✒ 恋文に呪いを込めて♥ 1
──*──*──*── 1ヵ月後
──*──*──*── 第1皇女の自室
第2皇子:孳
「 姉様ぁ!
磨絽が来てくれたよぉ~~ 」
第1皇女:姫様
「 孳──。
磨絽!
良く来てくれたの 」
マオ:厳蒔磨絽
「 久し振りだね、姫様。
あれから体調は大丈夫? 」
第1皇女:姫様
「 うむ、お蔭様で息災じゃ。
ミニマムキーノの手助けも有るからの。
毎日、楽しく過ごせておる 」
第2皇子:孳
「 姉様、“ りはびり ” ってのを頑張って、歩ける様になったんだぞ!
一緒に散歩が出来る様になったんだ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 それは良かったよ。
あれから呪痕紋は出てない? 」
第1皇女:姫様
「 うむ、お蔭様での。
獅聖幻夢殿が態々足を運び、呪詛の解呪をしてくれた事が広く弘まった様での 」
マオ:厳蒔磨絽
「 姫様に呪詛を飛ばしたら、獅聖家を敵に回す事になるからな。
賢明な呪詛師なら自ら寿命を失う愚行は犯さないと思うよ。
定期的に姫様へ呪詛を飛ばしてた呪詛師は、返って来た呪詛を受けて “ 酷い死に方をした ” って噂になってるみたいだからさ 」
第2皇子:孳
「 当然の報いだろ!
姉様の命を狙って呪詛った輩なんだ!
相手は帝の御息女なんだぞ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 依頼を受けた時点で、呪詛師への同情はしないよ。
呪詛ってのは自身に返って来るリスクを伴う危険な呪術みたいだからさ。
死ぬかも知れない覚悟が無いと出来ないよ 」
???
「 おい、何時まで僕を無視したまま話してるつもりだ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 い゛ってぇ!! 」
背後からオレの尻を遠慮無く蹴ったのは──。
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン!
痛いじゃないかよ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 黙れ。
僕を無視するからだろ!
さっさと僕を紹介して座らせろ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン……。
言葉遣い!
帝の子供だぞ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 知るかよ。
僕は最強の陰陽師だぞ!
帝の子供だからって媚びへつらったりしない! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 オレは “ 媚びろ ” とも “ へつらえ ” とも言ってないけど…… 」
胸の前で腕を組んで剥れているのは、大人の姿のシュンシュンだ。
マオ:厳蒔磨絽
「 姫様,孳──、紹介するよ。
オレの友達の陰陽師、シュンシュンだ! 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 コラ、マオ!
ちゃんと紹介しろ!
誰よりも頼りになる最強の陰陽師、厳蒔霄囹様だろ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あのなぁ~~。
陰陽師には幻夢さんと玄武さんも居るじゃないか。
シュンシュンが凄いのは事実だけど、“ 最強 ” は誇張し過ぎだって 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 あぁ言えば、こう言いやがって──。
僕は忙しいんだぞ!
態々着いて来てやった慈悲深くて優しい僕に向かって── 」
第1皇女:姫様
「 ……………………(////)
磨絽の友達なのか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだよ。
シュンシュン、第1皇女の姫様と第2皇子の孳だよ 」
第1皇女:姫様
「 初めましてなのじゃ 」
第2皇子:孳
「 ちょい悪大人だぁ~~(////)」
霄囹:厳蒔霄囹
「 誰が “ ちょい悪 ” だと、コラぁ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン!
ハウス! 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 僕は犬じゃないぞ!
何が “ ハウス ” だよ。
さっさと用件を言え。
その為に忙しい僕を強引に連れて来たんだろ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだった!
姫様── 」
第1皇女:姫様
「 うむ。
磨絽に見てもらいたいのは──、これでの 」
マオ:厳蒔磨絽
「 これって? 」
第1皇女:姫様
「 和歌の文じゃ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 和歌ぁ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 想いを寄せる相手に和歌の文を送るんだ。
貴族の間で頻繁に行われる恋文だな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 恋文……。
この恋文に何の問題が有るんだ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 貸してみろ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん 」
オレはシュンシュンに和歌の書かれた文を手渡した。
シュンシュンは受け取った文を見ている。
霄囹:厳蒔霄囹
「 ──フン!
幼稚な嫌がらせ──って、ところだな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 嫌がらせ?
シュンシュン── “ 嫌がらせ ” って、どういう事だよ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 声に出して和歌を詠うと呪詛が発動する仕組みだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 どゆことだよ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 実際に見たら分かるさ。
ミニマムキーノ、姫様の声を真似て、この和歌を詠んでみろ 」
ミニマムキーノ
「 おめぇの指図は受けねぇエリ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 こんのっ…小生意気なキノコ野郎──っ!! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン、落ち着け。
ミニマムキーノ、頼めないかな。
何が起こるか分からないから、姫様には詠ませたくないんだ…… 」
ミニマムキーノ
「 マオ様の御命令なら、キノコンは喜んで従いますエリ! 」
ビシッと見事な敬礼を見せてくれたミニマムキーノは、姫様の声を真似て和歌を詠んでくれた。
和歌が詠まれると呪詛が発動したのか、室内に黒い色をした昆虫がゾロゾロと出て来た。
第2皇子:孳
「 うわぁっ!!
むっ…虫ぃ~~~~~~!!
おいぃ~~~~何とかしろよぉっ!!
早く追い払えよぉ~~~~!! 」
急に昆虫が現れて、孳は大声を出して騒ぐと、オレの腰に抱き付いて来た。
霄囹:厳蒔霄囹
「 落ち着け。
この黒い昆虫は本物じゃない。
呪力が込められてる式神さ。
良く見とけよ 」
そう言ったシュンシュンは昆虫の1体を指で摘まむと、蝋燭の火を消すみたいにフッと息を吹き掛ける。
すると、真っ黒い昆虫は、灰色に染まった紙に変わった。
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン、これは? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 呪符だ。
この呪符には細かい字で呪詞が書き込まれている。
呪詞は姫様の声に反応すると呪術が発動する仕組みになってるのさ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そんな事が出来るのか? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 呪歌や呪舞が有るんだから、呪詞だって有るんだよ。
いいか、呪術ってのはな、センスと閃きで作るもんだ。
この呪詛を考えた呪詛師は中々の遊び心が有る奴さ。
良いねぇ~~、僕は嫌いじゃない 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン!
姫様に呪詛を仕掛けた呪詛師を褒めるなんて、不謹慎だぞ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 知るかよ。
僕は呪詛師の編み出した呪詞を気に入ったのさ。
呪詛師のイカしたアイデアは僕が今後、有効活用させてもらう。
そうと決まれば、呪詛師が何処の誰かと居場所を突き止めないとねぇ~~。
クックックックッ…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュン、悪い顔してるぞ。
今回は “ 呪詛返し ” しないのか? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 アホかよ。
呪詛返しなんかしたら死んじまうだろが!
取っ捕まえて晒しもんにするんだ。
全裸に剥いて逆さ磔の刑に処して、笑い者にしてやるのさ★ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 何で今回は晒し者にするんだ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 呪詛返しってのはな、加減が難しいんだ。
嫌がらせの呪詛だからって、軽視して呪詛返しなんかしたら、逆に返される場合だって有る。
今は材料を調達してる最中だから、絶妙な加減が出来ない。
無惨な死体で発見される事になる 」
マオ:厳蒔磨絽
「 それの何が悪いんだよ?
姫様に呪詛を仕掛けた恋文を送り付けた呪詛師なんだぞ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 マオ、殺って終わりばっかじゃ味気無いだろ。
いいか、狙われたのは帝と天女の血を継いでる娘だぞ。
これは帝に──いや、皇族に対する反逆行為だ。
万死に値する最も罪深い犯罪だ。
犯した罪に対する相応な罰を与えず殺すなんてのは、犯罪者に対して誠実じゃない。
犯罪者には誠意を持って相応の罰を与え、きちんと後悔と反省を促した後、罪を償わせる為に一生涯、無報酬の奉仕活動をさせるのさ。
それが犯罪者に向ける裁く側の誠意ってもんさ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 無報酬の奉仕活動ってなんだよ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 そんなの決まってるだろ。
皆が挙って嫌がる排泄物の回収作業と便所の清掃作業さ。
これ程尊い無報酬の奉仕活動なんて有りはしないだろ★ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 た…確かに…そうかも?
毎日、糞尿にまみれて顔も名前も知らない誰かの排泄物を回収して、便所清掃もする──。
刑罰に選んでも良いぐらいの償いだと思うよ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 そうだろ?
殺さず生かして、誰もが嫌がる排泄物の回収作業と便所の清掃作業をさせるなんて名案だろ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 呪詛師は真犯人の共犯者だよな。
呪詛を使って姫様に危害を加える依頼をした真犯人を見付け出して、捕まえないと鼬ごっこだ。
何とかして見付け出せないのかな?
文に付いてる指紋を調べて探すとか── 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 いや、文は必ず本人が書くとは限らないんだ。
美文字を書ける者に代筆をさせる場合も有るから、指紋で真犯人を特定するのは難しいだろうな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そんなぁ……。
ミニマムキーノ、キノコンの諜報力で何とか出来ないかな? 」
ミニマムキーノ
「 近代的な時代なら楽勝ですエリ。
≪ 和國 ≫の様に原始的な時代だと難しいですエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか……難しいんだな 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 ≪ 日本国 ≫と比べて原始的って言うな!
不可能じゃないなら、やれよ 」
ミニマムキーノ
「 おめぇの指図は聞かねぇエリ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 くぅ~~~~ムカつくキノコ野郎めぇ!! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ミニマムキーノ、キノコン達に伝達して《 貴族院 》に在る貴族が暮らす屋敷と《 陰陽院 》にキノコン達を潜伏させて、真犯人と共犯者達を特定させれないかな?
孳は初めて出来た皇族の友達なんだ。
姫様は孳が慕って大事に思ってる姉さんだよ。
可能性が1%でも有るなら、真犯人の検挙に協力してほしい!
頼むよ、ミニマムキーノ!
キノコンの団結力を結集して助けてほしい!! 」
ミニマムキーノ
「 マオ様ぁ~~。
分かりましたエリ!
キノコンは友達思いな優しいマオ様の願いを叶えますエリ!!
呪詛を依頼した極悪人を見付け出し、検挙しますエリ!! 」
ミニマムキーノはオレに向かってビシッと見事な敬礼をしてくれた。




