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「え、えーと、リズ・ストラクス…です!よろしくお願いします!」

自分の名前をちゃんと言えた事に安堵し、ぺこりと頭を下げる。

もう一度前を向くとロイが微笑みながら拍手をしてくれていた。

よかった。ロイと二人で何度も名前を練習した甲斐があった。

先生からの席の誘導があり着席する。

今まで転校などしたことが無い私にとって初めての経験だった。



そういえば、日本のみんなは元気かな。




ふと、日本のことを思い出し心がどうしようもなく苦しくなる。

そういう時はお母さんからもらったペンダントをぎゅっと握る。

大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせる。

【ユイ殿?】

下を向いた私にすぐ気づいたトゥーラがこちらを向く。

「ちょっと緊張しているだけ。頑張る。」

【承知】

今は前を見るしかない。そう思いながら授業に集中し始めた。








「ユイ!」

「…」

私とそんなに会えたことが嬉しいのか満面の笑みで駆け足で向かってくる。

今まで私に費やしていた時間と引き換えの仕事が溜まっていたらしい。

部屋に戻ってきたのはいつもだったらもうそろそろお風呂に入って寝ようかという時間であった。

しかし今日は違う。奴に言うことがあるためわからないところが多い宿題をわからないながらに眺めながら待っていた。

ギロリと奴を睨むと首をちょこんとかしげる。

でっかい図大して可愛い行動を取るな。

「聞いてなかったんだけど。」

「なにを?」

本気でわかっていなかったらしい。私は奴の方を改めて向く。

「トゥーラのこと。」

「トゥーラ?」

「…今日、魔法の五行学があったの。」

魔法とはどのようにして作り上げられるのか。そんなことを学ぶ授業であった。

絶対眠くなる授業だと覚悟をしていたがそんなことは無かった。

と言うよりもとんでもないことが発覚してそれどころではなかったのだ。

まず、この世界の魔法とは前の世界で言う五行と同じ考えがもたらされる。

魔力のある人間とは元々この五つの種類の元素の何れかに特化した”アクア”を持っている人のことを言うらしい。

で自分が契約をした妖精はそのアクアを利用して魔法と成してくれるそうだ。

何れかの元素が強ければ強いほど、または複数の元素を持っているほど大きな魔法を使うことができ、仕事も大きなものを頼まれる。その様な者が貴族になり王族になり…という循環をこの世界は持っているらしい。

その元素は遺伝性が強いらしく血筋の大体が同じような元素、強さを持って生まれるため貴族、王族も世襲制のところが多いらしい。

そして気になるところが王族である。

その話になった瞬間顔を上げ先生の顔を見つめてしまった。

「王族は、皆さんもご存知のとおりすべての元素を使用することができます。その強さはさまざまであるようです。現に前国王と現国王のときでは結界の力の差が歴然です。」

えっ、トゥーラを横目で見る。

トゥーラはまるで他人事のようにぷかぷかと浮いていた。

「国王の仕事はもちろん様々な雑務も終わりかと思いますが、一番の仕事はその身を以って国民を守ること。万が一我が王国に災難が降りかかった場合を考え国王は結界では考えられないような強さのアクアを秘めるために妖精を出しません。」

「はあ?!」

私は机を大きく鳴らし立ち上がる。

「リズ・ストラクスどうされました?」

「あ、いや、えっと…」

私は先生とトゥーラを交互に見ながらとっさに言葉を出す。

「えっと、もし妖精を出した国王はどうなるのですか…?」

先生は一度目を大きく開けた。まるで当たり前のことを覆されたような。

「今までに国王が妖精を出現させるということは文献には1,2例ありますがそのいずれも王国に平和が訪れたと書かれているだけで妖精と国王がどうなったかは書かれておりません。」

今度は私が目を見開く番だった。

そしてロイを見る。するとロイも焦ったような顔をしていた。

「わ、かりました…ありがとうございます。」

それ以後の授業はほとんど聞いていない。

頭の中には五行学での先生の言葉と隣にいるトゥーラと言う存在が渦巻いていた。

久々に書かせていただきました。

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