63 怖い
私が目覚めたと、ユーリスをはじめ周りの皆が喜ぶ中、私の心だけが追い付かず置いてけぼりな気分。
その後、色んな方が私の元に良かった良かったと続々現れて口にする。
だけど大半の人が私の知らない人だった。
誰?
ユーリスとゼス以外の人を、私は自分と懇意にしていると感じられないでいた。困惑する私にやっぱり最初に気付いたのはユーリスだった。
「マリベル?どうした?何か不安?」
「⋯⋯ユーリス⋯」
これをどう表現すればいいか分からない。
だから私は首を振る。
自分の生きていた人生の中で、思い出の人達と頭の中では会話が成立しているのに、それが誰なのか相手の方の顔には全て霞がかかっているの。
そんな事を言ったら、私はまだ夢の中から帰ってきていないのだと、ユーリスは思うのではないかしら?
それがとても怖く感じられて、私は首を振る以外に対処出来なかった。私の異変を感じられても内容の分からないユーリスまで困惑しているみたい。そうだよね、私が何も話さないから。
どうしよう⋯。
どうすればいいのかな?
「マリベル、私の事が分からないのかしら?」
そう声を掛けてくれたのは、記憶の中のお母様より随分と年上の女性だった。
その声には聞き覚えがある。
優しくて語りかけるような声色は、いつも私を気遣ってくれた。
顔は思い出せないけれど、もしかしたらこの方がその人なのかもしれない。
「ヨリエール?」
「「⋯⋯⋯」」
私の問いかけに、話しかけてくれた女性とその周りの人達、そしてユーリスとゼスも息を呑んでいる。
違うのだわ⋯。
どうしよう⋯知られてしまった。
だけど私はもう夢の中にはいない!
だって、ユーリスもゼスも私の居た夢の中よりも、大人になっているもの!
「マリベル⋯まだ目覚めたばかりで、頭の中がきっと整理出来ていないんだよ。だからもう少しおやすみ」
ユーリスは私に眠るように言うけれど、いいのかな?
今度はあるのかな?
私はもう目覚めないんじゃないのかな?
不安に胸が圧しつぶされそうになった時、フワリと何かが私を包んだ感触がして、そこで私の記憶は途切れた。




