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Last Resort  作者: 当廟
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28

ちょい短

レベルが上がった。

ここ最近は鈍化してきたと思っていたがそうでもないのか?


S1で出荷の手伝いをしていた時は、人数を差し引いてもボスならではで高経験値を期待していたがそうではなかった。

それが今回は道中含めても最短ルートで突っ切った分さほどではないと思ったんだが。


やっぱあれかね、PTメンバーの数もだけどレベル差。パワーレベリング、PL、養殖。それを許さないってことなのかな。


ゲームにもよるけど一定以上のレベル差や進行状況の違いで双方に大幅な取得経験値の減衰が入ってどっちも美味しくないってやつ。

今回はそれが適応されない範囲だったと考えればいいのかなこれ、誰か詳しく調べて欲しい。自分では調べないけど、誰かやるでしょ。やって。めんどくさい。


そう考えるとだな、このゲームにおける自分のアドバンテージというか価値が下がっているのを感じてしまうというか。

ゲームなんてそんなもんだといえばそうかも知れないけど。


VRという五感を用いて自身の体を動かすというのは、コントローラーを握りモニターの前でキャラを動かすのとは勝手が違い過ぎる。


作業ゲーだろうが何だろうが自分で体を動かして行動を完了させる必要がある。

存外これがそこそこのハードルで、教会のアレを見れば納得してしまう。


だからこそ現状として、程々に動けスキルとレベルが今のところは高いということで評価されているだけ。

世知辛ぇな。


馴染みのフレンドや身内の括りに入りでもしなければこのまま周りの成長に合わせて飲み込まれ忘れ去られていくだろう。


じゃあそういう訳で周回しましょうか。ジャックさんをソロで。


モーサ・ドゥークの時は同じボスを周回しても美味しくないパターンだと思っていたけど、実際はソロ周回がレベリング最速ってことだよな?


ドロップも経験値も美味しくて人型相手の練習にもなる。

職業レベルも上がれば上位職に転職とかも出来るかもしれないしね。

イベント?知らない子ですねえ……


何でもかんでも自分でやる必要なんてないし、好きな人がやればいい。

今の自分にはやりたいことがある。人はこれを無計画、勢いだけ、気まぐれと呼ぶ。

ネガティブな思考を振りほどくように適当にやろう。



「善は急げとも言うしね、善じゃねえけど。むしろ悪。二つ揃って最強に見えるな」



気分が乗ってきたところで早速───


───ドンッ、と。突き上げるような地震。

そして間髪入れずにシステムメッセージ、ウィンドが展開される。



《N1サンク北雪林フィールドボス初回撃破確認》


《開放度ゲージが更新されます。現在5%》


《プレイヤー全体によるボス撃破数5体以上を確認、実績解除》


《ユニークエネミーαをアンロック》


《ユニークエネミーα:Break Carrier》


《ユニークエネミーのアンロックを確認、実績解除》


《不毛の地、踏み均すもの》


《勝利条件:対象の撃破》


《敗北条件:プレイヤーの全滅》


《報酬:アンロック及び開示》


《大規模レイド用機能が解放されます》


《これらはこの世界全てに適応され全てのモノが影響を受ける》


《この世界は全てのモノに平等である》


《汝らに出来ることは其にも出来る》


《ここが分水嶺である。人類よ、試練の時》


《肉体の枷は解き放たれた。電脳たる仮想にて生存を勝ち取れ》


《退路はない、活路を求めよ、血路を開け》


《全てを滅ぼし尽くせ》



唐突なウィンドウの強制展開、一方的な通知。





───更に地震




東だ。噴煙のように空高く雲を割るかのように棚引く土煙。朱い朱い夕の陽がそれを色濃く浮かび上がらせる。

鳥が煙のスクリーンに影を落とし飛び去って行く。




───地震




夕闇が暗く黒く迫ってくる。影がより一層その赤をコントラストで映えさせる。

世界が紅に染まる、塗り潰され火に巻かれる様な錯覚を与える。


地面が揺れると人は空中に浮くんだなと、そんな事を思ってしまったり。

莫大なエネルギーによって引き起こされた超常的な縦揺れがそれを可能にする。




───バキリッ。




大地が裂けた音がした。

それは止まることなく、地という殻から産まれるが如く。


そして最大の揺れ、世界そのものが壊れてしまうかのような。

全ての根底を揺るがして……



赤暗い世界に其れは生えていた。朱く照らされる煙を引き裂くだけに留まらず雲までも貫いて。


黒くて黒い黒々とした其れ。赤い光によって支配される薄闇の世界の中でそれは真っ直ぐに。

其れ自体が闇を纏っているかのように、断じて周囲の暗さではなく、それは暗く周囲の光さえも飲み込んでいるかのようだった。


化け物の触腕。不思議と思い浮かび、何故かしっくりときた。


複数の触腕が絡み合い編み込まれたそれは天を支えるアトラスの腕だとでも言うのか。



一つ、二つ、三つ……


其れはまだ生えてくる。光量の足りぬ世界で輪郭をぼかしながら天へと伸びる。



四つ、五つ、六つ、七つ……


紙屑のように大地を引き裂きそれは生える。



八つ、九つ、十、十余り一つ……


まだ足りないとでも言うのか、其れは終わりの見えない地殻の破壊。



十余り二つ、十余り三つ、十余り四つ、十余り五つ……


隙間なく聳え立つ其れはもはや壁のように、出来の悪い前衛的なアートのようにすら感じられる醜悪さ。



十余り六つ。


一際勢いよく土砂と巻き上げ其れは伸びる。

其れは8対16本の触腕にして肢。



振り上げられた其れが地へと分かたれ墜ちる。

上がれば落ちるのが当然とばかりに撓り倒れ落ちる。


しかし予想を裏切り遥かに少ない衝撃を持って地を捕らえた。

地に食い込み、突き立て絶対の剛性を示すかのように。


そして擦れ合い筋繊維が圧縮されるように、弓が引き絞られる時に鳴るような。


あぁ、あれだ。橋だ、吊り橋だ、そうだ金属の音だ。


鳴っていた、その音が。軋むかのように鳴っていた。


限界まで圧を掛けられ降伏点を超え今まさに破断せんとする音が。


映画でしか聞いたことのないその音。

一体どれ程の圧を掛ければ生物の体から音なんて鳴るのだろうか。


それ程までに圧が掛かる行動とは一体何なのか。一体どれ程の力が生み出されているのか。

捕らえられた大地が沈み悲鳴を上げている。



そして其れは地の下より現れる。


否、地が持ち上がった。山が浮いた。


土砂崩れを起こし山が消えていかない、山の中に山がある。


纏わりついた汚れを振るい落とす動作を思い出させる其れは……



「ははっ……何が神の住む山だ、山自体が神様じゃねえか」



甲羅のような黒く隆起した外骨格を背負う其れ。


節の様で筋の様な肢を束ねた8対16本もの腕に支えられ顕現する。


紅き燐光の軌跡を残す複眼に紫電を帯びる角を持つ頭部が見据えるのは……



「───VVVVVVVOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOUUu!!!!!!」



勿論この聖都ですよねえ。


タワーディフェンスからは逃げられない。だってもう眼が合っちゃいましたしねえ。

紅い紅いあの複眼は確かにこちらを見ている。こちらを認識している。


そして夕日は落ち蒼く黒い世界に切り替わる。


夜の闇の中で紅い眼とその紫電の光だけが存在を主張し目を引き付ける。



さぁ、無理ゲーで鬼畜な迎撃戦の始まりだ。


ゾンビアタックはありですか?


ある程度書き溜めてキリ良いとこまでテンポよく更新したい


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