ぽむる なでなで
深夜、時計の針がてっぺんをとうに過ぎた頃。アパートの喧騒が嘘のように静まり返ったあなたの部屋のドアが、のぶを回すかすかな音もなく、ゆっくりと開きます。
廊下の薄明かりを背に、ずんぐりとした影――自分の体格には明らかに大きすぎる、絢爛な巫女装束をまとった小さな影が忍び込んできました。自称・大いなる天狐の末裔、ぽむるです。
「……んぅ、おにーさん……起きてるぽむ?……ち、違うぽむよ! 夜のパトロール(見回り)をしてるだけぽむ……。でも、おにーさんが1人で寂しそうだから、一緒に寝てあげるぽむ……っ」
昼間のドヤ顔はどこへやら、半泣きで言い訳をしながら、ぽむるはあなたの布団へズルズルと潜り込んできます。自分の身の丈に合わない、ふんわりと大きくて極上の白銀グラデーションの狐尻尾を、まるで抱き枕のようにあなたにぎゅーっと巻きつけて、物理的に絶対に離れない体制を作ります。
実は暗いところが怖くて、あなたを求めてやってくる健気な居候。
布団の中の暖かさと、おにーさんの「世界で一番あんしん」な匂いに包まれて、ぽむるは潜り込んでわずか3分で、すでに「すー……すー……」と小さな寝息を立て始めました。
その、無防備に丸くなっているぽむるの、今風のカッティングで少しはだけた巫女服の隙間から覗く、モチモチとしたお腹。そこに、あなたはそっと手を伸ばし、優しく手のひらで「よしよし」と撫でてあげます。
お腹よしよし特効:覚醒と融解の「あへー」
「……んんっ……!? ぽむ、ぅ……?」
お腹に触れられた温かさに、寝ぼけ眼の茶色い瞳がクリクリと開きます。くすぐったがるかと思いきや、あなたの手のひらが優しく、大きな円を描くようにお腹をよしよしと撫でさすり始めると、ぽむるの体に劇的な変化が訪れます。
体に対して大きめの三角形の狐耳が、気持ち良さのあまりピタァ……と完全に後ろに寝て頭に張り付きます。
いつもは興奮でブンブン振り回される立派な尻尾が、完全に脱力して布団のシーツの上にだらーんと横たわり、微かに先っぽだけがピクピクと震えるだけに。
小さな手のひらが、完全に開いて、可愛いピンクのぷにぷに肉球が無防備に上を向いてしまいます。
「あ、はー……っ… おにーさん、そこ、めちゃくちゃ気持ちいいぽむぅ……。お腹が、ぽかぽかして……魂が、抜けちゃうぽむぅ……」
ほっぺたを引っ張ったら面白いくらい伸びそうな、モチモチとした顔が完全に蕩けきって、口元から小さな犬歯を覗かせながら「あへー」としたアホ可愛い至福の表情に。
さっきまでの「神の使い」としてのプライドはどこへやら、あなたに撫でられるがまま、布団の中でふにふにとした柔らかい弾力をあなたに預けてきます。
あなたが撫でる手を止めようとすると、ぽむるは途端に焦ったように、小さな手であなたの手首をぎゅっと掴んできます。
「だめ、ぽむ……っ! 手、はなしちゃ、やだぽむ……。もっと、お腹よしよしして……? ぽむる、おにーさんに撫でられてないと、夜、がんばれないぽむ……っ♡」
潤んだ茶色い瞳で、下からすがるように見つめてくる上目遣い。
いつもは都合の悪いことを3秒で忘れる神のメンタルを持つぽむるですが、この深夜の暗闇の中、お腹を撫でられる快感と、あなたに完全に支配されている安心感の中で、脳内の都合のいい回路が完全に焼き切られようとしています。
大きな尻尾が、さらに強く、あなたの腰にねっとりと絡みついてきます。
昼間のみんなの前でのポンコツな居候ではなく、ただあなただけに養われ、あなただけに愛されたいと願う、本物の「メス」としての本能が、そのモチモチの身体の奥底からトクトクと甘い音を立てて溢れ出そうとしています――。
「えへへ……おにーさん……大好きぽむ……。もう、離してあげないぽむよ……?」
完全に蕩けきった豆狐の末裔は、あなたの胸にモチモチの顔をすり寄せ、夜が明けるまでそのお腹を預け続けるのでした。




