没案:ロスト・オーナー
この世界には、人間に聞こえないだけで、車にも、意思や性格、感情があったりする。そんな車達の一期一会の出会いを書いたお話・・・。
物語の語り手はこの物語の主人公でもある、車。
人は、存在するけど、物語には直接出てこない設定。
各章には、放置自動車が出る。
第一話「時代には追いつけない。」
ある都内の立体駐車場に、1台の白いメルセデス・ベンツ cl600が捨てられていた。グロスホワイトの純白のボディに、メッキのモール。ローダウンされ、クロームメッキの社外ホイールが映えている。だが、そのベンツは8年前からここに放置されていた。ベンツはオーナーに捨てられた事を信じれず、他の車に放置されていることを指摘されると、キレる。 隣に1台のグレーのフリードがとまる。型落ちモデルで、ボロボロだが、オーナーに愛され、今でも現役。 この二台の会話を書く。
ベンツは、お高くまとった一流階級の家庭のお嬢様みたいな性格。生意気。
第2話「まだ走りたい」(一話完結型)
東京郊外某所。解体予定の空き家の庭に、ボロボロのS14シルビアが止められていた。
全塗装された蛍光グリーンはカッピカピ。外されぬまま錆びた仮ナンバー。クリアが割れたフルエアロ。錆びたボンネットピン。くすんだ5本スポークの18インチの社外ホイール。錆びついたブレーキローターに固着したブレンボの4podキャリパー。破れたSPARCOの青いフルバケットシート。ヒビの入ったdefiの三連メーター。 ただ、廃車になるのを待つ1台の車と、そこにやってきた解体屋のダンプカー(いすゞ・エルフ)の会話。
シルビア:すべてを諦めた鬱の若者みたいな性格
エルフ:人生の先輩みたいな性格で、頼れる頑固なオッチャン風の性格。
第4話「国を超えて」
ドバイの廃車場。ここに、廃車を待つ二台のスポーツカーがいた。赤いフェラーリ360スパイダーと、黒いランボルギーニLP560-4。いつ自分がスクラップにされるか分からない恐怖の中、同じイタリア出身の二人は、イタリアの工場にいた時の話や、ドバイを走っていたあの頃の話をする。
ランボルギーニ:ボケ役 フェラーリ:ツッコミ役
第五話「待ち続けて」
横浜某所の地下駐車場。そこに1台の赤いオデッセイrb1のアブソルートが取り残されていた。昨年、車検が切れ、フロントウィンドウには放置自動車であることを示す紙が3枚も貼られていた。無限エアロでコンプリートし、運転席と助手席はレカロシート。日本の焼色の付いた砲弾マフラーがリアから顔を出す。車高調の鮮やかな緑は、いまや埃でくすんで何色か分からない。せっかくのWORK EMOTIONのマットゴールドのホイールはくすみ、茶色になり、タイヤは空気が抜け、劣化してカピカピ。
そんな赤いオデッセイの正面に、1台のオデッセイが停められる。自分と同じrb1だが、ボディカラーはブルーで、アブソルートでもなく、フルノーマル。まるで自分と逆のようなオデッセイは、自分より輝いて見えた。




