195.結婚式場の会話
「やった間に合った!セーフ。」
「忙しいのは相変わらずね。らしいというか何というか。」
「だいたい結婚式に出席予定なのに司法解剖の助手なんて受ける人いる?」
「久しぶり、の前にいう事がそれ?それに
解剖したのは昨日。今日は午前中だけの予定なのに引っ張られたの。」
結婚式会場のロビーに集まった女性達が大声で話している
その横にいた冴えないスーツの男が呆れた声で言った。
「結婚式にその話題はどうかと思うけどな。そういうの控えないのか?」
「私に招待状出した時点で覚悟できてると思うわ」
「招待しないのへんだもんな。」
ウチウチの小規模な結婚式という事だったが、結構人数はいた。
最後に入ってきた女性が、周りを見渡しながら言った。
「渡辺君、だよね?お久しぶり!」
「10年ぶり位か?学生時代一度会って以来だよな。」
「変わったよね、貫禄ついた。他の人は」
「社畜どもは転勤で飛行機の距離だよ。来たいけど、メッセージだけに
しておくってさ。女性陣は皆は変わず綺麗で驚いたよ。」
「お世辞を有難う。化粧で若作りしたかいがあるわ。」
「死体の修復や複顔で鍛えてるから自分の顔位余裕よ。」
「それ前面に出さない方が良いと思うよ、特に今日は」
「ご挨拶の場で言うほど馬鹿じゃないわよ。
それに同じ大学だからお互いやってる事は知ってるから
今更よ。」
「新郎は人の頭蓋骨かち割るのがお仕事だもの、人の事
言わないわよ。」
「女医さん達の話は俺にはわかんないよ。
わかるのは一人前の医者になるのって時間かかるな、というのと
あの二人、こんな長い間よく続いたなって事だけだな。」
「心晴ちゃんがいい加減にしろって、怒鳴ったんだって。
らしいわ。」
「子供は欲しいらしいから、まあ限界はあるわね。」
「止めて、年齢と結婚の話はしないで。」
友人主体の地味な結婚式だった。
医学部の研究者と病院勤めの薬剤師のカップルらしい。
少年のように若く見える新郎が、12年前、
世間でアンタッチャブルレコードとされる記録を作った話は
ほとんど出なかった。
燃えるよう思いを語り合った事、共に苦しみ喜んだ思い出、
彼らの記憶はあまりに膨大だったのだ。
結婚式が終わった後、片付けるスタッフ達は、この地味な結婚式に
似合わない花束の話で持ち切りだった。
MLBの日本人強打者二人からの花束には『今度は人生の優勝、おめでとう
対戦した中で最も手強かった投手へ』
とあった。
ボロボロのお話を読んで下さった方、有難うございます。そして申し訳ありませんでした。
初めて書いたので、読み返すと何が何だか自分でもわかりません。
これを修正するより新しく書きなおす方が早そうなので、現在
同じタイトルでカクヨムさんに書き直しています。
ちゃんと出来たら修正版を残してこちらは消そうと思います。




