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中国語が話せないのに、台北のポケモンセンターへ行ってみた  作者: 鏑木


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3/3

台湾まで来て、ちいかわを探してコンビニを巡ることになるとは思わなかった


台湾に行ったら何をするか。


小籠包を食べる。


夜市を歩く。


台湾茶を飲む。


まあ、普通はそんなところだろう。


私の場合は少し違う。


「台湾のちいかわグッズって、何が売っているんだろう?」


これが気になってしまった。


日本でも買えるじゃないか。


そう思った人は正しい。


まったくもって正しい。


しかし、海外で日本のキャラクターがどう売られているのかを見るのは、なかなか面白いのである。


しかも台湾には、台湾ならではのちいかわグッズがあるらしい。


だったら見てみたい。


そんなわけで、台北でちいかわを探すことにした。


問題は、どこへ行けばいいのかである。


そもそも「ちいかわ」が通じない


台湾でちいかわを探すにあたって、最初に覚えなければならないことがある。


名前だ。


台湾では、ちいかわを「吉伊卡哇」と書く。


……読めない。


いや、漢字なので文字としては読めそうなのだが、日本語として読もうとすると頭が混乱する。


吉。


伊。


卡。


哇。


最後の「哇」なんて、日常生活でまず見かけない。


ちなみにハチワレは「小八貓」。


うさぎは「兔兔」。


ハチワレは、なんとなく分かる。


小さい八の猫。


なるほど。


うさぎも分かる。


しかし、ちいかわ。


吉伊卡哇。


一気に難易度が上がる。


これでは中国語が分からない日本人が店員さんに、


「ちいかわ、ありますか?」


と聞いても、伝わらない可能性がある。


仕方がない。


スマートフォンに「吉伊卡哇」と表示して見せればいい。


文明は偉大である。


ちいかわ専門店を探そうと思ったのだが


最初は普通にキャラクターショップを探すつもりだった。


日本でちいかわグッズを買うなら、専門店や雑貨店、キャラクターグッズ売場などを考える。


台湾でも同じだろう。


そう思って調べていたところ、妙なことに気づいた。


7-ELEVEN。


全家。


また7-ELEVEN。


そして悠遊卡。


……ちょっと待ってほしい。


コンビニではないか。


台湾まで来て、ちいかわグッズを探す場所がコンビニ。


これはなかなか面白い。


もちろん、日本のコンビニでもキャラクター商品は売っている。


しかし台湾では、交通系ICカードの悠遊卡(EasyCard)にまで、ちいかわのデザインが登場している。


つまり、ちいかわグッズが単なるぬいぐるみやキーホルダーだけではないのだ。


日常生活で使うものになっている。


これはちょっと欲しい。


いや、かなり欲しい。


台湾のセブンイレブンは油断できない


台湾の街を歩いていると、7-ELEVENをよく見かける。


日本人にはおなじみの看板だ。


だから安心感がある。


何しろセブンイレブンである。


おにぎりもある。


飲み物もある。


ちょっとしたお菓子もある。


ただし台湾のセブンイレブンは、日本の店舗とまったく同じではない。


売っているものが違う。


店内の雰囲気も少し違う。


そしてキャラクター商品も違う。


そこで、ちいかわである。


台湾では「吉伊卡哇」の悠遊卡が何種類も登場している。


例えば、かわいい顔を大きく使ったデザイン。


ブラインド仕様の商品。


桜をモチーフにしたもの。


キャラクターがくっついたようなデザイン。


こういう商品情報を見ていると、だんだん困ったことになってくる。


一枚あれば十分だろう。


そう思う。


しかし別のデザインを見る。


「あ、これもいいな」


さらに別のデザインを見る。


「こっちも欲しいな」


そして気づく。


交通系ICカードを何枚買うつもりなのか。


台北のMRTに乗るためなら、一枚あればいい。


二枚目からは、ほぼ趣味である。


三枚目以降は、もう立派なコレクションだ。


怖い。


キャラクターグッズというものは、本当に怖い。


悠遊卡という仕組みがずるい


台湾旅行をしたことがある人なら、悠遊卡を知っているかもしれない。


日本でいう交通系ICカードのようなものだ。


MRTやバスなどで使える。


コンビニなどでも利用できる。


つまり実用品である。


ここが重要だ。


普通のキャラクターグッズなら、買うときに少し考える。


「これ、何に使うんだろう?」


ぬいぐるみなら飾る。


アクリルスタンドなら飾る。


キーホルダーなら付ける。


ところが悠遊卡は違う。


「交通機関で使えるから」


という、非常に強い言い訳が成立してしまう。


しかも、かわいい。


これはずるい。


実用品とコレクションの境界線を、ものすごく上手に攻めてくる。


もっとも、何枚も買ったら実用品という言い訳は崩壊するのだが。


そこには触れないでおこう。


今度はファミリーマートである


台湾のファミリーマートは「全家」。


これも覚えておくと便利だ。


全家。


日本人にもなんとなく意味が分かる。


家族全員、という感じだろうか。


台湾の街では、この全家もよく見かける。


そして、ここにも吉伊卡哇がいる。


台湾の全家では、ちいかわ関連の独自商品が登場している。


ミニフィギュアなど、コンビニで扱うにはなかなか本格的なものもある。


もうコンビニなのかキャラクターショップなのか分からない。


日本でもコンビニ限定商品は珍しくない。


それでも海外で見かけると、妙に魅力的に感じる。


なぜだろう。


おそらく、日本では簡単に買えないからだ。


日本にいるときは、


「かわいいな」


で終わるものでも、台湾にいると、


「今ここで買わなかったら、次はいつ買えるんだ?」


となる。


旅行者特有の心理である。


非常に危険だ。


一番の敵は中国語ではなかった


台湾で買い物をするとき、少し困るのが言葉だ。


私は中国語が得意ではない。


商品の名前を読むのも一苦労である。


吉伊卡哇。


小八貓。


兔兔。


これくらいなら、スマートフォンに保存しておけばいい。


しかし、店員さんに在庫を確認したくなったらどうするか。


「Do you have this?」


スマートフォンの画像を見せながら、これでいい。


あるいは、


「This one?」


でも何とかなる。


英語が通じなければ、翻訳アプリもある。


少なくとも、欲しい商品の画像を見せることはできる。


そう考えると、言葉の問題は案外どうにかなる。


それより困るのは別のことだ。


欲しい商品が、その店舗にあるとは限らない。


これである。


台湾のコンビニで販売された商品だからといって、すべての店舗に置いてあるわけではない。


発売日も違う。


数量も限られる。


売り切れることもある。


人気商品なら、なおさらだ。


つまり、ネットで商品を見つけて、


「よし、台湾へ行けば買える!」


と思うのは少々危険なのである。


行ってみたら、ない。


別の店にも、ない。


さらに別の店にも、ない。


こうなると、ちいかわ探しが一種の宝探しになる。


旅行中の時間は限られている。


どこまで探すか。


ここは悩ましい。


台湾まで来てコンビニを巡るという贅沢


考えてみれば、おかしな話である。


せっかく台湾に来たのだ。


台北101もある。


故宮博物院もある。


夜市もある。


おいしいものも山ほどある。


なのに、コンビニのキャラクター商品売場が気になる。


普通の観光客からすると、


「何をやっているんだ」


と思われるかもしれない。


しかし私は、こういう旅が結構好きだ。


観光名所だけが海外旅行ではない。


現地のスーパー。


コンビニ。


書店。


玩具店。


カードショップ。


そういう場所を見ると、その国で何が人気なのかが少し分かる。


日本ではおなじみのキャラクターが、台湾では別の名前で売られている。


日本にはないデザインの商品がある。


台湾の人たちが、それを普通に買っている。


こういう発見が面白い。


海外旅行でわざわざコンビニに入る理由としては、十分だと思う。


ちいかわは台湾でも強かった


それにしても、ちいかわの人気はすごい。


日本で人気があるのは知っていた。


しかし台湾でも、これだけ商品展開されているとは思わなかった。


しかも台湾の生活に密着した悠遊卡まである。


ちいかわ。


ハチワレ。


うさぎ。


日本では見慣れた顔ぶれなのに、繁体字のパッケージに入るだけで印象が変わる。


日本語なら「ちいかわ」。


台湾なら「吉伊卡哇」。


同じキャラクターなのに、なんだか別の世界へ来たような気分になる。


これが海外のキャラクターグッズ巡りの面白さだ。


ポケモンもそうだ。


日本で生まれたキャラクターが、海外では現地の言葉と文化の中で生きている。


それを現地で見るのは、ネットで商品写真を眺めるのとは少し違う。


もっとも、ネットで調べている段階から欲しくなってしまうのだが。


お土産として考えると、かなり優秀ではないか


台湾土産といえば、パイナップルケーキ。


お茶。


ヌガー。


ドライフルーツ。


このあたりが定番だろう。


もちろん、それもいい。


しかし、ちいかわが好きな人へのお土産ならどうだろう。


台湾で販売された吉伊卡哇グッズ。


これは結構喜ばれそうだ。


特に悠遊卡なら、台湾らしさもある。


実際に台湾で使えるカードなのだから。


日本のちいかわファンに、


「これ、台湾の交通系ICカードなんだよ」


と渡す。


ちょっと面白い。


ただし注意点がある。


かわいいからといって、買いすぎないことだ。


お土産のつもりが、気づけば自分用ばかりになっている。


これは海外旅行でよくある。


いや、私だけだろうか。


結局、何を探しに台湾へ来たのか


台湾へ行く前は、いろいろ考える。


あそこへ行こう。


これを食べよう。


あれを見よう。


ところが実際に街を歩いていると、予定になかったものが気になり始める。


知らない店。


変わった飲み物。


日本では見かけないお菓子。


そして、台湾のちいかわグッズ。


旅行というのは、こういう寄り道が楽しい。


効率だけを考えれば、観光地を順番に回ったほうがいいのかもしれない。


でも私は、知らない街のコンビニで、


「何だこれ?」


と思う瞬間が好きだ。


台湾でちいかわを探すというのも、その延長にある。


専門店を目指すのもいい。


でも、ホテルの近くの7-ELEVENや全家を覗いてみるのも悪くない。


そこに思いがけない商品があるかもしれない。


もちろん、何もないかもしれない。


それもまた旅である。


ただ、一つだけ困ったことがある。


台湾でちいかわを探すつもりだったのに、調べれば調べるほど、欲しいものが増えてしまうのだ。


悠遊卡。


フィギュア。


限定デザイン。


気づけば、ちいかわグッズのために台湾へ行く理由が増えている。


これはいけない。


非常にいけない。


……いや。


次に台北へ行く理由としては、十分かもしれない。


問題は一つ。


ちいかわを探しに行ったはずなのに、帰りのスーツケースがちいかわだらけにならないか。


それだけが少し心配である。


                  ――おわり――

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