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34.ハンターギルド 単なる猟師組合?

 また夜中に目が覚めたよ。昼間から圧縮魔石に魔力を注ぎ続けていたのを、止めることなく寝てしまったけど、限界がどのくらいなのか全くわからないな。今もまだ魔力を発生させ、圧縮し続けている。他に大きな魔力を使うとき以外は、このままずうっと圧縮させ続けても問題はなさそうかな? 


 で、また夜遊びでも行くか。今夜は魔石収集でもしようかな。夜の森へ魔獣狩りだね。


 いつもコナンばかりだし、新バージョンをやってみよう。『プロテクトアーマー、サモ・ハン・○ン・ポー タイプ、デブゴン』

 デブゴンはブルース・○ーの『燃○よドラゴン』のパロディだから截拳道(ジークンドー)だったかな? でもサモ・ハン・キ○・ポーは蛇拳、酔拳、蟷螂拳(とうろうけん)とか、何でもやってたよね。昔、『中国拳法なら八極拳が最強だ!!』と言ってた友人がいたけど、拳法習ったことないし、『アチョーッ!!』って、奇声を上げて、殴る蹴るの力業でいこう。中国拳法なら、いろんな武器もあったな。剣、棍、槍、その他には暗器もたくさんあった。よし、今回は槍術にしよう。魔力を槍の形に固定化して、刃の所に赤いリボンを付けて、カンフーの槍にはこのリボンだよね。それっぽくなってきたぞ。

 名前はどうしよう。そのままデブゴンにするか・・・ う~ん・・・ よし、デブリコンと名乗ろう。


 じゃ、転移するか。前回にやった転移の練習の時は行ったことのある場所だったけど、今回は行ったことがない場所。領都を囲う塀の外、地図でしか見たことのない森へ行こうと思う。いきなり森の中に転移するのは、危険だから近くの街道に転移してみよう。

 跪き転移円を展開し魔力を込めた後は、自らの精神体を飛ばす。地図で見た記憶通りの森の近くの街道に到着。周りに人がいないのを確認して、精神体のみの俺もその場に転移円を展開。

 肉体と精神体は魔力ラインでつながったままの状態だから、魔法円の展開後すぐに自動でいくつかの文字が書き換わる。多分その書き換わる文字が、座標指定と容積の数字だろうとは思うんだけど、この文字はどこかで覚えられないのかな。文献とか残っているのなら調べられるんだけどね。今度アドリアーヌに聞いてみよう。


 やってきました。転移って便利~・・・ 行ったこと無い場所でも、精神体が飛んで行けるのなら転移出来るんだね。近いうちに天空の魔法円の所へ行ってみよう。あれに魔力を注いだら、どんなことが起きるんだろう。あの魔法円は巨大すぎるし、大量の魔力が必要なんだろうな。しっかりと魔力圧縮をして行った方がいいな。



 街道上に転移してきた。さて、森はどっちの方角だ? 月明かりのおかげで、街道からかなり離れたところに黒い影が広がっているのが見えた。結構遠いな。飛んでいこう。

 コナンも飛べたけど同じようにデブリコンも飛べた。

 アドリアーヌが言ってたけど、魔力を出して従魔を創造し使役するのと俺の体の廻りに魔力を纏ってコナンになるのは要領は同じらしい。

 魔力を扱える貴族達は、魔力で従魔を創造しそれに乗って空を移動しているらしいから、コナンが飛べるのはおかしな事では無いと言ってた。でも、一度従魔をイメージして創造してしまうと、その形から極端な形状変更は出来ないらしい。俺がやっているように、従魔の形がいろんな形に変化出来ることがおかしいと言ってたな。そんなこと言われても、出来るもんは出来るんだからしゃーない。

 それと、従魔は魔力で創っているから、魔力供給を止めれば崩れ落ちて消えてしまうんだけどね。あるいは、魔力切れを起こしたり。


 空を飛んだらあっという間に森の入り口だ。テルヴェリカ領に来てから外に出たこと無いから、どんな魔獣がいるのか分からないけど、多分イクスブルク領の魔獣とそれほど変わらないんだろうと思う。

 さっきから前方の樹上に何かいると、俺の魔力が感知している。多分、自分の下を通る餌を待ち伏せしてるんじゃないか? デブリコンの体に攻撃されても、ダメージは無いだろうけど、噛みつかれるのも癪に障るし。一気に魔獣の頭の上まで飛んでって脳天を串刺しにするか。


 一瞬で魔獣の上まで飛び、目が合った。魔獣は、威嚇することも出来ずあわてふためき目に脅えた色がありありと見て取れる。そりゃそうだ、補食対象者が来るのを木の上で待ちかまえてたら、いきなり自分の上に敵が出現したんだから。ここは『アチョーッ!!』だよね。ザクッと音がして、槍が眉間から木の枝まで串刺しになる。脳天串刺しで痙攣しながら体が枝からぶら下がる。ん~ これは、ヒョウ柄? 関西のおばちゃんが好みそうだ。

 ヒョウ柄魔獣の後脚を魔力の触手で木の枝に固定して、槍を抜けばそのまま逆さ吊り。ナイフで喉元を切って血が景気よくピューっと吹き出てる。その間に腹を開いて内臓を掻き出して・・・ 肉はどうしよう。俺はまだ肉食えないし、魔石だけ持って行くか。解体するのも面倒だ。このまま血抜きで木に吊しといて、帰りに領都の平民街にでも放り出しとけばいいか?

 魔力の触手で逆さづり状態の魔獣の足を、ツタ状の植物で縛り直して吊す。触手で縛ったままだと俺がこの場所から動けないからね。



 おっ、ウルフだ。いや~、こいつらには以前食われそうになったけど、こうして見ると可愛いもんだね。デブリコンの運動能力に全くついてこれず、5頭の群れがあっという間に喉元を突き刺され、地に伏していた。これは槍よりも剣のほうがよかったか?


 あっ、イノシシか? まっすぐ俺に向かって走ってくる。猪突猛進だね。来るのが分かっているし、多分こいつには変化球は無いだろう。まっすぐ向かってくる魔獣を待ちかまえて、脳天から会心の一撃を喰らわせよう。

 ちょっと待て――――っ!! こいつの顔がデブリコンの頭よりも高くないか? 全体の大きさが10m超えてないか? 上から一発ぶちかませば終わると思ってたのが、助走をつけてジャンプ、眉間めがけて槍を突き出す。巨大イノシシの背の上をごろごろと転がり後へ落ちる。あれ? 槍が半分ぐらい突き刺さったよね。そのまま走っていくんだけど、死んでないのかよ。

 走り続けた巨大イノシシは大きな木に頭から激突し横に倒れていく。そうだよな~。死んでるはずだよね。その場の勢いで止まれなかったんだろうね。

 こいつも木に吊して、血抜きをして内蔵を出して、今夜の獲物の魔石を集めて袋に入れる。獲物は一カ所に集めて、まとめて転移しよう。

 前には、地面に放置していたら、溶けて無くなったようなかんじだったけど、吊しておけば形が残っているんだね。

 さて、巨大イノシシにヒョウ柄3頭、ウルフ5頭か。この獲物は何処へ置いてこようか。平民街へ放り出してくるか。


 テルヴェリカ領都を護るために築かれている、塀の中に転移した。平民街側にある門のすぐ近くだ。夜は門が閉じられている。深夜にもかかわらず、衛兵が剣を構え飛び出してきた。突然魔法円が光って魔獣が転移してきたんだから、かなり驚いているようだ。

 平民は魔法が使えないと言ってたから、魔獣相手には物理攻撃のみしか対処法が無いらしい。それがこんな10mもありそうなイノシシの魔獣を目の前にしたら、恐怖で建物の中に隠れていると思うんだけど、この町を護るっていう正義感が強いのかな。


 「ケリー、アウラ、 ここはっ、俺が残る。早く騎士様に伝えに行けっ!!」

 「しかしっ、あんな魔獣、隊長一人じゃ無理ですよっ!!」

 「三人でも無理だっ!! さっさと行けっ!!」


 隊長、剣先がぶるぶる震えてますよ。あんたもやせ我慢しない方が・・・ あっ、一人が走り出す。騎士に報告が行って、騒ぎになるのはまずいぞ。止めないと。


 「ちょっと、待て、待て。」

 「何者だっ。」


 ようやく、魔獣の前に立つ俺に気付いたようだ。警戒は解かないが、剣先がまだぶるぶる震えている。おかっぱ頭のデブ立っているんだけど、正体が分からないんだし警戒するよね。


 「俺は、デブリコン。アドリアーヌ・テルヴェリカの元で世話になっている者だ。夜の狩りに出掛けて、魔獣を狩って来たんだが、解体するのが面倒だから、平民街に放りだしておこうと思って、持ってきた。」

 「デッ、デブリコン様? 御貴族様でしたか。ごっ、ご無礼を致しました。わたくしは南門守備隊の隊長のアートと申します。」


 引っ越しやさんですかっ!!

 ようやく隊長が剣を納めて・・・ まだ震えて、剣を鞘に収めるのに、かなり苦労してるね。


 「こいつらの肉って、食用になるのか?」

 「はっ、はい、重要な食料になります。」

 「じゃ、置いていくから、解体して売りさばいてくれ。」

 「ちょっと、お待ち下さい。ここにこんな巨大な魔獣を置いて行かれても、こんな深夜では運ぶ手段がありません。デブリコン様は、どのように運ばれたのですか。」

 「ああ、そうか。じゃあ、俺が運ぶから何処へ持ってくか教えてくれ。」

 「お一人で運べるのですか。」

 「転移魔法で移動するから、簡単だ。」

 「その魔法がどういった魔法か分かりませんが、わたしがご案内致しましょう。ケリー、門を頼む。アウラ、食肉ギルドの長を叩き起こしてこい。

 では、デブリコン様、ご案内致します。」

 「いや、そんな叩き起こさなくても、俺が勝手に置いてくるからいいよ。」

 「いえ、倉庫の鍵を開けてもらわないといけませんので、他にも鍵を持っている者がいるのでしょうが、私は食肉ギルドマスターしか思いつきませんでした。」

 「あ、そうなの?」


 転移するから、鍵はいらないんだけどな。まあ、いいか。それより気になることが・・・・・ 食肉ギルドがあるということは、ハンターギルドとか、冒険者ギルドとかある? あるんなら是非登録したい。おもしろそうだ。


 「その食肉ギルドというのがあるのなら、他にも何かギルドある?」

 「はい、ございます。商業ギルド、工業ギルド、農業ギルド、ハンターギルド、」

 「それっ、そのハンターギルドを詳しく教えてくれ。」

 「ハンターとは底辺の職業ですよ。狩猟で獲物を狩ってくるのですが、安定した収入ではない上に、常に危険と隣り合わせです。再起不能の怪我をしたり、いつ死んでもおかしくない職業です。そのようなハンター達から獲物を買い取り解体して、それぞれのギルドに卸すのが、ハンターギルドです。」

 「え~、単なる猟師組合? って、ハンターギルドで解体するんなら、食肉ギルドは関係無いだろ。最初からハンターギルドへ持ち込めばいいんじゃないか?」

 「あそこの解体場には、あの大物は入らないのではないかと思ったのですが、ハンターギルドの方が近いので、先に寄ってみましょうか。」

 「ハンターギルドが近いんなら、そっちにしようよ。」


 俺が考えてたハンターと違うぞ。って、いうよりも『ハンター』が『猟師』って、まんまじゃねーかっ!! うん、間違っちゃーいねーよ。そのとーりだよ。でもね~、ゴンみたくとっても難しいハンター試験に合格して、ハンターライセンス持って世界を飛び回りたいとか思っちゃった訳ですよ。

 そうか~、でも貴族になるよりは、猟師やってたほうが気楽か~。うん、ハンター登録はしておこう。

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