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真相  作者: 西内京介
8/20

第七章……信頼



「九時……だね」

 俺は臨海の言葉に頷いた。辺りは、暗闇に包まれている。今、俺たちは事件の起きた公園にいた。

 臨海が屋上で俺に言った言葉は、まだ耳に残っている。だが、こいつをそう簡単に信用してもいいのかと、正直疑っている。

 完璧に信用したわけではない。臨海のことをあまり知らない俺が、なぜこいつの言ったことを真に受けたのかと、自分でも疑問に思うところがあった。

「君が、ここへ呼び出された時間になったよ」

 ベンチに座っている俺に、臨海は振り向きざまに言った。

「君がこの事件に巻き込まれた原因は、彼らにあったわけだ」

「原因、っていうか。結果的に、そうなっちまったわけ」

 吐く息が白い。時々吹く寒風が、露出されている肌に突き刺さる。正直、辛かった。臨海も寒いだろうに、辛そうな表情を一切見せない。

「なあ、いつまで続くんだ?」

 たまらず、俺は尋ねていた。しかし、臨海は俺の質問には答えず、公園の周りを見渡している。

「もう一度、確認させて」

「もう十分だろ」

 ここに来て、何時間経つだろうか。あれから俺たちは一度、家へ帰り着替えてこの公園で落ち合った。その時は、確かまだ六時だった気がする。

 つまり、俺たちはここへ三時間もいることになるのか。こんな真冬に外で三時間も。何をしているんだか。

「僕の質問に答えるだけでいい」

 早く終わってくれるなら、べつになんでもいいや。

「君は、この時間帯に呼び出されたわけだよね」

「ああ。携帯でな」

「その時、神矢君をリンチするからお前も来い、って言われたんだよね」

「ああ」

「それで、行ってしまったと」

 思い出したくないのに、臨海のせいであの時の記憶が鮮明によみがえってしまう。拒否しようとしても、次々と思い出されてしまうあの夜の記憶――。あいつらの、薄笑いを浮かべた顔、神矢の許しを請う表情……。

「大丈夫?」

 臨海が聞いてきた。いつの間にか俺は、頭を抱えていたらしい。顔を上げて、頭を抑えていた手を、ポケットに突っ込んで軽く頷いた。

 それを見て、臨海も頷き返す。

「今日は、とくに冷えるね」

「あの夜も、冷えていたよ」

 そう。俺が呼び出された夜も、今日と同じぐらいか、それ以上に冷えていた。

「話を戻そうか」

 そう言うと、臨海はこちらへ近づいてきて、俺の座っているベンチの隣に腰掛けた。

「君はここへ何で来た?」

「何って、自転車だよ」

「そうか。で、ここへ着いた時は、彼らはもういたのかな?」

「ああ、いたな。皆、笑っていたよ」

「どうして?」

「神矢をリンチして、楽しんでいたんだ」

 結局俺も、殺されたあいつらと同じ人種なのか。リンチを、いつの間にか楽しんでいた。

「君が、神矢君に止めをさしたんだよね」

 この質問に、俺は答えなかった。答えたくなかった。

「ごめんね、こんな質問ばかりで」

 俺は俯いた。辛い。ものすごく辛い。今になって、そう思う。いますぐ、神矢に謝りたい。そんなつもりはなかった、って。

「だけど、君は殺したわけじゃない」

 慰めなんかいらねぇよ。余計、みじめな気分になる。

「君は彼を気絶させただけだ」

「気絶?」

 俺は聞き返した。臨海の言ったことが、信じられなかった。

「二週間、あいつは気絶していた、ってことなのかよ。あいつを殺したようなものだよ。現に、目を覚まさねぇじゃないか。だから、俺も死ぬべきなんだ」

「その考え方は、間違っている」

「俺は、あいつを裏山へ埋めたんだぞ」

 自分がしたことを、改めて自分の口から言ってみると、許せなかった。俺は、自分が憎くて仕方がなかった。

 一瞬でも、臨海を信じて飛び降りなかった俺が馬鹿だった。

「君は悪いことなんてしてないよ」

「だから、慰めなんかいらないって」

「慰めじゃないよ。君は悪くない。僕の本音だ」

 こいつは、本当にそのようなことを思っているのだろうか。適当なことを言って、俺を完全に信じ込ませようとしているんじゃないだろうか。そして、俺を警察に突き出すのでは……次々と、頭の中を嫌な想像が駆け巡った。自分の意思で、それらを振り払うことはできなかった。

「言ったでしょ? 僕が、君を助ける。そして、この事件の黒幕を暴く」

「それが、お前の目的か?」

「何が?」

「黒幕を暴くって、それ本気か?」

 俺は隣に座っている臨海に聞いた。

 嫌な沈黙が流れる。やがて、臨海が口を開いた。

「それだけじゃないかも……しれない」

 俺は驚かなかった。臨海がそう答えるのは、予測できていたからだ。そう。こいつは、それが真の目的ではない。何時間も一緒にいて、気づいた。

「黒幕は確かに暴きたい。けど、それは最優先ではない」

「俺を助ける、って言ったのも最優先ではないのか?」

「それは、嘘じゃないよ。必然的に、君を助ける展開になるだけだ」

 臨海の口調には、迷いがなかった。

「僕は、自分の頭脳を試したい」

 そういえば言っていたな、そのようなこと。俺を助けたいとか、黒幕を暴きたいとか、それはこいつにとって、重要なことではない。本当の目的は、別にある。

「これは、警察とのゲームなんだよ」

 そう言って、臨海は着ていたコートのポケットから携帯を取り出した。暗くてよくは見えないが、新機種でないことは確かだ。相当、古いように見えた。

「この携帯、僕がずいぶん前に使っていた携帯なんだ」

「へぇ」

 興味ないし、今は関係ないだろ。

「実はね、これを改造して、あることをできるようにしたんだ」

「あること?」

「この携帯の差込口を見て」

 そう言うと、右側に付いてある差込口を俺に見せてきた。

「それが、どうしたんだよ?」

「実はね、この差込口をスピーカーに繋ぐんだ。すると、相手の声が、そのスピーカーから聞こえるようになる」

「へぇ」

 どうでもよかった。それを、いつ使うことになるのか、気にはなったが、真剣に耳を傾ける話ではないと、俺は判断した。

「そしてもう一つ」

 まだあるのかよ。

「この携帯に、僕はある物を内蔵した」

「お前が?」

 こいつ、なんでもできるな。

「分かるかい?」

「いや、分からねぇ」

 即答した。今はそんな話、関係ないだろ。だが、臨海は何故か嬉しそうに話している。こいつは、ただ頭がいいのを自慢したいだけなのか。頭の悪い俺に自慢したって、意味がないだろうに。先生にでも言って褒めてもらえば、という感じだった。

「ボイスチェンジャーさ」

 興味なさそうな俺の態度に、気分を害することなく臨海は言った。

「この携帯を使って通話すると、相手と話している自分の声が変わるんだ」

「だろうね」

 それぐらい、俺だって分かる。

「さらに凄いのが――」

 こいつ、どれだけこの携帯なんかに、訳分からない機能を付けているんだよ。

「この携帯には、スイッチがあってね。番号なんだけど、その番号を押すと、オンとオフに切り替わる仕組みになっている」

「なんのスイッチなんだ?」

「オンなら、逆探知されないようになる。オフの場合は、逆探知されるけどね」

 やっぱし、こいつは天才だな。俺とは、次元が違う。

「この携帯が今後、役に立つんだよ」

「今後って?」

 何も理解していない俺に、臨海はため息交じりで説明し始めた。

「いいかい? この携帯を使えば、警察に電話をかけても逆探知されない。さらには、相手の声が、スピーカーから聞こえてくる。そして、ボイスチェンジャーも搭載だから相手に声がばれる心配もない」

 それを聞いて、俺は納得しかけた。そういうことだったのか、と。けど、どうして警察にわざわざ電話をかける必要があるのか、俺は疑問に思った。

「警察にわざわざ電話をかける理由は? 俺のことを話すのか?」

「いや。あえてこの事件の犯人のふりをする」

「ふり?」

「そう。五人を殺して、神矢君を埋めたのは全て自分がしたことだ、ってね」

 こいつは馬鹿か? いくら警察と戦いたいからって、そこまでする必要はないだろう。

「そんなことしたら、捕まるだろう?」

「逆探知は防止できるから」

「いずれ、捕まることになるって」

 俺は、不安を隠しきれなかった。こいつの作戦が、上手くいくとは思えない。

「大丈夫だよ。絶対に捕まらない」

 その根拠は、どこから沸いてくるんだ。

「安心して。僕は絶対に手を抜くことはしない。その証拠に、この携帯だって、二ヶ月前から作っていたのだから」

 俺は驚いた。二ヶ月も前から? 臨海は、こうなることを予測していたのか? 事件も起きる前だぞ。

「今日から、二ヶ月前ってことか? どういうことだよ?」

「何が?」

「どうして、二ヶ月も前から?」

「ああ、そのこと」

 改造した携帯をいじりながら、臨海は言った。

「そのこと、じゃないだろ!」

 俺は大声を出していた。徐々に、俺の頭の中で、ある推理が展開されていった。

「お前は、俺が起こした事件について、ほとんど知っていた」

 そう。まるで、事件の当事者みたいに。

「そう思った?」

「ああ。どういうことだよ」

 今まで、聞かなかったほうがおかしいと思われる質問だった。どうして俺は、このことについて、さほど追求しなかったのだろうと、半ば後悔している。こいつに対するもともと少なかった信頼が、さらに薄れていった。

「君はどう思う?」

「どう思う、って……俺の質問に答えてくれよ」

「君の意見が知りたい」

 臨海は、至って冷静だった。その余裕すぎる態度が、余計俺を腹立たせた。よし、分かった。言ってやる!

「お前が犯人だ!」

 俺は、ベンチから勢いよく立ち上がって、言った。臨海は黙っていた。依然、携帯をいじっているままだ。俺に見向きもしない。

「そうすれば、辻褄が合うんだよ」

 微かに、臨海が笑ったような気がした。俺は、そんなこと気にも留めず、続ける。

「お前は、この公園で神矢をリンチする計画を知っていたんだ。あいつらが計画していたことを、盗み聞いたんだろう。そうすると、あいつらがこれを計画していたのは、この事件が起こる一ヶ月以上も前のことになる」

 臨海はまだ、冷静さを保ったままだ。その余裕は、一体どこまで続くかな。

「その計画に、俺の名前が入っていたのをお前は聞き逃さなかった。そして、その改造携帯を作った」

 俺は、臨海がいじっている改造携帯を指さして、言った。

「一ヵ月後。計画が実行された。

 お前は遠目で、俺たちが神矢のことをリンチしているのを、気づかれないように見ていた。俺が、神矢に止めをさすところもな。

 俺が神矢を担いで、裏山へ行くのを見届けてから、お前は公園へ行き用意していたナイフで、あの五人を殺した。その後、お前は俺を尾行した。あの神社で、お前は俺が裏山から帰ってくるのを、ずっと見張っていたんだ。そして、俺が裏山から帰ってきた。

 しばらくしてから、お前は裏山へ行き、神矢を掘り返した。気絶している神矢を、お前はどこかへ隠したんだ。それから、死体の身元が発表された直後に、警察へ通報した。容疑者に、心当たりがある、と。まずお前は、神矢を容疑者に仕立てあげた。

 そしてしばらくしてから、今度はあの刑事に電話をしたんだ。お前は俺に、あの屋上で自分がやったことを言ったんだよ。あの刑事に、個人的に電話をしたやつがいる、ってね。それは、お前自身なんだろう?」

 一通り言い終えたのだが、臨海は平静を保ったままだった。

「お前は、神矢の父親であり捜査指揮官を務めているあの刑事に、その改造携帯でこう通報したんだ。あの裏山に、必ず犯人が戻ってくる、ってな。そして、その電話をしたのが、お前と踊り場であったあの日だ。覚えているだろう? お前が久しぶりに来た、あの日だよ。あの時、お前は俺が裏山へ行くことを分かっていた。だから、あの刑事にああ言えたんだ。電話を受けた刑事は、裏山を見張っていた。つまり、あの刑事と会ったのは、偶然じゃなかったのさ。お前は、一旦神矢を容疑者に仕立てあげてから、俺を犯人に陥れようとした。

 今までのことは、全てお前の計画通りだったんだろう? 二日連続で学校に来ていたのも、これで納得がいく。俺と話すために、お前は学校へ来ていたんだ。

 屋上の時もそうだ。お前は、俺の味方のふりをしていて、最終的には、罪をなすりつけるつもりだったんだろう? 罪を俺に被せるために、その改造携帯も作り、裏山で俺と刑事を会わせた。違うかよ!」

 感情的になっていた。この推理が、間違っているとは思えない。これが、この事件の真相だ。俺は、臨海に騙されていたんだ!

 許せなかった。こいつを殺したい。その後に、申し訳ないが神矢も殺させてもらう。そして、屋上から飛び降りて俺も死んでやる!

 俺のこの決意は、絶対に変わらない。二人とも殺して、今度こそ俺も死ぬ。

 推理を黙って聞いていた臨海が、突然声を出して笑い始めた。何がおかしいのか、俺には理解できなかった。計画がばれて、気が狂ったか。

「傑作だね。最高に面白いよ」

 臨海は俺を見上げて、言った。言われていることが、よく分からない。

「どういうことだよ。これが、この事件の真相だろ!」

 俺は言った。全部、臨海が仕組んだことだったんだ。そうでなきゃ、全ての出来事に説明がつかない。

「そう思う?」

 俺は頷いた。

「君の推理は確かに面白い。君にしては、上出来だよ」

 上から目線で、臨海は言ってきた。その言い方に、俺はイラついた。

「間違ってなんかいない。俺の推理は、正しいはずだ」

 臨海は立ち上がって、俺を通り越して行った。どこへいくのか? まさか、逃げるつもりなのか! 俺は振り返った。が、すぐそこに、臨海は立っていた。俺を見ている。

「君の推理は、的を射ているように聞こえる」

「これが真実なんだからな」

「いや、違う。君の推理は、根本的に間違っている」

 否定されて、俺は反論した。

「俺の推理は、間違っていない! 辻褄だって、ちゃんと合っている! 違うなら、言ってみろよ!」

「辻褄は合っているかもしれない」

 気に入らない言い方だ。男なら、潔く認めろよ!

「けど、君の推理はたちの悪い妄想だ。それに、説明がつかないことだってあった」

 そう言われて、益々怒りが沸いた。俺の推理は、完璧なはずなんだ! 臨海の言っていることは、負け犬の遠吠えでしかない!

「お前は、自分のやったことを認めないのか?」

「認めるも何も、僕は、君の言ったようなことはしていないからね。五人も殺さないよ。動機がない」

「お前が殺したんだよ。お前は、警察に神矢が怪しいと話し、俺と踊り場で会ったあの日、刑事に連絡したんだよ」

「それは、こじつけにしかすぎないよ」

 なかなか認めようとしない臨海に、俺は殴りかかった。俺の拳を、臨海はこの暗闇の中、楽そうに避けた。

「暴力に訴えるのか」

 冷たい口調で、臨海が言った。

「お前が……認めないから」

「君は僕を信用し切れていない」

「当然だろ!」

 俺は叫んでいた。臨海は、そんな俺を無表情で見つめている。

「だって、お前は事件のことを知りすぎている! あいつらが立てた計画のことも、知っていた!」

 臨海は答えようとしない。

「どうして、そこまで知っている? 誰に教えてもらった?」

 まだ、口を閉ざしたままだ。

「答えろよ!」

 俺の声が、暗闇に響いた。そして遂に、臨海は口を開いた。

「まだ……知らなくていい」

 臨海は静かに言った。その口調は、とても悲しそうだった。何故、悲しそうなのか。俺は、全く理解できない。

「どうして、教えてくれない?」

 先ほどよりかは、少し落ち着いてきた。俺も静かに言う。

「教えてくれないと、お前を信用できない」

 また臨海は黙ってしまった。

「黙っていたら、何も分からないぜ」

「……今は、何も言えないよ」

 喋った、と思ったら期待はずれの言葉だった。

「そんなのは、聞きたくないんだよ」

「いずれ、全てを話す時がくる」

 全て、だと? こいつは、一体何を隠しているんだ。

「なあ、お前――」

「僕は彼らを殺していない」

 俺の言葉をさえぎって、臨海は言った。

「彼らは、別の人に殺されたんだ。故に、君は間違った推理をしている」

「だけど俺には、お前がこの事件の犯人だとしか、思えないんだよ」

「僕は違う。犯人じゃない」

 一呼吸置いて、臨海は言った。

「僕が言えるのはそれだけだ。信じてほしい」

 俺はどうすればいい。

 俺の推理が間違っている、というのか。臨海の様子からして、嘘を言っているようには思えない。だからと言って、そう簡単には信用することもできない。

 どうしたらいいんだよ。こいつを、本当に信用してもいいのか?

「僕は、君を全力で守る。どうか、信じてほしい」

 臨海が、俺に頭を下げた。こんなやつだったっけ? そんなに、信用してもらいたいのか。

 頭を上げ、臨海は言った。

「さっきは、黒幕を突き止めることが最優先じゃないと言って、本当にごめん。僕は、君を自分の頭脳を試すために、利用しようとしたんだ。

 でも、これからは違う。僕は、君が僕のことを信用してくれるために、全力で警察と戦うよ。そのために、改造携帯を作ったんだから」

 言ってから、臨海は俺のもとへ近づき改造携帯を目の前に突き出した。

「この携帯で、警察に電話をして、捜査状況などを聞きだす。もし、警察が君を容疑者として捜査しているのなら、捜査の目を、他のところへ向けさせるよ」

 臨海は、本気で俺のことを守ってくれるのか?

 こいつを、本当に信用していいのか?

「僕が怪しい行動を起こしたら、殺せばいい」

「本気か?」

「ああ。僕は本気だ。これは、ゲームなんだよ。君を守るゲーム。この事件の黒幕を突き止めるのも、このゲームの目的なのさ」

 臨海は本気だ。本気で、警察に戦いを挑むつもりだ。

「ねえ、裏山に行こうよ」

「え?」

「君が神矢君を埋めたところを、見てみたい」

「そっか」

 まあ、いいか。こいつを信用しても。

 臨海は、俺のことを絶対に裏切らない――気がする。

 そう思える根拠など、どこにもないが、今俺が頼れる人物は、臨海ただ一人だ。

「なら、行こうぜ」

「僕のことを、信用してくれるの?」

「一応、な」

 臨海は、嬉しそうな表情を浮かべた。

 そうだよ。俺はこいつに賭けたんだ。こいつの天才的な頭脳に。こいつが頑なに何かを隠すのは、きっと大きな理由があるはず。それを、俺がわざわざ知る必要なんてない。こいつが、俺を守ってくれさえすれば。

 もう疑わない。こいつを、信用する。

「それじゃぁ、行こうぜ」

「ありがとう」

 俺たちは、裏山へ向かって歩き始めた。



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