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エスパー投手は彼女に夢中(甲子園に行くぞー)  作者: 駄犬
大騒ぎ野球チーム誕生
83/195

83.マウンドのプリンシパル

『モダンダンスみたい』他校の制服を着た生徒が話している。

礼華もショータの投球モーションは滑らかで美しいと思っている。

これで顔も(子供の顔だが)良いと来ているから見物人も出る。

野球部ホームページには丸太小屋で一緒に住みたいとか、女装して欲しいとか

怪しい書き込みがあり管理している電脳部員を呆れさせていた。

グランドの周囲に他校の生徒が居るのもすっかり日常だった。

礼華は人気チームを作るという計画が着々と進み満足だった。

当初計画は弱いながら頭脳でけなげに戦うチームが強くなる。

甲子園を目指すぞ! が着地点だった。

半年で目標が達成されつつある。

プリンシパルか。

中学までクラッシックバレーをやっていた美緒が『海外のプリンシパルみたい』

と言い始めたため、野球部ホームページでショータの事を勝手にそう書いた。

実際、バレーダンサーと投手の動きは近い所もあるそうだ。

礼華ですら、筋肉の確認をしながらシャドーピッチングをするショータを見れば

美しいと思う。

『あれで性格が壊滅的でなければ。』

礼華は恋人にするには少し難があるなと思う。

他の女子マネの意見も同じ、可愛い子供、弟なら可愛いと思う。

同年配女子にすら散々だった。

美月は同調したり反論したりしていた。


五十嵐周平視点

グランドでは主将の五十嵐が手ごたえを感じていた。

バッティングピッチャーをしていたボーイズ時代の練習のせいで

まとまった小さいフォームだった。

ステップを広げさせたのは彼の祖父だった。

コントロールはアバウトになったが『球が暴れる』投手になった。

測定器はないが回転数が上がったのだろう。

ほぼこの球しか投げないが、どの対戦相手も苦しめている。

捕球している時は、腕が遅れて出て来る位しか思わないが

打席に立つと一瞬眩暈を感じる不思議なフォームだ。

理由を考えてみたがわからない。


チェンジアップがコントロールされてきている。

投げ方の情報は溢れる位あり、色々やってみたが上手く行かない。

結局、縫い目にに指を掛けないで深く握るだけにで投げている。

野手が握りそこなった時の送球だ。

第三者が見ればチェンジアップである。ちゃんと落ちて見える。


カーブは投球フォームが違ってしまい、コントロールが酷い

使い方が難しい。


目をつぶりど真ん中に構える他なかった夏の予選よりマシ、と思いながら

五十嵐はショータに返球していた。


同時刻 

射沢春香(ショータ叔母) 病院内で

診察室で短い休憩を取り考える。

PTSDだよな。あの娘。どうした物か。


先日、ショータの彼女が妹を連れて来た。

妹の症状は発熱と喉の痛み。診断し薬を出した。

暖かいスープでも飲んで寝ていても結果は同じだと思うが病院は

薬を出さないとやっていけない。

下の子のPTSDの話をされた、精神科で診断を受けたらしい。

すぐに気がついた。

説明しているこの娘もPTSDだ。

父親の話をする時の反応でわかる。関西に愛着と拒否感を持っている。


ショータもPTSDだ。

特定の条件が重なると身体が固まったり、赤面症が出たりする。

吃音は矯正したが、こっちは心の深い所に残っている。


二人とも辛い事を辛いと言わず、ため込んだな。

厄介だ。崩れたらどこまで崩れるかわからない。

専門家に見せたら? 有効な策はないだろう。

そっとしておこう、きっかけが無ければ大丈夫だろう。

万一どちらかがどちらに依存しても、共依存になっても

あの二人なら大丈夫だと思う。


自分の事も考えなければ、応援の医師派遣は何時だ。

私も子供が欲しい、私も生物的限界はあるんだぞ。

患者が待っている。

次の患者を呼んでくれ。











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