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60 砂漠を歩く話


 セルテルさん宅を出て、とりあえずはギルドが固まってる西門付近まで戻ってきた。


「大発見よ大発見! これは後でメンバー全員に広めないと!」

「ん。後で掲示板にも」

「そうですね。同じようなところで詰まっているクランもたくさんありますし。掲示板には絶対上げておかないと、後で何を言われるかわかりませんよ」


 早速エトワールだけで話し合いを始めてしまった。暇になったので、俺はステータスを開いて成長具合を確認する。


 【料理】が21と。SP14もあるからいい加減何かに使わないとなあ。あとは【生活魔法】があるが、これはレベル無しスキルか。あと【軽業Lv.1】ってことは三角飛びだけで生えたのか? その前になんかやったっけかなあ。


「兄さん、兄さん」

「あ、ああ。どした?」

「このクエスト情報、触りだけでも掲示板に書き込もうと思うんですけどいいですか(・・・・・)?」

「構わないんじゃねえの」


 俺はこの時、アルヘナたちの話をよく聞いておくべきだったのだ。

 そうすれば後で貴広にあんなことを聞かされることも無かったと言うのに……。


「わかりました。じゃあ書き込んでおきますね」

「ああ、俺は掲示板は見ないからなー。頼んだ」

「はい!」


 満面の笑みだったのが気になったが、今までヘーロンで足止めをくらってたんだから嬉しいんだろう。

 ステータスの確認が終わったところでアルヘナたちの話し合いも終わったようだ。


 3人は1度他のメンバーと合流して、他の(しるし)を探してみるそうだ。俺も誘われたが、女性だらけなのも気を使いそうなので断った。


 ヘーロンには少ないがプレイヤーが居るので、これ以上嫉妬に狂った男の視線を受けるのは御免である。



「さてどうするか……」


 コインを貰えるクエストを探してもいいんだが、ヘーロンには東西と北に門がある。

 興味が湧いたので、東門から外に出てみることにした。


 東門から外は多少開けた平原があるが、その先は徐々に地面が荒れていき砂漠が広がっている。

 ヘーロンで森林は終わりのようだ。北側には山々が連なっていて、遠目に見える高い所はうっすらと白い。

 南には海があるようだが、イビスと違い断崖絶壁が続いているらしい。


 砂漠側には砂岩を敷き詰めた道が東方面に続いているようだ。

 といっても人が横に3人も並べばぎりぎりである。

 あの先にプレイヤーが行ったという話は聞いていない。おそらく毒持ちモンスターに手を焼いているんだろう。


 事前に聞いた話によると、出てくる敵はデカイサソリとデカイミミズだそうだが。どれだけデカイのが出てくるのやら。


 アレキサンダーは砂地だろうが移動に不自由はしないようだ。シラヒメは砂地が苦手らしく、1度は下に降りたものの今は俺の左腕にくっついている。

 タランチュラのように砂地を自在に歩くとはいかないらしい。



 俺の数歩先を跳ねていたアレキサンダーが突然に急停止した。

 その直ぐ先の砂地が急激に盛り上がり、茶褐色の甲殻を持つサソリが姿を現した。名前だけは分かるんだよな、スコピオというようだが。


 自家用車くらいの体躯から、毒持ちの尾と脚にハサミを備えた前脚が伸びている。

 うん、確かにデカイなこれ。


 アレキサンダーは左右からボクシングのように繰り出されるハサミを軽快に避けている。アイツ本当に何レベルなんだよ。


 俺は横からアレキサンダーの加勢をしようと近付いたら、毒針付きの尾を振り回されたので慌てて距離を取る。毒耐性があるからといって、まともに食らってもいいという訳でもないしな。


 しばらく近付いて尾と攻防を繰り返して離れて、を何度かやってみたんだが(らち)があかねえ。

 俺は素早く周囲のプレイヤーの有無を確認すると、エナジードレインを使う。モタモタしていて2匹目を呼び寄せるのも手に余るしな。


 コイツは各部の節の付け根が弱点のようだし、エナジードレインで得た外部HP(ヒットポイント)を盾に突っ込む。


 リングベアの籠手にある爪で振り下ろされた毒針を真剣白羽取りにする。

 ついでに節部を抉って毒針部分を強引に引きちぎってやると、ハサミや尾を振り回して暴れ始めた。


 アレキサンダーが片方のハサミを食い始め、シラヒメが網を投げて片方の4本脚を絡め取る。動きの鈍ったところで背中に飛び乗った俺は、筋を断ち切って尾を使用不能にした。

 背中はかなり硬いので、目を狙う。側眼に籠手の爪を叩き込み、破撃を流し込んだらようやくスコピオは動きを止めた。


2匹(ふたり)共お疲れさん。助かった」


 スコピオのドロップ品は「スコピオの甲殻」と「スコピオの肉」。あと「毒針のスティレット」と言うのが出た。いや肉?


 インベントリから取り出してみると人の腕くらいありそうなカニカマみたいなものだった。

 味はカニなのか魚のすり身なのかどっちなのやらなあ?


 毒針のスティレットはレイピアの刀身を20cm程度まで縮めた武器である。攻撃力は最低限で、これによってダメージをくらうと確実に状態異常:毒になる武器だ。


「うん。まあ、それはいいや」


 問題は体の動きがスムーズになったから、やってしまったら出来た破撃にある。

 ステータスを開いて見たら【闘気】が生えていた。


「マジか……」


 

 暑さには強いが直射日光には弱い。

 あっさり貧血になります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 操作性あっぶー。 [気になる点] 使い魔はぁはぁとか言ってたのに生活魔法だけで聞いてない。 [一言] まあ、離れてるし勝手に行くのか。
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