない。折角の乙女の旅行が。」
「美月は関西出身だよね?京都奈良じゃ嫌でしょ?」
「関西といってもT塚は京都奈良とは少し離れてあんまり行ったことないよ。
詳しく知らんから興味あるかもしれん。」
奈良は遠足で鹿に追いかけ回された記憶しかない。大仏さん見たかな?:美月
「T塚だったら歌劇団見てたの?」
「住んでるからって見に行くとは限らへんよ。私は見た事ない。」
「そんなもんだよね。」
「行事と言えば冬の定番どうするのみんな。」
「冬の定番って?」
「クリスマスとお正月に決まってるでしょ。ぼーとしてると来ちゃうよ。」
ぼーとしてなくても来るとは思ったが。これに危機感はある。
この中で両想いの相手が居るのは礼華と美月だけである。
「美月は良いよね。クリスマスには『プレゼントはワ・タ・シ』ってやるの?」
「そんなベタな事はせん。というかそんな関係やない!」
「でも手袋要らないでしょ?手暖かいものね。」
「そんな事言うんやったら自分も見つければ良いやん」
「居たらこんな事言う訳ないでしょ? ああ超絶イケメン私に告白しに来い!」
「なんならクリスマス女子会やる?」
「えっ、礼華、五十嵐先輩は?」
「このままだと受験失敗間違いなし、冬休みはみっちりだそうだ。」
わが校のみっちりはみっちりだ。恐ろしい。
「じゃ5人でどっか行こうか」
「ちょっと待って私も女子会出たい。」
「美月、ショータは泣いちゃうよ?」
「あれは泣かしても別にかまへん。」
「あれ、ねぇ。」
お勉強厳しくても、ここの女子たちも冬の準備はしたいみたいです。
ショータは背筋に寒気を感じ、月日の移ろいを感じていた。




