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182 風歌、歌姫になる?

風歌が歌が上手いと言うお話です。名前に歌って言う字が入っているから、当然かな?名前を考えた時は別に歌が上手いという設定にするつもりはなかったんですけど、森山君との恋愛話から、そういう設定を思いつきました。彼女はどんどん成長するキャラクターのような気がします。

桃花女子高校、2年生で部長の篠原友理奈です。

6月の定期公演が終わり、秋の地区大会で演じる新作について、同学年の佐々木あいく、顧問の福島雅先生と煮詰めています。

今回は先生の提案で、「歌」を大胆に取り入れたミュージカル風の劇にしようということにしました。

そして、ヒロインを誰にするかということで、悩んでいるところです。

ヒロインは絶対歌が上手い子にしようということで意見が一致しました。

さて、誰が歌上手いんだろう?


「そうそう、思い出した。

確か、1年生の藤田さん、入部届の特技らんに歌を歌う事って書いてあったよ。

子供の頃、カラオケ大会で優勝したことあるって。

相当うまいんじゃない?」


「先生、本当ですか?そりゃすごい!

私は歌は得意じゃないなー。

でも、子供の時かあ?今はどうなんだろう。でも、他の子よりはうまいんだろうなあ。」


「私も歌はだめ。

音痴じゃないけど、上手いって言われたことないもん。」


「王子の梨亜はけっこう歌えると思う。

前に一緒にカラオケ行った時、うまかったもん。」


「そうそう、梨亜は何でも器用にこなしちゃうタイプだからね。

歌もめちゃめちゃ上手くはないけど、音程はしっかりしてるし、いい曲を歌うと、ちょっと感動的な雰囲気つくっちゃう。

やっぱり発声の基礎ができてるんだよね。」


「うん。梨亜は心配ない。王子だから、歌を歌わないわけにいかないでしょ?

そうすると、藤田さんが本当にうまいかどうかを確認しないと。」


「うん、カラオケが上手いって言ったって、舞台で映える声が出るかどうかがわからないしね。

先生、藤田さんを明日でも視聴覚室に呼んで、ちょっと得意な歌でも歌ってもらいましょうか?」


「うん、そうしましょ。

歌姫が今度の劇のカギになるかもしれないしね。」


「じゃ、私が藤田さんに話しておきます。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


風歌です。


今日、部活が終わったあと、篠原部長に呼ばれて、思いもかけないことを言われました。

「前に、雅先生が言ってたとおり、今度、秋にやる劇は歌を使った劇になることが決まったの。

それで、歌が上手い女の子さがしてるんだけど、藤田さん、特技は歌なんでしょ。

今回の劇で、活躍してもらうかもしれないから、ちょっと歌を聴かせてほしいんだ。

明日、昼休み、視聴覚室で歌を聴かせてもらえない?どんな曲でもいいよ。

カラオケ歌うなら、それでもいい。視聴覚室にはカラオケ設備あるし。」


うそっ?演劇部で歌を歌う役をやりたいと思ってたら、何と、自分が立候補する前に、指名されました。

これはラッキー!すごい偶然。そしてチャンスだ。


「は、はい。特技かわかりませんけど、歌は大好きです。

もし、歌を歌う役があるのならば、喜んで引き受けます。

明日ですね。

家に帰って、何を歌うか決めてきます。

カラオケの伴奏もスマホの中に入っている曲を使うつもりです。」


そして、自宅に帰って、夕食後、大学3年生の姉の部屋を訪れます。

何の歌を歌うべきか相談するためにです。

姉は音楽のことは私より詳しいんです。


姉は大学に入学して、軽音楽部デビューを果たしました。

何と、バンドでギターを弾き始めたんです。

もともとピアノは弾いていたので、音楽理論はある程度分かるから、覚えもよかったみたいです。

今では、相当の腕みたい。


ちなみに姉の春歌(はるか)は和音のお兄さんの和人さんと小学校、中学校が一緒で、けっこう仲がいいんです。二人とも、好き合っているんじゃないかなって思ってたら、和人さんが地方の大学に入学しちゃって、たまにしか帰ってこないので、全然進展しません。

姉は、私に、「ねえねえ、和人に彼女できてないか?和音ちゃんに聴いてくれる?」なんて頼んだりします。

私は、姉に、「和人さんのことが好きなの?」なんて、野暮な事は聴きません。

見え見えだからです。

姉にとって、ラッキーだったのは、和人さんが、大学で演劇とバイトに夢中で恋愛をする暇がないということでした。

和音が「お兄ちゃん?彼女いるかって?全然女っ気ないよ。演劇が恋人みたい。」

なんて教えてくれるので、姉はいつもホッとしてます。


でも、恐れているのは、就職して、地元に帰ってこない可能性があることです。

そろそろ、想いを伝えておかないと、社会人で離ればなれになったらまずい。

うーん、姉のために、大学卒業までに、何とかしてあげようかな?なんてちょっと考えてはいます。


あ、余談でした。


「お姉ちゃん、明日、学校で、部活の先輩と顧問の先生の前で、歌の腕前を披露することになっちゃうんだけど、何歌ったらいいかな?カラオケはスマホに入っている曲使えばいいよね?」


「へーっ、すごいことになったね。風歌の上手い歌を思う存分聴かせてあげたら?

そういえば、風歌は最近洋楽をよく聴いているから、英語の曲を歌うのがいいんじゃない。

それも、ギターの弾き語りで。

そうだ、前にビートルズのイエスタディとレット・イット・ビーを教えたよね?

その2曲をギターの弾き語りで歌ったら?」


「えーっ?確かに、あの2曲は弾き語りできるけど、人前でギター弾いたことなんてないよ。

超緊張しちゃう。」


「でも、カラオケより、インパクトあるよ。どんな劇やるのか知らないけど、ビートルズの曲をいっぱい使った劇というのもありなんじゃない?名曲ばかりだから、楽しいよ。」


「なるほど、そういえばそうかも。

ちょっと、お姉ちゃんの前で弾き語りやるから、ちょっと見てみて。」


「いいけど、もう夜なんだから、小さな音と小さな声でやるんだよ。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日、昼休み。

ギターを姉から借りて家から持ってきた私は、福島先生、篠原部長、佐々木先輩、そして、王子の新川先輩の前でギターを弾きながらビートルズの名曲を歌い切りました。


先生と先輩方は私の弾き語りに唖然としてました。


「わー、すごい!感動しちゃった!

歌上手いねー!しかも、ギターも弾けるんだ。」


「藤田さん、中学の時はテニス部だったんでしょ?

歌とギターも上手いなんて多才ね。」


「ほんと、びっくりした!

この特技は活かさない手はないですよ!先生!」


「うん、決まりね。ギターを弾きながら歌うヒロインにしましょう。

今年の劇は歌いっぱいにして、楽しい感じでやること決定ね。」


「ちょっと待ってください!私、ギターを弾けるのはこの2曲だけですよ。

他の曲を弾けるかどうか?」


「大丈夫よ。時間はたっぷりある。」


「そうね。練習すればいいんだから。大体歌が上手いから、ギターは何とかなるよ。」


評価されたのは嬉しいけど、急にのしかかる責任の重さに、驚く私でした。

でも、この間まで、演劇部では端役でももらえればいいや・・・なんて望みが小さかったんだけど、

森山君と出会ったことで、夢が広がっちゃった。

森山君、ありがとう!

私は森山君との交際は自然に任せることにしました。だって、これから忙しくなりそうだもの。



風歌のお姉さんと、和音のお兄さんにも恋愛フラグが立ってます。作者ながら、お姉さんの想いは伝わるのかな?って心配になります。大学進学で、会えなくなっちゃうと、余計想いが募りそう。やっぱり若者には恋をしてほしいですね。

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