ご乱心
「さて、かれこれ10分くらい、この状況が続いてる訳だけど……。どうしよっか?」
「どうするったって……。なぁ?」
「ぼ、僕に聞かれましても……。ベイドさん、何か秘策とか無いですか?」
「……さてね。ただ一つだけ分かるのは、あのクラスの攻撃を何度も防ぐのは厳しいってことかな」
長かった人型兵器との戦いも、既に佳境に突入している。
本来なら、それぞれが自分の役割に全力を注ぎ、決着に向けて動いているはずだった。
しかし、現在、4人は部屋の隅に集まり、小さく纏まりながら途方に暮れている。
というのも、追い詰められた人型兵器が、
狂ったように赤レーザーを乱射し始めたからだ。
「全く、面倒くさい機能だぜ。もう限界が近いはずなのに、エネルギーが途切れる気配もねぇ。意地でも侵入者を通さないつもりかよ」
「まぁ、それが、あのロボットの役目というか、生きがいなんだろうし、仕方ないけどね。とはいえ、どうやって攻略したもんかなぁ」
不幸中の幸いと言うべきか、レーザーの軌道は直接的で、撃ち終える度に僅かなインターバルがある。
加えて、レーザーを放っている間は反動で動けないらしく、途中で軌道が変わることも無い。
なので、こうして端に寄って身を縮めていれば、まず安全という訳だ。
しかし、レーザー攻撃の範囲は広いため、迂闊に近付くことが出来ず、戦況は膠着状態に陥っていた。
「何か方法は無いのかい? 奇想天外で常識外れな一手を考えるのは得意だろう?」
珍しく困ったように、みのりんに意見を求めるベイド。
と言っても、無自覚に失礼なのは相変わらずだが。
「ベイドさんは、私のことを何だと思ってるのさ! 私は至って普通の女の子だよ!」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
カナ、ラック、ベイドの3人が、一様に驚いた顔を見せる。
いかにも『えっ、普通? 誰が? みのりんが? 冗談でしょ?』と言いたげな表情だ。
こんな時だけ抜群の一体感を見せるメンバーに、余計に腹が立った、みのりんである。
「もう、何さ! 皆して! そうやって、いじめるなら、こっちにも考えがあるよ! 皆が泣いて謝るまで拗ねてやるんだからね!」
「ちょ、悪かったって! だから機嫌を直せよ! 今のは、ほら、なんつーか……そう! うっかり本音が漏れただけで!」
「カナさん、余計に墓穴を掘ってますから! だ、大丈夫ですよ、みのりんさん! 僕達は普通じゃない、みのりんさんが大好きですから!」
「君こそ、フォローの仕方がなってないね。レディの繊細な乙女心に対する気遣いが、まるで感じられない」
「いやいや! 元はと言えば、あなたの発言が原因でしょうが!」
ボスとの戦闘中であるにも拘わらず、そんな気の抜ける、やり取りが幾度となく繰り返される。
その後、なんとか気持ちを切り替えた4人は、今度こそ真面目に攻略作戦を練り上げていくのだった。




