75.ショータは頼りない?
秋季大会を早めに負けてしまったショータは勉強に野球の練習に励んでいた。
もちろん恋愛も!
美月の家に上がり込み、母親に挨拶し、妹の心晴にほっぺツンツンされていた。
心晴がショータに抱き着いているのを見て(私でもやった事がない。)と
内心穏やかではない美月だった。
もうすぐ10月、美月の誕生日、ドンクサのショータはお姉ちゃんを頼った。
「お姉ちゃん聞きたい事があるんだけど、うち、貧乏だよね?」
「貧乏の定義によるけど、どうして?」
「タクシー使うし、家大きいし、両親医者だし、お母さんの病院大きいから」
「正確にはお母さんの病院じゃないよ。経営権実質取られてるし」
「うん、タクシーだって病気の時に使うだけだよね。」
無理厳禁、何千円で健康が買えれば安いもの。
「ショータは射沢金物店の写真見たよね。」
「見た。お祖父ちゃんが甲子園に行った時ので、店の前に
沢山人が居た。金物屋さんだったんだ、と思った。」
「私が産まれる前に、金物屋さんやめて2世帯住宅作ったのが今の家
広いかもしれないけど、古い、古い」
「倉庫の場所を月極駐車場にして、経営している事にしてるから
少しくらいの領収書なら処理できるかもね。貧乏ではない。」
「でも、ずっとお金無いって聞いてるよ?」
「兄(ショータ父)と私のせいもあるな、医学部って国立でも結構お金かかるんだ。
お母さんの話は聞いてるよな?」
「うん。家を取られた話知ってる。今マンションになってる所だって。」
「でも、なんだってそんな話を?」
「美月とタクシーで帰ったんで、いつもそんな事してるの?って聞かれたから
お母さんの家を取られた話をして、お金ないって教えたんだ。」
「そしたら?」
「大変なんだねって。お弁当作ってあげようかって言われた。」
「そこまで貧乏じゃないけどね。もう借金はないし」
しかし、弁当作ってもらえば良いのに、
確かまだババアに弁当作ってもらってたよな。
「お金持ちと思って付き合ってくれたのかな?」ショータがうなだれる。
「そんな子なの?」ショータが首を振る。
ああ面倒臭い、違うって言ってもらいたいだけだろ。
「話はそれだけ?」
「美月に来月誕生日だねって話したんだ。」
ストレートでいったな。
「美月のお母さんが赤飯を炊くっ言ったけど断ってた。」
それは色んな意味で嫌かもしれない。
「そしたら彼女の妹、心晴ちゃんが新しくできたカフェに
行こうって言ってくれたんだ。」
うん、なんか凝った造りの店だ、行った人の評判も良い。
「頼み込んで、時間調整してもらえる事になったんだ。」
喜んでるけど、ショータ尻に敷かれてるな。
「良かったじゃない。それで?」
「プレゼントにこの財布じゃだめかな?」
ショータがタブレットを見せてくる。
2万円近いぞ大丈夫か?
「お小遣い貯めてたから何とかなる。当面金欠だけど。」
ショータは野球以外趣味がない。少し問題でも、資金面では+かな。
「これの、どこが心配、財布って人に貰うものだからプレゼントに最適でしょ?」
「ネットとか人の意見とか聞いたけどそれで良かったのか。」
「それ、自分でやってるじゃない。お姉ちゃんなんかね、ファッション全部
他人任せ、美容師さんや店の人に任せてるよ。
大丈夫、平凡になるけど一番それが良いから。」
ショータには強い味方が付いていた。
その頃海野家
「心晴、何であんな事言うの?」美月が心晴に言う
「美月あの店行きたいって言ってたやん。」心晴の答え
「何で心晴まで来るの?」
「心晴が一緒に行く言うたら、美月も来る行うただけやんか。」
美月は私の誕生日なのにと少なからず不満だった。
最初からショータの話に乗らなかった事はショータのせいにしていた。




