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幼女の、幼女による、幼女のための楽園(VRMMO)  作者: 雪月 桜
第1章 スタートダッシュ:CASEネネ

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風刃・雷刃

「そぅーっらぁぁぁ! もう、いっちょおぉぉぉ!」


ズドンッ! と、重々しい衝撃音を響かせて、トーシローのハンマーが黄金虎を突き飛ばす。


既にトーシローの体はボロボロだが、彼に寄り添うネネが回復魔法を掛けることはない。


ここに来るまでに何度も回復魔法を行使した結果、最後のMPポーションすら使いきり、もう余力が残っていないからだ。


おまけに、ネネも戦闘の余波でHPを半分ほど削られている。


それでも、ネネには、まだ大事な役目が残っていた。


「頑張って……! トーシローさん!」


だから、トーシローの勇姿を傍で見守り、祈り続ける。


それが、彼の力になると信じて。


「お任せをっ!」


ここは、既に森の中ではない。


いや、厳密には森の一部ではあるが、ネネの視界に映るのは石と土で出来た薄暗い道。


そう、ここは、かつてネネが逃げ込んだ洞窟である。


「グルァァァ!」


咆哮と共に繰り出される黄金虎の爪を避け、隙を見てノックバック効果のある一撃を叩き込むトーシロー。


その活躍により、現在地は洞窟の最奥部まで、あと一息という所だ。


ネネが立てた作戦。


それは、洞窟の奥へ黄金虎を押し込み、逃げ場のない袋小路で仕留めるというもの。


かつて、ネネが陥ったピンチを、立場を変えて再現しようという訳である。


そして、最奥部の頭上に広がる吹き抜けには、既にアオバが待機中だ。


そこまで、黄金虎を追い詰めれば、切り札を使って逆転できる……そう思っていた。


しかし——、


「ぐっ!?」


「トーシローさん!」


その作戦の要であるトーシローが、黄金虎の突進を避けきれず、ここで瀕死の重傷を負ってしまう。


ピクリとも動かないトーシローだが、街に帰されない所を見るに、まだHPは残っているらしい。


とはいえ、回復魔法も使えない現状で、これ以上の戦闘は不可能だ。


それでも、ここまで積み重ねた三人の努力を、無意味なものには出来ない。


だから——、


「トーシローさんが繋いでくれた道を、無駄にはしません! 最後は……私が!」


もはや役に立たない武器の魔導書をストレージに仕舞い、その身一つで黄金虎と対峙する。


一人でモンスターに立ち向かう恐怖は、当然あった。


こうして向き合うだけても、足が震え、思わず逃げ出しそうになる。


『……それでも、一番怖いのは、自分だけ何も出来ないことだからっ!』


そして、黄金虎がネネに飛びかかった。


それを予想していたネネは、小柄な体躯を、完璧なタイミングで、その下に潜り込ませる。


「ッ!」


そして、黄金虎の攻撃を文字通り掻い潜った次の瞬間、すかさず立ち上がって、最奥部まで駆け抜けた。


もちろん、黄金虎も、すぐさま後を追ってくる。


向こうは、獲物を追い詰めたと確信しているだろう。


しかし、本当に追い詰められたのは、黄金虎の方だ。


「お願い、アオバちゃん! 【風刃・雷刃】!」


「クーッ!」


待ちかねていたであろう、主の呼び掛けに、アオバが素早く反応を示す。


そして、1日1度の切り札が発動する。


アオバの体が暴風と轟雷を纏い、そこから数十、数百もの、風と雷の刃が生み出され、黄金虎に目掛けて殺到した!


「グッ……グルァァァァァ!?」


(おびただ)しい風と雷が、その体を蹂躙し、周囲にも破壊を撒き散らす。


しかし、それほどの威力を誇りながらも、アオバはネネに被害が及ばないよう、完璧に技を制御していた。


とはいえ、ネネは端の方で体を縮ませ、怯えていたので、まるで気付いていなかったが。


「グル……ァァ」


やがて、自然の猛威が過ぎ去った頃、黄金虎は最後に掠れたような声を漏らして、光の粒子となった。


—————————————————————


Name:ネネ

Job:治癒師・薬師

Level:10


☆獲得スキル

【ライト・ヒール】【ライト・ブレス】

【ライト・キュア】【ライト・リザレクション】

【ライト・ブースト】


☆獲得称号

【聖女】

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