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第8話 過去の始まり

こんにちは、市九郎です!

少しずつ世界の背景が見えてきます!

第8話、どうぞ!では!

 第8話


 俺たちがソロソロと歩み寄ると、老婆は静かに目を開けた。


 「ミステスの所から来たんだね。まぁ、座りなさいな」


 ミステスとは、どうやらさっきの店主の事らしい。

 まだ何も言っていないのに、言い当てられてしまった。


 「ええ……ありがとうございます。でも……座るって言っても……」


 座れそうな椅子などあったかと室内を見渡した瞬間、ソニアと俺は顔を見合わせた。


 「「え?」」


 思わず声も揃ってしまった。なんと、部屋の様子が一変していたのだ。

 少し古風ながらも、温かみのある、木造の家へと変わっていた。


 「え、なにこれ!」


 興奮と困惑を露わにするソニアを悪戯っぽい顔で笑い、老婆は意味深に言った。


 「目だけで世界を視るんじゃないよ」


 ニヤッと笑い、老婆はキッチンでお茶の用意を始めた。


 「「???」」


 再び顔を見合わせた俺とソニアは、促されるままテーブルについた。

 数分後、お茶とお菓子を挟んで老婆と対面する形で座り、俺たちは話し始めた。


 「まぁ、用件は分かってるさ。戦争でその子が帰れなくなったんだろう」


 信じられなかった。占い師は総じて詐欺師だと思っていたが、目の前でこうも見せつけられると、すっかり信じきっていた。


 「ええ、そうなんです。なので、せめて他のエルフと繋がりができればと」


 この占い師ならどうにかしてくれるのではないか、そんな期待が広がっていた。


 「可哀想だけど、リンガーに帰るのは無理だねぇ」


 老婆は、あっさりと答えた。


 「見ての通り、こんな生活をしてるくらいでねぇ。優しい村人達の支えがあって、あたしは生きていられるのさ」


 急に湧いた希望でも、ガッカリはするものだ。ソニアは残念そうな顔をしていた。


 「そうですか……話は変わりますが、あなたはなぜこの様な境遇に? 一般的な占い師とは、少し事情が違う様に思えるのですが」


 暗い雰囲気を払うため、俺はさっきから気になっていた事を質問した。

 ソニアも気になっていたらしく、表情には好奇心が見えた。


 「あぁ、よく気付いたねぇ。これでも昔は、軍属の祈祷師だったのさ。いわば、職業占い師ってとこだねぇ」


 まさか。軍属祈祷師は、詐欺占い師とは違い、国が認可した、本当に実力を持った者から選ばれるエリートだ。


 「そんな……なら、退役後も生活は保障されているはずじゃ……」


 元祈祷師の老婆は、懐かしむような、悲しむような声で、話し始めた。


 「もう50年前になるかねぇ、現役だったあたしは、当時周辺国で多発していた小競り合いを鎮めるために、軍に同行していたのさ」


 リンガー王国は、約50年前まで不安定な政治が続いており、周辺国との争いが絶えなかったと、学園で聞いたことがあった。


 「そんなある時、戦場から少し離れた場所で野営していたあたし達は、ゲリラに夜襲されたんだ。部隊はバラバラになってねぇ、命は何とか助かったけれど、嫌になったあたしは逃げたのさ」


 聞いたことがある。軍人がゲリラや戦場の緊張感に耐え切れず、逃げ出す事があると。


 「そうでしたか……では、それからはずっとこの村に?」


 老婆は答えた。


 「いや、話にはまだ続きがあってねぇ。少し長いけど、まだ聞くかい?」


 他に行くあても、する事もない俺とソニアは、コクンと頷いた。


 つづく

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

まさか胡散臭い占い師が元エリートだったとは……

人は見かけによりませんね!次回もお楽しみに!

ご意見、ご感想、ご指摘等、お待ちしております!

ではっ!

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