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8話 実力同じなの?



ゴブリンキングに無事に勝つことが出来た俺は現在、魔王と何度目かになるかわからない夜飯を共にしていた。

ライアは同じくドアの側に立っている。


「さて、まずは第1段階突破というところか」


魔王がそう切り出したところで俺は食べ物に伸びていた手を引っ込めた。


「さて次は魔族にアキトの実力を見せつけなくてはならない」

「まぁそこがゴールラインだからな」

「残り4日…。いや、ほとんど3日なのだが来訪する魔族幹部について話しておこう」


魔王は余裕のない顔でゆっくりと口を動かす。


「魔王幹部序列3位。名はディースタルトという奴で他の魔族を見ても群を抜いて実力主義で気性が荒い。そしてその生意気さが通用するほどの実力も兼ね備えている」


さすが魔王幹部といったところか魔王お墨付きの実力者とあっては俺は生きていられるのか少し不安になってくる。


「だが、ディースタルトは自分より強い奴だと認めれば命令もきちんと聞く自分の立場をよくわきまえておる」

「意外だな。気性が荒いなら魔王の命令も逆らうと思ったけどな」

「実際は逆らっているかもしれんがな。我の命令は魔大陸の主要都市の防衛。そしてそれを定期的に報告に魔王城まで足を運ぶようにだ。そしてディースタルトは一度たりとも命令を逆らうことなく、これを実行している」


ディースタルトは俺の中ではただのヤンキーみたいな奴だと解釈していたが実際は違うみたいだ。しかし、それでもディースタルトが魔王幹部序列3位であるのでディースタルトより強いのは魔王を入れて3人。つまりディースタルトを止められるのはその3人しかいないわけだ。


「そしてここからが重要なのだが、我は魔王で確かに他の魔族より強いが、序列5位まではそこまで大きく強さが離れているわけでは無いのだ。どういうことかというと魔王幹部序列5位までは全員魔王と言っても過言ではない実力者だ」

「え!おい待て」


俺は思わず、机に手を叩きつけ立ち上がった。


「つまり、俺はあと3日で魔王の攻撃を耐えるか躱さないといけないってことか!?」

「そういう事になる」


一度、魔王の攻撃を喰らっている俺だからわかるが、鍛えゴブリンキングに勝った今の俺でもあの時、腹を斬り裂かれた攻撃を躱せたかと聞かれれば答えはノーだ。


「前とは違って異能(スキル)は使いこなせるようになってきたけど、やっぱり無理だ」


俺はユラユラと席に腰を落とす。流石に勝てるかもなどとは思っていなかったが、生きている事はできるかもしれないと思っていたのは嘘ではない。

だが、魔王と実力が変わらないと言われれば話は別だ。


「確かに意気消沈する気持ちもわかるが、もし殺されそうになったら、流石に我も止めに入る。だが、未来のことも考えて1人で乗り切って欲しいのも事実だ」


頭を抱えている俺に魔王の言葉は右から左へと流れて聞こえる。


「それに我がお前にここまでする理由もあるしな」

「なんだよ。それ…」

「まだ言うべきではないと判断している。これはお前に配慮している訳ではなく我が面白いからしている事も忘れるな」


魔王はそう言うと立ち上がり、出口に歩いていきライアに俺に聞こえないように話してから退出していった。


「面白みが無くなったら処分はするけどなって言ってるようにも聞こえるわ」


ポツリと溢した言葉だったがライアは聞こえていたらしい。近づいてきたライアは近くの席に座った。


「ディースタルト様は確かに私よりも何十倍も強いです。あなたみたいな下等生物では足元にも及ばないのは誰もが分かっていますよ」

「いっそ、逃げ出した方がいいのかな?」

「それは考えない事ですね」


ライアの言葉に棘が含まれた事に驚く、いつも棘があるのは確かだがいつもと違い本気といった風に感じる。


「魔族は五感が優れています。もちろん嗅覚も長けており、魔王城に知らぬ匂いがあれば、どちらにせよバレます」

「確かにそうだな」


もし仮に逃げたとしても魔王が俺がいた事を隠せば侵入を許し、それさえ気づかない愚かな王になり、隠さなくても逃した理由を聞かれれば愚かな王になる。

ならば俺がここにいれば捕虜扱いにでもすれば魔王の威厳は保たれるだろう。


「今日はもう遅いですし訓練は明日からにしましょう。それに魔王様に言われた事もありますし…」

「え?今なんて?」


最後らへんは小声過ぎて聞こえなかった。

だが、ライアは首を横に振ると立ち上がった。


「ディースタルト様に殺されぬよう醜く足掻いてください。それが魔王様の娯楽になればいいのですが」


わざと茶化すように言うとライアも外に出ていってしまった。

訓練が明日に行うのは聞こえたが最後の言葉に俺は妙に気になってしまう。


「あー!もう!魔王幹部で魔王と実力が変わらない奴が来るとか展開早過ぎだろ!それだったらもっとチートをくれっ!」


一通り叫んだ後に俺も立ち上がり、そして自分の部屋へと戻るのだった。


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